吉祥寺の朝比奈くん
どうも山ぱんだくんです。あたたかな春の日差しに殺意を覚えますね。みなさんお元気ですか。(鼻の下を真っ赤にしながら)
さてさて「君が好きだと叫びたい」
第四十九回は「吉祥寺の朝比奈くん」
あれ、これまだ書いてなかったよね…?ね?
第四十九回 吉祥寺の朝比奈くん
最近、ジャケ買いならぬ表紙買いをしてしまった一冊が、こちら。
イラストは紀伊カンナさん。私が彼女のイラストを大大大好きであるという贔屓目を抜きにしても、この表紙の力は、強い。この気だるげで中央線沿いにいそうな青年、これが「吉祥寺の朝比奈くん」なのだろう。書店で彼と目があった瞬間、もう気になって仕方ない。彼のことを知りたい。買うしかない。
この表紙は第二版らしく、重ねられた第一版の表紙を見たがこの表紙では買っていなかっただろうと思った。いやはや、表紙の力というのはすごい。
表紙を褒めちぎったところで、ではジャケ負け、もとい表紙負けだったかと言われたら
全くもってそんなことはない。
彼女の名前は、上から読んでも下から読んでも、山田真野(ヤマダマヤ)。吉祥寺の喫茶店に勤める細身で美人の彼女に会いたくて、僕はその店に通い詰めていた。とあるきっかけで仲良くなることに成功したものの、彼女には何か背景がありそうだ…。愛の永続性を祈る心情の瑞々しさが胸を打つ表題作など、せつない五つの恋愛模様を描く中田永一の代表作。
中田永一さんの代表作でしたか。浅学でしたわ、失礼。
どの短編も恋愛を扱ってはいるのだけど、それらの物語に「嘘」が加わることでとても味わい深いものになっている。
誰かが嘘をついている場合、特にそれが語り手であった場合、話は少々厄介になる。後者の場合はなんだかそれってずるくないか?という気持ちになるのだけど、それこそが文章表現の醍醐味で、二度読み必至のパターンで、結局その巧みさが好きなんだと思う。「騙された!」と思いながらページをめくる時、僕の脳は大変喜んでいるようだから。