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人生を俯瞰せよ、とその予備校講師は言った

自分の人生とはなんだろうか
そもそも人生とは、自分とは

ドイツに来て4ヶ月が過ぎた
あっという間すぎて驚くというより疑っているし、少し落胆している

旅に出ただけで何かが変わるかとかそんなことは一つも期待していなかったはずなのに、ただただ何もできるようになっていない自分とは一体なんなのだろうか、うかうかしていたらこのまま春がきて夏が過ぎ去って、日本に戻る日が来てしまいそうで少し怖い、そんな思いにもならない思いをたゆたわせている

何ができるようになりたいのかもよくわからないし、帰国後にどう生きていきたいのかもよくわからない
ただ企業でまともに働いてみたい気もあれば、前の職場に戻りたい気持ちも少しあって、どちらにせよその後の人生をどう歩むかとか、とても悩ましい

私の場合、やりたいことよりもやりたくないことよりも、なにより考慮すべきなのは「できないこと」だと思うのだけれど、できないことが多すぎて、それでもどこかで「私はなんだってできるタイプだ」なんて思いがほんの少しだけれど確かにこびりついていて、それはまるで長いこと洗われずに放置されたマグカップの茶渋みたいだ。

私の生きてきた歳月と同じだけその茶渋は染みついていて、もしかしたらもうどんなに重曹とレモンを駆使してもハイターに頼っても完璧には落ちないのかもしれない

となるとその思いをどうにか真実にするより方法はなくて、まあ私は満員電車にも乗れないし毎日同じ時間に同じ場所に向かうとかもできないしお腹は弱いし気まぐれだし飽き性だし寒いと泣くし暑くても泣くしすぐに人のせいにするし世界史は覚えられないしネトストするしゴミの分別は適当だし人前で話せないくせに人前で寝るし自分の領域しか綺麗に保てないし嫌いな人に親切になんてできないしどうしようもなくどうしようもない人間で、だからなんでもできるなんてのは完全に幻想なんだけど、それでも自分でやりたいと思ってやると決めたことくらいは、できていたいななんて自分に期待してしまう。

去年の夏、夜の阿佐ヶ谷。
18歳の頃にインターンシップで出会ったお姉さんと食事をして、オリーブをつつきながら話していた。
その内容が1年以上もの時を経て、脳内で踊り狂う

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