毎日読書メモ(245)『るきさん』(高野文子)
北京オリンピックのスノーボード女子ハーフパイプを見ていた。出場選手の2人が姉妹で、冨田せな、冨田るき。るき??? るきって名前をリアルで初めて見たよ! るき、と言えば、高野文子『るきさん』(筑摩書房、現在ちくま文庫)だろ。
大学時代に友達から高野文子『絶対安全剃刀』と『おともだち』を教えられ、既存のコミック連載漫画と全然違う間合いに圧倒された。そんな高野文子の連載を、1989年刊行の新雑誌「Hanako」で読めるとは!
「Hanako」の第1号は1988年6月2日に発行されたのだが、この第1号に、高野文子の「るきさん」が掲載されていた(トップ画像は「るきさん」の表紙)。その後、「Hanako」の巻末の見開き2ページの漫画は、江口寿史「ご近所探検隊」、吉田秋生「ハナコ月記」、しりあがり寿『O.SHI.GO.TO』がランダムに掲載されたが、わたしは「るきさん」掲載号は、特集の内容不問で買っていたよ。今更ながら懐かしい。
時代とか流行とか超越して、マイペースで生きるるきさん。自分の家で、病院の委託で保険料の計算をしているるきさんは、まるでリモートワーカーのはしりである。仲良しのえっちゃんは、会社員で、バブルの時代を具現するような存在で、ローンで着物を買ったり、オーガニックフードに興味を示したりしている。
「るきさん」連載時には、電車に乗るときは駅の券売機で切符を買っていたんだよ。
そして、この時代には、マスクをするのはかなりレアなシチュエーション。
連載時の朝ドラは「和っこの金メダル」。
るきさんの家の電話は勿論黒電話だったが、えっちゃんの家の電話はプッシュホン。
それがほんの数ヶ月でコードレスに! るきさんは電話機が届かない場所だと遠くから電話機に呼び掛けているのに。まだえっちゃんも携帯電話は持ってない。
刊行当初の「Hanako」がバブルの時代の消費行動を象徴していたことを懐かしく思い出す。ケン・ドーンが描いたHanakoのロゴや表紙のイラストも、何もかも懐かしい。
そんな中、時代を超越した高野文子の漫画が、巻末を飾っていたことが、たまらなく嬉しい。
って、オリンピックに出ている冨田るき(21世紀生まれ)に語っても、わかってもらえないだろうね。命名はるきさんとは関係ないのかな...。
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