雨 #描写遊び
外の通りから、道路の轍にたまった雨水を勢いよく跳ねる車の音が響く。
しかし、その一方で、屋根を叩く雨音が止んでいるのに気づいた。
静かな室内。
扇風機が回る音が低く唸るように鳴っている。屋根からは雨の音は聞こえてこない。
止んだのだろうか?
ふと気になって私は外に出てみた。
勝手口の戸を開けると、湿り気を帯びてひんやり冷えた空気が私の肌を撫でる。
水溜まりを見ると、小雨が作る小さな波紋が映っていた。
雨はまだ降っていた。
水溜まりの波紋は生まれては消え、生まれては消えて…。その大きさも数も、どんどん小さくなっていく。
遠くの山を見ると、白くガスがかかっているのが見えた。
山が吐く息のようだ。
もう止むのかもしれない。
雨で充分に潤った空気を軽く吸い込みながら、私は空を見上げた。
私の顔に、蟻の涙のような小さな雨粒がパラパラと落ちて消えた。
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