#41 いつまで異世界で転生してんの?
今日は異世界転生アニメの話。
シーズンごとにアニメはほとんど録画して、食事のときに一話ずつ消化している。おもしろいものは毎週見るが、なんとなく合わないものはふるいにかけていく。今見ているのは、
・新サクラ大戦
・LISTENERS
・かくしごと
・プランダラ
・神之塔
・無限の住人
・啄木鳥探偵処
・社長、バトルの時間です!
・グレイプニル
・アルテ
・八男って、それはないでしょう!
といったところ。あらためてあげてみると11個も見ているらしい。恐ろしい。加えて、一昨日あたりに「バキ」の新シーズンがNetflixにアップされたので、その日のうちに見てしまった。
あと、昨夜から今日にかけて「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」と「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」をすべてみた。仕事が再開したりするような、生活リズムが変化するタイミングでバカみたいにアニメを見る習性があるらしい。いわゆる現実逃避だからこそ、異世界ハーレムを見て精神の安定をはかっているのだと思う。
加えて、自粛中のノンストレス状態時にはコーラが飲みたくなったり、ジャンクフードを食べたくなったりということはほとんどなかったのだが、仕事が再開した途端にコーラ飲むはピザ食べるわ、ハンバーガー食べるわで、露骨に嗜好の変化が見られる。
いかに対人コミュニケーションや不本意な仕事をすることが自分にとってストレスフルな環境なのかが本当によくわかる。異世界ものの主人公は、現実世界ではそういう引きこもりが多いので、きっと共感するのだろう。
とはいえ、よく見ていると、異世界主人公はみな一流ゲーマーだったり、現実世界では日の目を見ることはなかったが、オタク的に豊富な知識を持っていたりと、かなり頭がよかったりする。それを見ていてなお、ぼくは異世界主人公にすらなれないような劣等感を持ったりするので、本当に精神安定が保たれているのかは定かではない。
ただ、いつのころからか話題になった異世界転生アニメを毎年毎年飽きもせずに見続ける「どうしようもなさ」というのは少し自分の中で「テーマ」としてストックしておきたい魅力がある。
たぶん、異世界転生アニメを見て喜んでいる人たちも、かなり自覚的に見ているのだと思う。
結局、現実世界でどうにもならないので、自分にとって都合のいい世界で、世界を左右するような最強の力を得て、世界中から注目され、どんな女の子からも無条件に都合よく承認されることを望んでいる自分、そして、それを擬似的に視聴し、没入し、喜んでいる自分が、すごく「どうしようもない」ということ。
おそらく、そのことには気づいている。そして、先ほど言ったみたいに、実は自分は異世界主人公ほどの「努力」もしたことがなく、自分を投影するにしても、あまりある魅力を備えた自分とは全く異なる主人公がそこにいるということにも。
異世界転生ものは、ぼくのような現実世界をうまく生きられない人間を救っているようで、実は全く救っていない。救っていないどころか、さらに深みに引きずりこんで、この沼から逃さない。一見、ストレス解消や現実逃避で見ていることを自覚させるが、実はまったくストレスを発散させずに溜め込ませる。そういうものなのだろうと思う。
昨夜、なぜか見始めた「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」では、次々に女の子が仲間になっていく。最後は総勢10名ほどになり、それぞれの女の子からの色じかけを受け続けることになる。
そこで、これもよくあることなのだが、異世界主人公は、そういう状況を喜びつつも、呆れたり、困ったりして、結局手を出すことをしない。「デスマーチ」では、夜の町のお姉さんと行きずりの関係を持って、仲間キャラに不潔!とか言われるくらいには「性的」な描写はあるのだが、あくまで仲間キャラには手出しをしない「倫理観」を持っている。
それはもちろん、その仲間キャラのほとんどがロリキャラで、「放送的」にまずいということが第一にあるにしても、おそらく、異世界ものを見て喜んでいる「異世界主人公」になりたい視聴者層にはそんな「倫理観」は持ち合わせていないのではないか。
いつまでもラッキースケベ的なハプニングを楽しみつつ、誰も選ぶことなく(一部のアニメは選択する。SAOやReゼロなど。八男では一夫多妻を実現することで選択しない。)、決定的なことはせずに、ハーレム状態そのものを維持しようとするある意味、聖人のような異世界主人公の倫理観を見るに、やはり歪んだ劣情を抱えたぼくたちとは全く異なる主人公がそこにいるのだろう。
それでも、見ることをやめない、というところには「承認ポルノ」的な側面があって普通に抜け出せないわけだし、単純に喜んでいるわけだから見続けていいのだが、基本的に構造的な「どうしようもなさ」を自認した上で、メタ的に異世界アニメを見ている自分を見るとなんだかおもしろい。
なんでおれはいつまでもこんなものを見ているのだろう、それこそ、あと何年、こんなアニメを見続けるのだろう。40になっても50になっても、異世界転生アニメを見て喜んでいるのだろうか。そんなことを考えると、すごくワクワクしてくる。
そんなわけで、転んでもただでは起きない。「異世界転生」ものの詩を、今度書いてみようと思って、これもまた楽しみになっている。自分の欲望や、行動をしっかりと観察すること。そうやって、一日一日を楽しんでいく。
*
ちなみにいま好きなのは「八男って、それはないでしょう!」。たまに作画がひどいし、ストーリーやキャラクターの扱いが雑だろ!ってところはたくさんあるのだけれども、エリーゼというキャラが無性に好きで楽しんで見ている。それを見た後に、「アルテ」というフィレンツェで画家になることを目指して修行する女の子の話を見たりすると、打ちひしがれそうになる。そういうギャップを楽しむのもいい。「LISTENERS」というアニメも惰性で見ているが、ぼくがファッション的に好きな「モッズ」がたくさん出てくるので、そういう意味でおもしろく見ている。次の夏アニメは、コロナの影響でいったいどうなるのだろうか。そこが、少し気になる。
↓大好きな「盾の勇者の成り上がり」のモーメント集!
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