口笛とまばたき
最近読んだ本の話
紙↑Kindle↓
2冊とも重松清さんの本で、積読と言うか昔読んだけどあんまり記憶に残っていなかったもの、だと思う。
「四十回のまばたき」は売れない翻訳家が妻に不倫されて奥さんが事故で死んでその妹の季節性うつ病みたいな子(耀子)と寝て子どもができて、翻訳した本の原作者のチェーンソーが似合いそうな熊みたいな男に気に入られて励ましあってなんだかいい感じって感じの話。
耀子の言うことはよくわかる気がして、やっぱり肌と肌の触れ合いは大事というか必要不可欠だし、私はまた梅雨がくるかと思うとほんとうに憂鬱で冬眠(雨眠?)したくなるし、それを許して諦めて受け入れてくれる環境をつくりたいな、なんて思っちゃう。
梅雨ってほんとうに何もしたくなくなる。死のうとしたことのない季節って梅雨くらいかもしれない、ってくらいには無気力。まあ春も冬も秋もだいたい気力削がれてるんだけど。
「口笛吹いて」
これは重松さんによくある短編集で、一つ目のお話は覚えていたけどその他の話はあんまり覚えていなかった。もしかしたら改変されたものを文庫とかで読んだだけかもしれない。
けっこう昔の話なのに、今読んでもここのところ盛り上がっているフェミニスト界隈とか、そういうところにすごくいい切り口で語りかけてくれている気がして、時代を先取りしたいい話だなと思った。私が知らないだけで当時からフェミニストっていたんだろうけど、今ほど目立ってなかったと思うの。
フェミニストだとか男尊女卑だとかの、こんなにもわかりやすくていい話を読んでいたはずなのに、どうして私は女に甘んじたりくすぶったりしていたのか、自分でもよくわからないな、とは思う。
男女雇用機会均等法なんて遠い話すぎて、社会の教科書に出てくるやつでしょ、当たり前じゃん、って子どもの頃から思ってて、でも社会に出ると当たり前じゃないなってやっと気がつくみたいな、そんな世代なんだろうな私たちは。
重松さんはそれにギリギリ間に合わなかった世代の、強い女の子の話をちょくちょく書いていて、当時はすごく革新的なことだったのかな、なんてぼんやり思う。でもなにかの短編集の解説にもあったけど、重松さんは「弱い男の子と強い女の子の話 」しか書いてないよね、とも思う。まゆみのマーチよろしく、出てくる女の子がたまに弱くても、根は強いからしっかり生きていく、みたいなの。よく言えば女性を尊敬してるんだろうけど、悪く言えば女に幻想を抱きすぎ、理想を押し付けすぎ、分かった気になりすぎ、みたいな。
それでも私はどうしようもなくこの人の文書が好きなので、だからこそどうしようもなく弱くて縮こまって息もできなくなってるような、小さき者への引きこもりしてる息子みたいな、そんな女の子のお話も読みたいなあ。と思います。
カバー写真は世界一おいしいカツ丼です!
週末晴れますようにーーーーー