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続:不登校になること②-3-保護者の目線-

今回は、より実践的な内容にしていきます。

noteを書き始めて、間もないころに書いたこの文章。
改めて読みなおすと、もう一度このテーマで書かないといけないなという気持ちに駆られました。その第2番目は連続回になります。

前回までは、保護者の目線で…ということで下記内容をご参照下さい。

前回までのポイントをまとめると、
・まずは、自分自身の体調・気持ちを少しずつ整えること。
・自分自身のコア・ビリーフを振り返る
「自己認知」・「他者理解」の実践
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①「いつまで続くのか」という不安
・ずっと続くかは「わからない」だけど、常に前進していると捉える

となります。※詳しい内容については、上述内容をご覧ください。


さて、今回は相談が多いポイントの
「次の一手の方向性がわからない」ということについてお話したいと思います。

おそらく、ほとんどの方が「初めて」の経験になります。
ですからそうしたノウハウなんていうものは、自身の知見の中にはありませんし、もっと言えばそれこそ一人ひとり人間ですので対応は異なります。
誤解を恐れずに言えば、
「どれも正解、どれも不正解」
なのです。

こんなことありませんか?(私が受けた相談の一部です。)
・普通に「おはよう」と声をかけたり、「ご飯できたよ」と声を掛けたら、「うるさい!構わないで!」と怒って、部屋にこもってしまった。

・前日の夜までは「行く」と言っていたのに、当日の朝になって「やっぱり、行かない」と言い出して、結局何もしない毎日が続いている。

・自分は見守ろうと思っているけど、夫が「学校に行かせろ」と方針が合わず、その様子をおそらく子どもも見ていて、家庭内の雰囲気が良くない

・ずっと部屋にこもりきりで、どんな生活サイクルをしているか見えない。たまに出てきても、最低限の会話しかできていない。

私は、こうしたご相談をいただいたときに、一つの参考として…
という前提はつけておりますが、こういうプロセスを経てみませんかという提案をしています。
それが、ビジネスフレームワークの応用・アレンジです。


その一つとして、OODA(ウーダ)の活用です。

まず改めてOODAについて、少しだけご紹介をすると、

OODAループ(ウーダループ)とは、元々は勝敗に関わる意思決定と実行のための思考法の1つです。国際的な競争力が問われる製造業を含むビジネスはもちろん、現場の業務や私生活、スポーツなどあらゆるシーンでの改善に役立つ考え方です。OODAは、Observe(観察)・Orient(状況判断)・Decide(意思決定)・Act(実行)の頭文字4つで構成されています。

変化に強い「OODAループ」とは?「PDCAサイクル」との違い|ものづくりの現場トピックス | キーエンス (keyence.co.jp)
https://www.haruharu-career.com/より

・Observe(観察):観察することによって現状を認識します。
・Orient(状況判断):観察結果から、状況判断します。
ここでは、Observe(観察)で得たデータから、次のDecide(意思決定)に必要な材料を見極めていくことが重要です。
・Decide(意思決定):具体的な方策や手段に関する意思決定を行います。
この時点で、判断材料の不足に気づけば、観点を変えて観察(Observe)に戻って、ループすることも可能です。
・Act(実行):意思決定したことを実行に移します。
実行後は、フィードバックするために再びObserve(観察)、または必要に応じて他の段階に戻り、ループを再開します。

変化に強い「OODAループ」とは?「PDCAサイクル」との違い|ものづくりの現場トピックス | キーエンス (keyence.co.jp)

一見、全く関係がないように思われますが、
思考の整理と、そして自身の行動の振り返りをしていく際に、何もないところから、やみくもに何かをしていくのではなく、ある程度の形・フレームに従いながら、それをアレンジさせてやっていくことがやりやすい形になると思います。
※実際、私もこの流れや考えかたは、かなり意識していました。


ここで、色々なご相談を受けていく中で、このフレームを適用させていく際のポイントは、
Observe(観察):観察することによって現状を認識します。
Orient(状況判断):観察結果から、状況判断します。
ここをどれだけアンテナを張ることが出来るか、
そして、主観と客観を整理しながら、出来るかということです。

①Observeが正直、一番の鍵ではないかと感じています。
どれだけ変化に気づけるか。どれだけアンテナを張れるか。

微妙な言葉の変化、ドアを開ける音、発言の端々にある感情、服装のチョイス、食事の様子、話すときのしぐさ、好みの変化…。

これを沢山蓄積していきます。全てを把握・認識する必要はありません。ちょっと気づいたこと、何気ないことをメモ書きしたり、スマホに記録に残したりして、次のOrient(状況判断)のために、材料をたくさん集めておくのです。

これもアレンジの仕方にはなるのだと思いますが、活用できるものとして
ビジネスシーンにおいて、営業戦略、マーケティングを行っていく際に、
「ペルソナ」を設定する
というのも紹介しておきます。

どういった人物像が、ターゲットになるのかという、いわゆる
”仮想顧客を作り上げる”ということなのですが、その情報は広く多岐にわたり、さらに深掘りをすればするほど、Act(実行)の精度が上がるのです。

