マガジンのカバー画像

「翻訳文学試食会」の感想

25
ポッドキャスト番組【翻訳文学試食会】の感想まとめです https://open.spotify.com/show/2HHp4JBHtqBf6ziqgKo6Rj
運営しているクリエイター

2024年1月の記事一覧

【翻訳文学試食会】#64 カーソン・マッカラーズ「家庭の事情」〜アルイーとの向き合い方 の感想

※これはポッドキャスト番組「翻訳文学試食会」の感想です 今回の本 今回のキーワード 断酒して人生の後半を素面で生きていく干場さん 「家庭の事情」は絶品のつけあわせ 人間は環境の変化に弱い。アラバマからニューヨーク、共同体を失ってバランスを崩すエミリー 南部作家、カポーティー、フォークナーの面白さ どこに行っても特に臆しない大東先生 ほっこりするユーモア派と感じ悪いユーモア派(マッカラーズvsオコナー) 夫があかん。ケアできてない。妻はもともと他人、奥さんの危

【翻訳文学試食会】#42 フラナリー・オコナー「田舎の善人」〜天国に持って行けるものは の感想

配信を聞いて、絶対読みたい!と思った作品。紹介されているちくま文庫がすぐに見つからなかったので、こちらを読了。 今回のキーワード Vulnerability (ヴァルネラビリティ):脆弱性。自分の不完全さを認めることで強くなる オコナーはアメリカ南部の親鸞 ファンダメンタリスト(原理主義者)は善意の人 (作中の)セールスマンは自分を善人だと信じている? 民放を見ている人がNHKを見たときの感覚 オコナーはNHK説 ジョージア州怖すぎるやろ 同じ南部文学でも、

【翻訳文学試食会】#40 ジョン・チーヴァー「泳ぐ人」〜アメリカという若者、あるいは老いについて の感想

※これはポッドキャスト番組「翻訳文学試食会」の感想です 感想 「近所のプールを泳ぎついで自宅に帰る話」 先に配信を聞き、何を言ってるのかと思い、図書館で借りてみた。 のっけから「彼は自宅の階段を滑り降りて」 ここ干場さんも触れていたけど、もう嫌な予感がする。大人になってこんなことやるやつはあぶない。 知り合いのプールでにこやかに次々と調子良く泳がせてもらうネディーが水着姿で路肩に立っているあたりで、ちょっと徘徊老人のことを想起してしまった。 ビスワンガーさんのところ

【翻訳文学試食会】#1 ハン・ガン「菜食主義者」 肉食主義者たちの世界にいかに抵抗するか の感想

※これはポッドキャスト番組「翻訳文学試食会」の感想です 今回の本 今回のキーワード (韓国では)激しく肉を食べ、激しく酒を飲み、激しく喋っている 日本の小説と感覚がすごく近い いわゆる不条理小説「朝起きたら妻が菜食主義者になっていた」 肉食は文化的刷り込み?動物に対する迫害を正当化している。(家族、男女間の支配、被支配の関係につながる) 不条理はそのまま受け取れない。ユーモアは対象と距離を取る方法 ユーモアを感じない(カフカとの違い)しんどい 切迫した語り口

【翻訳文学試食会】#0 予告編「翻訳文学試食会」はじめます! の感想と聞き始めた背景

ポッドキャスト番組【翻訳文学試食会】の配信を聞いて、順不同で感想を記録していこうと思います。 最初は聞き始めた背景などを備忘録として。 どうやって番組を見つけたか? ApplePodcastで「本」のカテゴリから見つけた(と思う)。翻訳小説はもともと好きでよく読んでいるが、ミステリに偏っていたので、新しいジャンルや英語圏以外のものもきいてみたいと思っていたところ発見。 最初に聞いたエピソード #26 スティーヴン・キング「刑務所のリタ・ヘイワース」〜なぜ人々は映画「シ