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毎日読書メモ(183)『ケイティとスペインのおひめさま』(ジェイムズ・メイヒュー)

新聞の一面の一番下には毎日、出版社の広告が出ている。記事3段分の高さを、大体8つに分けて8社分の広告が出ているので「サンヤツ」と呼ばれたりする。月に1,2回、児童書や絵本の広告が出ている日があり、しばらく前に『ケイティと星月夜』という絵本の広告が出ていた。ケイティという女の子がゴッホの「星月夜」の絵の中に入ってしまうらしい。面白そう! しかし、わたしが住んでいる自治体の図書館の検索システムで調べたら『ケイティと星月夜』は蔵書になかった…ジェイムズ・メイヒュー作・西村秀一訳・結城昌子監修「ケイティのふしぎ美術館」シリーズ(サイエンティスト社)は、『ケイティのはじめての美術館』『ケイティとひまわりのたね』『ケイティとモナリザのひみつ』『ケイティと花たばのプレゼント』『ケイティと星月夜』『ケイティのゆかいな水あそび』『ケイティときょうりゅう博物館』『ケイティとスペインのおひめさま』『ケイティとイギリスの画家たち』『ケイティとすいれんの池』が刊行されていて、絵本の表紙を見れば、ああこれは、とすぐわかる名画の中にケイティがいる図柄。検索して見つかったのは『ケイティとスペインのおひめさま』だけだったので、借りてみる。
物語の枠組みはどれも同じで、ケイティがおばあちゃんと美術館に行き、おばあちゃんが美術館の椅子でうたた寝している間に、ケイティは絵の中に入り込んでしまい、絵の中の人物と一緒に冒険をする、というものらしい。
『ケイティとスペインのおひめさま』に出てくるのは勿論、ベラスケスのマルガリータ王女。この本に出てくるのは、ベラスケス「白衣のマルガリータ王女」(ウィーン美術史美術館)、ゴヤ「マヌエル・オソーリオ・デ・スーニガ」(メトロポリタン美術館)、ゴヤ「日傘」(プラド美術館)、ムリーリョ「手すりにもたれる少年」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)、ベラスケス「茶色と銀色の服のフェリペ4世」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)。
お姫様の衣装を着てみたくて、参考になる絵がないかと美術館に行ったケイティは絵の中に入ってマルガリータ王女と服を取り換える。二人で美術館の中を駆け回っていたら、マヌエル・オソーリオ・デ・スーニガのペットのカササギが、王女のドレスの宝石をくわえて飛んで行ってしまう。カササギは「日傘」の絵の中に飛び込み、追って行った二人は、木にとまったカササギを捕まえようとすると、絵の中のカップルが連れていた犬が吠えだして、鳥は飛び立ってしまう。鳥は次はムリーリョの絵の中に飛び込み、絵の中の少年が自分のとぼしい食糧の中からパンのかけらを砕いて床に撒いてくれて、それを食べに降りてきた鳥を、少年が捕まえてくれる。宝石も無事回収。マヌエルのところにカササギを返しに行ったら、近くの絵の中の、マルガリータのお父さんのフェリペ4世に声をかけられ、そろそろもとに戻りなさい、と言われる。それぞれ自分の服に戻っておわかれして、ケイティはおばあちゃんを起こしに行く。おばあちゃんとカフェに行って、ケーキを買ってもらったケイティは、ムリーリョの少年のところに駆けて行って、ケーキを分けてあげる。
どれも見たことのある絵だったので親近感を持って読む。絵と絵をつないで、こんな物語が出来るとは。スペイン絵画で一貫した、美術入門にもなる一冊。二人が走る美術館の壁の他の絵も、どこかで見たような絵ばかりで、欧米の由緒ある美術館の中を歩き回っているような気分になった。
他の絵本も見てみたい。

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