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この世界に「自分のもの」は一つも無い〜私たちの役目は、与えられたものを世界に循環させること〜【仏教哲学】


私たちは何も持たずに生まれてきました

今持っている全ては自分のものではない
自分で選んだどんな環境も
努力で手に入れた物やお金も
苦労して築いた関係性も
育んできた自己の心身すらも


この世界においてただ「必要があった」から
自分に与えてもらえたものです

たくさん持っているように見えてもそれは
恵まれる量や大きさや質がただ違うだけです

人生の「役目」に必要なものは人それぞれ
そこに比較や優劣は一切無い



閃いたと思われるそのアイディアさえ
大元のソースから自分のどこかに刻まれ
ストックしていた自分の無意識が
然るべきときに発現させただけ


それを感覚でわかっている人は
自分の持っているすべてに対し
誇ることなどはしないのです


地位も名誉も環境も知識も
それを持たされていることで
何か成すべき役目があると

自分のためではない何かのためだと
むしろ謙虚にそれらを大切に循環する



お釈迦さまは自己の心に訪れる
「悪魔(軍隊)の誘惑や脅迫」として
以下の言葉を残されています

汝の第一の軍隊は欲望であり、第二の軍隊は嫌悪であり、第三の軍隊は飢渇であり、第四の軍隊は妄執といわれる。
汝の第五の軍隊はものうさ、睡眠であり、第六の軍隊は恐怖といわれる。汝の第七の軍隊は疑惑であり、汝の第八の軍隊はみせかけと強情と、
[第九の軍隊として]誤って得られた利得と名声と尊敬と名誉と、また[第十の軍隊として]自己をほめたたえて他人を軽蔑することである。

『ゴータマ・ブッダⅠ・Ⅱ』中村元選集(春秋社1992年)

後半にある通り
優越や奢りや比較などは
誰もが通る「悪魔」の心情です


しかし
「全て自分のものではない」
そのことに気づけると

誤った優劣の心や
持っているものへの執着を
手放していけるのです


私たちは今
目に見える行動や言葉から
人や活動を理解するのではなく

その行為が自我的か慈愛の精神か
その本質を心眼で見極め
どちらの道を選択するかを
求められています



世界への感謝と尊敬の念を持って
自分に与えてもらえた恵みを
どのように生かすのか

自分を含めた世界全体へ
どのように貢献していけるのか



全ての人に等しく問われている今



残り時間をどうやって生きますか?


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