営業戦略・マーケティングを例で言うと、
これから新商品の化粧品づくりをしたいときに
・20代男性をターゲット
とするよりも
・いそうな存在として、ある人物を
27歳男性|営業職で外にでる機会が多い|残業も多いが、その後食事会に参加することも多い|独身、一人暮らし|運動大好きでマラソンが趣味
など、情報を深めて考えた場合、
上の方は、どんな商品を作ればいいかな…?と考えが止まりそうですが、
下の方は、外に出る機会も多く、運動好きならば
「夏の暑い時期に爽やかな気持ちになれる商材」はどうか?
とより具体的に、施策を練ることが可能になります。

つまり、相手の情報をたくさん知ること、想定することが大事なのです。
ご家庭の場合、「想定」は必要ありません。
改めて、お子さんが”どういう性質・性格”そして”行動傾向がある”のか、そして状態なのかということを改めて知るということが必要なのです。
これがObserve(観察)なのです。


そして②Orient(状況判断)については、改めて観察したものから、考察を広げていってほしいと思います。

これも一つ考察をする際のフレームワークとしてご紹介したいのは、
『ソラ・アメ・カサ』という考え方です。

マッキンゼーの日本オフィスが考えた思考のフレームワークですが、誰でも簡単に使いこなせます。
・空(ソラ)を見ると曇ってきた【事実】
・雨(アメ)が降りそう【洞察】
・傘(カサ)を持っていこう【打ち手】

報連相ではなく、「ソラ・アメ・カサ」で確認する | 「ラクして速い」が一番すごい | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

ソラ【事実】は、既にObserve(観察)で行っているので、
ここからはアメ【洞察】とカサ【打ち手】を考えるということになります。
大事なのは、アメ【洞察】の際に、
原因探しにならないこと。未来を考え「どうなりそうか」という問いを立てて考えることです。

例えばですが…

・今日は朝早く起きて、表情も少し明るい【事実】
・少し行動してみようという気持ちになるかもしれない【洞察】
・一緒に買い物に外出しないか、誘ってみよう【打ち手】

OODAの良いところは、
判断材料の不足を感じたら、もう一度観察に戻る。
実行後は、すぐにループを戻すことが出来る。
つまり、この円環を自身のペースで行うことが出来るということなのです。
※本来は事業活動上でのフレームワークでは、素早さが大事なのですが、こうした支援の場合は、大事なのは支援の度合い調整です。

ただし、これは経験上ですが、ここは意識した方が良いと思います。
それは、

自身の決定した打ち手の効果測定については、期日・締切を作ること。

これは、打ち手がどうなるかを判断するのに、期日を作らないことはループを回すことにつながりません。むしろ停滞を引き起こします。そうであれば、判断材料が足りなかった(Observeの不足)か、判断基準が違った(Orient
のミス)の可能性が高いとし、そこをもう一度見つめなおしましょう。

先程の事例だと、
・一緒に買い物に外出しないか、誘ってみよう【打ち手】

この後、声をかけて、その場で「行かない」と言われても、もしかしたら気持ちに変化があるかもしれないから、昼ご飯過ぎ(14:00)までに返答がなければ×としよう。

みたいな感じです。これが旅行であれば、前日までとか。そうした締切設定をしておかないと、停滞が発生してしまいます。

ただし、これもやりがちな間違いなのでお伝えをしておくと、
相手に締切・期日を押し付けることは、絶対にダメです。
これ事業活動等であれば、「締切効果」ということも考えられますが、こうした支援の場合は「プレッシャー」にしかなりません。

先程の事例では、
声かけの段階で、
「一緒に買い物に行かない?お昼過ぎには出たいから、14:00に出れるように準備しておいてね!」
というようにしてしまうと「押し付け」「行動制約」になります。また
「一緒に買い物に行かない?お昼過ぎには出るから、行けるかどうかはお昼ご飯の時までに教えてね」
一見、良さそうですが、「返答しなければならない」という行動制約をしているのです。受け手側は「あ、これ答えなきゃならないんだ…面倒くさい」となる可能性があるということです。

例えば私なら
「一緒に買い物に行かない?14:00くらいに家を出るから、もし良かったら!行っても行かなくてもどちらでもOKだから、とりあえず予定は伝えておくね。」
というように、自分の行動・計画に対して、乗っかりますか?という程度に留めて置き、返事するもしないも自由、行く行かないも自由という、自由の裁量を多めに残すことが大事だと思います。そして、この声掛けの際もノーリアクションかもしれないし、”うん”とうなずくかもしれないけど結局行かないなどはあり得ます。

アクションをした。そしてその時の動き・反応がどうだったかを検証することが出来ればOKなんです。


こうしたトライアンドエラーをたくさん繰り返すことになっていきます。
無理のない範囲、ペースでやれることが大事でしょうし、
期日を決めてとはいうものの、期日までは「待つ」という姿勢は必要。

何よりも、保護者の皆様自身の”心を整理しながら、落ち着かせながら、やっていくこと”が必要ですので、その前提は崩さないようにして下さいね。

さて保護者の目線を多く語りましたが、指導者からの目線も少し話してみたいと思っています。

引き続き、よろしくお願いします。


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