大企業からスタートアップ、そしてENECHANGEへ エネルギー業界で広がるキャリアと挑戦
大企業の東芝からスタートアップを経て、ENECHANGEにたどり着き、わずか3カ月で法人ビジネス事業部の副事業部長に就任した金子さん。そのキャリアの軸には、一貫して「クリーンなエネルギーが循環する社会の実現」というライフミッションがありました。
この記事では、地熱発電や蓄電池開発、CO2の見える化といったエネルギー業界の最前線でキャリアを重ねてきた金子さんが、なぜ次のステージとしてENECHANGEを選んだのか、その理由と背景に迫ります。
ライフミッションが仕事を導く エネルギーに挑み続けたキャリアの原点
――入社時の自己紹介スライドに「ライフミッションは『クリーンなエネルギーが循環する社会の実現』」と記した金子さん。「なんてENECHANGEにぴったりな人生なのだろう」と大きな衝撃を受けました!何がきっかけでライフミッションを掲げるようになったのですか?
金子:きっかけが何か、本当に思い出せないんですよ。小学校の総合学習で「レッドデータブック※」を学んだ時に、絶滅危惧種の話とか、CO2とか、地球温暖化の話が出てきてて。それが、多分一番最初に触れた機会ですね。そこからずっと頭の中にかすかにはありました。
――小学校の「総合的な学習の時間」、懐かしいですね。地球温暖化の授業を受けて「なんとかしなきゃ」と幼心に思った記憶が私にもあります。そこから金子さんの思いが、ライフミッションとしてはっきり形になるまでに、どんな出来事があったのでしょうか?
金子:旅行が好きだったので、大学3年生ごろからバックパッカーとして世界を旅しました。大学院生や社会人になってからも続けて、合計で40カ所ぐらい行きました。その中で、10年前の写真と比べて、温暖化により氷河がどんどん溶けて全然違う景色になっていたり、トルコのカッパドキアで水が干上がっていたり、そういう現状を世界中で見て危機感を覚えて…気候変動問題に取り組みたいという思いが、だんだん深まってきました。
――世界中を旅する中で、目の前に広がる景色に心が動かされたのですね。それが仕事選びの軸にもつながったのでしょうか?
金子:そうですね。一生の仕事にするなら、人類の解決困難なテーマを軸に据えたいと考えていました。それで、大学時代には「地球温暖化にしよう」と心に決めていました。
ーーその思いが「クリーンなエネルギーが循環する社会の実現」というライフミッションとして形作られたのは、いつごろですか?
金子:東芝に入社して、地熱発電の現場で働く中で少しずつ強化されていきました。最初は「地球温暖化を解決したい」という漠然とした思いだったんですけど、実際にエネルギーの現場に立つと、「これって結局エネルギーの問題だよね」とか、「その問題を解決するには何が必要なんだろう?」というように、解像度がどんどん上がっていきました。
キャリアが進むと、良くも悪くも自分がやってきたことに縛られる部分が出てきます。僕の場合も、エネルギーという領域にどっぷり浸かっていく中で、自然と「クリーンなエネルギーが循環する社会の実現」という方向性が明確になっていきました。まあ、多分僕は、自分の経験に後から意味付けをして言い表したいタイプなんだと思います(笑)。
ファーストキャリアは東芝で地熱発電
――気候変動問題に取り組みたいという思いで入社を決めた東芝では、やりたいことが最初から明確に決まっていたのですか?
金子:地熱発電事業をやりたくて東芝に入社しました。地球温暖化を回避しようと思ったときに、とにかくエネルギーをクリーンに作るところから何とかしなきゃ駄目だと思っていて。技術営業としては、地熱発電の基本設計から受注契約、運転開始後の引き渡しまで、幅広くいろんなことに関わりました。お客様が海外の方が多かったので、世界中を飛び回りましたし、国内では20年ぶりの大型案件を受注するなど、印象に残る仕事もさせてもらいました。
――志高く入社した東芝を離れるきっかけは何だったのでしょうか?
金子:東芝で地熱発電に携わっている間に、太陽光発電や風力発電が世界中でどんどん広がっていくのを目の当たりにしました。地熱発電はどうしても規模が限られているので、「これは地熱の時代じゃなくなっていくな」という感覚がだんだん強くなってきたんです。それで、今度はクリーンなエネルギーを生み出す仕組みじゃなくて、電気を溜める仕組み、電池が必要だなと思って、蓄電池を開発するスタートアップに転職しました。
スタートアップで事業開発 マーケから組織形成までマルチスキルを獲得
――東芝を離れてスタートアップに飛び込むのは、きっと大きな決断だったと思います。実際に働いてみていかがでしたか?
