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感じたい


社会人になって1ヶ月が経った。


入社してから、毎日必死だった。

会社に慣れること。
先輩の名前を覚えること。
大きな声で挨拶すること。
仕事を覚えること。
先輩に置いていかれないように早歩きすること。
ランチをできるだけ早く食べること。
エレベーターの扉を押さえてボタンの前に立つこと。
誰かのグラスが空いていないか常に気を配ること。
早く寝て早く起きること。


一つ一つに必死で、何かをゆっくりと感じている暇がなかったな、とふと思った。



「仕事どう?」「つらくない?」

友達からそんな言葉をかけられるたびに、つらいのかな、しんどいのかな、どうなんだろう、そうやって少し考え込んでしまう。



帰り道に1人で泣いてしまったことが何度かあったけれど、家に着いてからもだらだらと泣くようなことはなかった。次の日に備えて早く寝なければと、ゆっくりと泣く間もなくお風呂に入って眠りについた。


つらい、しんどい、大変だ、そういうことを感じている間もないほどあっという間に毎日が過ぎていく。




これは多分悪いことではなくて、むしろ、考える時間があればあるほどネガティブなところに引っ張られてどつぼにはまってしまうタイプの私にとっては、良いことなのだとも思う。



一度立ち止まってしまったら、心の奥で眠っているいろいろな感情が溢れて止まらなくなってしまいそうだ。




それでも、どうしても、全てをじっくりと感じ取りたいと思ってしまう。考え過ぎて、感じ過ぎて、暗いところに深く堕ちてしまったとしても、何も感じられなくなってしまうことの方が私は怖いから。


感じたくないことも感じなきゃ
何も感じられなくなるから
誰にも言わない/宇多田ヒカル


だから、もう少し、ちゃんと感じていこう。




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