仲良し関係をつなぐ「スケープゴート」


スケープゴートと聞いて「城之内くん」を想像した人も多いはず。

オシリスでもオベリスクでもなく、ラーの翼神竜を選んだあなたは、特殊能力も財力も地位も名誉もない平凡な金髪高校生が、赤と青の絶対的存在を、ドラマティックにぶっ壊していくありえない展開を期待していた当時の私に共感してくれるはず。自分でも何を言っているかよくわかりません。

というわけで、今日も一日お疲れ様でした。


おやすみ前に、スケープゴートの話をします。みんなで羊を数えましょう。



1. クラスで紹介した『友だち幻想』


学校の図書室にあるので、クラスのみんなに紹介したことがあります。道徳の授業で、「いじめ」について扱った際、スケープゴートちゃんの話が出てきました。スケープゴートちゃんは、たまに教室の黒板の隅に書かれていることがある、いたずら書きキャラの一つです。

作者の菅野仁さんをはじめ、個人的に社会学の本を何冊か読みましたが、どの本も面白いと思いました。いま教室の私の机には宮台真司さんの「14歳からの社会学」を置いてありますが、クラスのある一人の子が黙々と読んでいます。「願望水準と期待水準」を自分なりに解釈していました。

2. スケープゴートの理論


さて、人間は「なぜいない人の悪口を言うのか」という問に対して、社会学者、作者菅野仁さんは、スケープゴートの理論で説明してます。

人々の憎悪や不安、猜疑心などを一つの対象(個人や集団)に転嫁して矛先をそちらにそらせてしまうことを「○○をスケープゴートにする」などと言います。

例えば…
ⒶさんⒷさんⓒさんがいたとして…

(ⓒさんがその場にいない場合)
⑴ ⒶさんⒷさん は、"ⓒさん"の悪口で盛り上がる。

⑵ "ⓒさん"を排除することによって、
あなたと私の親しさを確認し合う」ことができる。

⑶同時に、ⒶさんとⒷさんは新たな不安を引き起こしている。それは「今度はⓒさんのように,私が悪口を言われるかもしれない。排除されるかもしれない。」
⇒結果、ⒶさんとⒷさんはますます固まっていく。

いつも関係を密にしておかないと、いつ排除されるかわからない不安が付きまとう。不安になるからますます固まって一緒にいるってことになります。


3.学校の先生が陥る誤解

本書の中で,作者が学校の先生に向けて友だちグループを”誤解”について紹介しています。

学校の先生の立場からみると、「あの子たちはいつも一緒にいるけどすごく仲がいいんだな」なんて思える子どもたちの集団でも、よくよく話を聞いてみたり、様子をうかがってみると、じつは非常に緊張した状態でいつも一緒にいる場合があります。


「楽しい」気持ちもあるけど、
「そこにいないと不安になるから、陰口言われるのが嫌だから一緒にいる」
という、心が全然落ち着かない関係性に苦しむ子どももいるって話です。


4.物事を多面的に考える。


多面的思考・・・一つの事柄について、見る立場を変えたり多くの人の見方を生かしたりして、対比させ合い、深め、掘り下げること。


って話を、道徳の勉強会で聞いたことがあります。道徳の授業の中で、授業者である我々が子どもたちに考える道徳を仕組んでいく際に大切にする思考として紹介されました。(もちろん、多角的思考もありましたよ。)


子どもに考えさせる前に、まずは先生ができてんのか?ってことですね。

笑顔の裏に潜んでいる別の顔。あなたは見つけられますか?





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