金子:大企業にいると、新しいことをやるのが本当に難しくて。それで思い切って飛び出したんですけど、スタートアップはスタートアップで、事業に集中できない時間が長くて。事業開発をやるつもりで入ったのに、実際には蓄電池そのものがまだ完成していなくて。結局、自分の機械工学の知識を活かして工場の立ち上げをやったり、電池の設計を手伝ったりしていました。
でも、そういう環境で学んだのは、「私はこれだけやります」みたいなスタンスではやっていけないということ。必要なことをその場で自分から動いてやらないと、生き残れないんですよね。そういうマインドセットがついたのは、スタートアップに行ったおかげだと思っています。
――1年数カ月間、奮闘したのちに、booost technologiesへ転職した理由を教えてください。
金子:booost technologiesはもともと電力会社向けに、需給管理や顧客管理を支援するシステムを提供している会社でした。お客様のニーズに合わせたプロダクトを開発し、それをSaaSとして展開するという点で、ENECHANGEのエネルギークラウド事業部と似たビジネスをしていたんです。その技術を応用すれば、蓄電池を使わずに、再生可能エネルギーの発電量と消費量のバランスを調整する仕組みが作れるんじゃないかと期待して入社しました。
でも、電力市場の価格高騰があって入社後すぐに事業が成り立たなくなってしまって。そこから事業内容を転換して、「CO2の見える化」をテーマに新しい事業を立ち上げることになりました。最初は苦労も多かったですが、3年近くかけて事業の基盤を整え、市場に根付かせた後、さらなる成長を目指すフェーズにまで関わることができました。この過程で事業開発に必要な幅広いスキルを磨き、結果として良いキャリアを積ませてもらいました。
――新規事業の立ち上げは、やはりハードなことも多いですよね。
金子:そうですね。僕はずっと、「球拾いの専門家です」って言ってたんですけど、新しく事業が成長していくときって、部門間でボールが落ちまくるんですよね。誰も手をつけてない課題とか、漏れているところを拾って進めていました。最初はマーケティングをやりつつ、受注が始まればカスタマーサクセスを立ち上げ、営業チーム拡大や事業開発にも着手して、領域を広げて球を拾っていたので、少しずつ全般的に見ることができるようになりました。その中で採用や人材教育も経験して、失敗から学んで、経験の幅が広がりましたね。
――事業開発で活躍の中、ENECHANGEへの転職を決めたきっかけは何でしたか?
金子:booost technologiesでは、組織が変化の時期にあり、さまざまな課題に向き合っていました。また、ESG※の重要性が高まる中で事業領域が拡張していったのですが、僕はもっと脱炭素とエネルギーに特化して取り組みたいと考えていました。そのため、会社の方向性と自分の目指すものとの間に乖離を感じていたんです。
ちょうどその頃、自分の仕事が少し落ち着いてきたこともあって、知り合いから声をかけてもらったんです。それがきっかけで、ENECHANGEに入ることになりました。
ENECHANGEとの出会い ライフミッションを実現させる場所
――最初にENECHANGEの紹介を受けたとき、どんなところに魅力を感じましたか?
金子:声をかけてくれたのが人事室と投資事業部のメンバーでした。僕がスタートアップにいて思ったことの1つに、採用の難しさがあって。ENECHANGEはEV充電事業の立ち上げのところで、1年に100人も採用したと聞いて、定着支援や人事制度の強さを感じましたね。
あと、投資事業部の海外から次のビジネスの種を探しながら投資運用している話を聞いて、面白いなと思いました。しかも、2人とも仕事での苦労話をすごくニコニコしゃべるんですよ(笑)。これは良い会社だなって思いましたよね。
――金子さんのライフミッションに関連するエネルギー分野について、どのような印象を持たれましたか?
金子:エネルギー業界で働く中で、新しいビジネスを社会的意義のあるものにつなげる難しさを強く感じてきました。例えば、CO2見える化の事業では、「見える化すること」や「システムを作ること自体」が目的になってしまうことがあって、見せかけだけの環境対策に見えてくることもありました。
でも、ENECHANGEは電力切り替えという明確な軸を持ったビジネスを展開しています。強力なマネタイズポイントを持つことで、その過程で本当に必要なことを実行できる環境が整っていると感じました。たとえば、「気づいたら再エネを使っている」という仕組みを作ることも、ここなら実現しやすいと思ったんです。ビジネスと気候変動解決、環境への貢献のバランスを取りやすい会社だと思いました。
――ライフミッションを軸に仕事を選んでいる金子さんにとって、ENECHANGEでどんなことができるかを見極めることは非常に重要だったと思います。そのあたり、どのように感じて入社を決めたのでしょうか?
金子:最終選考の「チャレンジ」が、良いきっかけになったと思っています。「電力切り替えの基盤を生かした新規事業の立ち上げ」をテーマに取り組みました。その過程で過去の決算説明動画を全部見たのですが、会社のことを知れば知るほど、「ここならやりたいことが実現できそうだ」という確信が持てて、具体的な事業のイメージが固まっていきました。
環境への思いを軸にキャリアを重ね、ENECHANGEへとたどり着いた金子さん。入社後わずか3カ月で副事業部長に抜擢され、新規事業開発に挑む日々とはどのようなものなのでしょうか?こちらの記事では、ENECHANGEでの現在の挑戦や、プライベートでも環境課題に向き合う姿をご紹介します。