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いつか、夏の日の日記。


ノウゼンカズラが、いつのまにか咲いている。

光を発しているような鮮やかなオレンジが、ふわふわとたくさん。
思わず立ち止まって見とれる。
なぜかわからないけど、うらやましくて、眩しい。
ほかにもきれいな花はたくさんあるのに。
今日の最高気温は、34℃だったって。


今日は休みで、でも取り組まなくてはならない用事がいろいろ迫っていて、でも拒否反応のようになかなか手がつかなくて、あぁだからだめなんだ私は…仕事が遅い!と自分にダメ出し、自分でへこむ。
ここ数日、ずっとこんな感じ。


まずは、心よ静かに……そう、掃除だ、拭き掃除をしよう。
ふきんを濡らして、きゅっきゅと床を拭く。

無心なようでいて、いろんなことを考えている、頭の中で私と私が話してる、あぁ全然静かじゃない。



幸せは相対的なものじゃないよ。
あれもある、これもある、どう考えてもあるよ、と自分を納得させようとしているときは、あまりよくない。
もちろんそれも大事よ、わかってる。


でも、どんなに小さなことでも、あー幸せだ!と、心から言えることが重要だ。
目を瞑って斜め上を向いて、思わずため息と笑みがこぼれるような。
それこそ、自分だけの絶対的なもの。





拭きあげたあとの床は、清々しい。

大の字になって、吹き抜けの高い窓から空を見上げる。
泳ぐように、木の床を両手で撫でる。


最近、妙に木が気になるのは、たぶんこれを読んだせいです。
幸田文の「木」。

そう、あの映画「PERFECT DAYS」で、平山さんが古本屋で買って読んでいた本だ。
そんなことすっかり忘れていたのだけれど、先日本屋の文庫本コーナーをうろうろしながら、何を買おうか迷った挙げ句途方に暮れていたとき……ちょうど目に飛び込んできたのが、この表紙だった。

正直、期待以上のすばらしい本だった。
幸田文さんその人の並々ならぬ気迫のようなものが感じられて、自分の足と目と心とで全てを感じ取ろうとするような、それでいて謙虚で慈愛に満ちた…

描写される木々の姿を目の前に立ち上がらせるべく、思わず想像力をはたらかせてしまう、豊かな一冊だった。



去年、岡山で買ったヒノキのオイルがあるのを思い出し、その香りを吸って深呼吸してみる。

木材としてのヒノキは知っているけど、立っている木としては意識して見たことがないので、恥ずかしながら、これがヒノキです、と言えない…。
私の旧姓には、「檜」の文字さえ入っているのに。



今さらながら、そんなことを考えたりしているけれど。
これもまた、一冊の本との出会いからです。




半年くらい前…夏に書いたこの日のnoteが、なぜか下書きにひとつ、入ったまま。
なんでだろう、、基本下書きを何日も保存することはないのだけれど。
何か理由があって公開しなかったのだと思うけれど、忘れちゃった。
せっかくなので、捨てちゃう前に。
だいぶ季節外れだけれど、、。


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