比較が始まるから、本当は誰かのエッセイなんて読みたくない
誰かと自分を『比較』しては、テンションが下がり、下を向いて歩く日々を送っている。
ことエッセイで言えば、人気の記事を読み『どうやったら俺のも読んでもらえるのか?』『このテーマで俺ならどう書く?』『俺にこの描写、このまとめ方ができるのか?』などと、考えてしまう。
そして、読み終えた直後、自分の可能性に賭け、いざ筆をとると、あまりに無惨な表現に、吐き気を催す。
何も出ない。
気を抜いていると、下書きに、うんこや、ちんこの話が溜まっている。
逆も然り。
『自分も同じ事を考えていた!』『俺と似た表現をしている!』となると、テンションが上がる。
俺にも書ける、と書き始め、気づけば下書きの中が、うんこや、ちんこでいっぱいである。
もう二度と、下書きを開きたくない。
誰かが書いた物を読まなければ、勉強にもならないし、良い影響も受けれない。それは、百も承知なのだが、奮い立つ事よりも、歴然とした差に恐れ慄く方が、遥かに多い。
なので、正直、誰のエッセイも読みたくないのである。
地区大会、県大会を突破し、全国で活躍する『その人』たちと、同じ土俵で戦える日を諦めれない。
良い勝負に縺れ込む、いや、取り組むことすら無理な事くらい分かってるのだが、脳が勝手に働いてしまうので、僕にも止め方が分からない。
今日も比較しては、気分が落ちる。
この『テンション下げる攻撃』は、波状でやってくる。
第一の波は、憧れている世界の仲間に入れる可能性が有るかもと感じた直後、相手のさらなる実力が垣間見えた時、に来る。
第二の波は、過度に自分に期待している状態に気付かずに、ただただ動き始め、失敗に終わった時、に来る。
そして、第三の波は、テンションが下がった直後『所詮、俺には無理だろ』と自分を蔑んだ時、に来る。
そして、落ち切った時『悩んでも仕方がない』と諦め、筆を取り、下書きを開くと、うんこや、ちんこがいっぱいで、奈落の底に落ちていく。
結局は、自分の行動原理がそうだからなのだろう。
『出来たほうが良いに決まっている』と思っているから、こう思ってしまうのだろう。
これが『嫉妬』なんだろうな、と改めて思う。
ここ最近まで『嫉妬心』の本質を理解していなかった。
『ねえ、どこ行ってたの?』
『ん?友達と飯。』
『友達ってだれ?』
『同級生』
『それって男?女?』
『どっちでもいいだろ』
『どっちでも良いって事は絶対女じゃん』
これが『嫉妬』の全てだと思っていた。
たまに、言葉の意味を短絡的に捉えてしまっている自分を感じる。
憧れた先に近づききれない事で発生する醜い感情も、歴とした嫉妬である。これに気付いたとき、僕は齢30であった。Oh.シットである。こういうところである。
そして、この嫉妬心を『醜い』と刷り込まれている為、嫉妬心が芽生えた自分すら否定してしまうようになる。
嫉妬する=ダメな事。
だから『嫉妬なんてしない自分にならないといけない』と思ってしまう。
そして『嫉妬している自分』を人に見せる勇気が無いので『嫉妬なんてしない自分』を人に見せるために『嫉妬なんてしていないよ風』の、毅然な態度を示す。
僕の様に熟練者になってくると、この『嫉妬なんてしてないよ風』の顔を、高倉健クラスの制度で、放てるようになる。
結果、相手に『嫉妬しない人間』だと思われてしまい、余計嫉妬している姿を見られるわけにはいかなくなる。
が、どうしても嫉妬してしまう自分を表に出す事が出来ないのだ。
嫌われたくないのだ。
嫉妬する➡︎テンション下がる➡︎嫉妬してるのがバレて嫌われたくない➡カッコいい人間であろう➡カッコいい人間は嫉妬なんかしない➡高倉健➡︎俺、今自分に嘘ついてるな➡︎糞だ俺は➡︎テンション下がる➡︎エッセイでも書こう➡︎下書きにうんこや、ちんこがいっぱい➡︎奈落に落ちる
である。
僕の場合は、羨んだ後、憎しんでしまう『妬み』より、羨んだ後、悔しいと思う『嫉み』の方が、分泌量が多い。
なので、隣の芝生がエメラルドグリーンに見えまくっている。そしてその芝生と自分の芝生を見比べて、絶望するという働きである。
この自分が大っっっ嫌いなので、どうにか殺せないかと試行錯誤をしてみる。
そもそも、比較をしなければ良い。
そう思ったのだが、偉い人が言うには、人間はそもそも、何かを認識する時、比較で認識しているらしい。
赤色を認識する時も『他の物よりコッチの方が赤いから、コレは赤な』とか、リンゴを認識する時も『コッチのみかんっぽい奴より、これの方がリンゴっぽいからコレはリンゴな』という風に、脳内で処理が行われているらしい。
結論、比較を取るのは無理です。
一生、比較していきます。
あと、嫉妬はします。
嫉妬しないなんて無理です。
比較し続けるし、嫉妬し続けるし、テンションも下がり続けるし、カッコつけて高倉健の顔し続けるし、下書きにはうんこが溜まり続けます。
それが人生なのです。
人間とは、そういう生き物なんです。
だから、コレを面白がってもらうようにするしかないのです。
だるい。
あーあ、本当に嫌な感情。
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