コミュニティ運営効果の測定に一役!NPS®活用のススメ
お客様の未来の行動を予測するNPS®とは?
みなさん、こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
コミュニティを運営していると、必ず「コミュニティ運営の効果ってどう測定するの❓」「コミュニティ運営のKPIってどのように設計するの❓」という問題に直面します。コミュニティの目的や価値は、顧客エンゲージメントの構築やファン化であることが多いですから、「売上」に直接影響を与えるKPIとはちょっと異なります。
コミュニティ運営で商品やサービスの販売に直接結びつくKPIを設計しようとしても、何がよくて(または悪くて)販売に影響したのか、因果関係を結びつけることは難しいですね🤔
多くのコミュニティは、会員数やログイン率、サイトのなかでどれだけ活発な発言💬や投稿📱が行われたか(アクション率などと呼ばれています)をKPIとして設定していることが多いと思います。
私がおすすめするKPIは、自身もカゴメのファンコミュニティサイト🍅「&KAGOME」🍅を運営していた当時使用していた「NPS®」(ネットプロモータスコア)(※1)と呼ばれる調査手法での結果です。
まず、手法自体を簡単に説明しますね🎤。
NPS®は、顧客のロイヤリティ(愛着・信頼の度合い)を数値化する指標のこと。
NPS®を出すには、「この商品(サービス)を友人・知人に薦める可能性はどれくらいあるか」というアンケートに0~10点の11段階で回答してもらいます。
9~10点と評価した人を「推奨者」、7~8点と評価した人を「中立者」、0~6点と評価した人を「批判者」と分類して、「推奨者の割合」-「批判者の割合」=「NPS®(正味推奨者比率)」として計算します(図表)。
NPS®は顧客満足度調査とよく比較されますが、顧客満足度調査が「いま、満足しているか?」という現時点の評価であるのに対し、NPS®は「薦めたいと思うか?」という未来の行動を数値化している点が特徴です。
コミュニティのKPI(健康診断)として、現在そのコミュニティ参加に満足しているといった結果だけでなく、他人にわざわざ「薦めたい」という欲求がある分、回答した会員自身が将来においても会員でい続ける可能性が高いという指標になりうるのです👌。
(※1)NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です
単なるベンチマークで一喜一憂してはいけない
NPS®は調査手法が標準化しているため、そのスコアは調査を得意とするコンサルティング各社がベンチマーク値として公開しています。例えば、調査結果を用いたCX(顧客体験)からEX(従業員体験)までの因果関係に幅広い知見を持つEmotion Tech(エモーションテック)社(※2)では、製薬業界・アパレル業界などの調査レポートを公開しています📊。
(※2)https://www.emotion-tech.co.jp/resource/whitepaper Emotion Tech
また、NTTコム オンライン社も、幅広い業界におけるNPS®トップ企業ランキングとスコアを公開しています。(※3)
(※3)https://www.nttcoms.com/service/nps/report/ NTTコム オンライン
もっとも、調査結果をご覧になって、自社のNPS®スコアとのベンチマークには使えないことがおわかりいただけると思います。そう、業種や企業規模といった調査母集団によってあまりにも値が異なるのです。しかも、このコラムをお読みになっている皆さんが収集しようとしている調査対象は「コミュニティ会員」のため、NPS®スコアは高くなる傾向にあります。
したがって、Web上で公開されているベンチマーク値を上回ったり(または下回ったり)しても一喜一憂する必要はないのです😀。
コミュニティ運営評価では、NPS®スコアをどのように活用するのか?
では、このNPS®の調査結果をコミュニティ運営の評価にどのように活用すればよいのでしょうか?3つのポイントを紹介します💡
1)自社の他の集団との比較を行う
先ほど書きましたとおり、コミュニティ会員は自社と継続的になんらかの関わりを持ったお客様集団であり、他の属性の集団よりNPS®スコアは高くなると予想されます。無作為抽出の調査パネルや、キャンペーン応募の会員リストなどと同じ条件で調査を行ったうえで比較すると、コミュニティの健康状態のモノサシになるでしょう。
2)時系列でスコアの推移を確認する
単年の調査にとどまらず、複数年でデータを収集し、時系列の比較をすることも重要です。わずかな誤差は無視するとしても、単年の大幅な減少や複数年で連続してスコアが減少するような場合には、追加のヒアリングなどを行い、要因を突き止めるべきでしょう。
複数年でデータ比較を行う場合は、対象年ごとの調査条件は極力変えないことが望ましいです。性別・年代などのサンプル数はできるだけ揃えられたほうが良いですし、地域差など自社に影響の大きい要因がある場合には注意が必要ですね。
3)NPS®スコアと他設問の因果関係を確認する
NPS®調査のスコア自体を問う設問と同時に、そのスコアの要因となる「なぜ?」を深掘りする設問を投げ掛けることも重要です。
コミュニティのどのアクティビティに共感した(または失望した)のかについて仮説を立て、それに沿って選択形式のアンケート設問を作り、回答を得るとよいでしょう。
さらに、そのNPS®スコアと、支持する(しない)商品・サービスや、イベントなどの参加接触有無を紐づけることにより、NPS®スコア⇔コミュニティのアクティビティ⇔コミュニティ外のアクティビティの因果関係を確認することも可能です。また、シングルアンサーやマルチアンサーの設問形式に加え、フリーアンサーの回答も収集して分析すると、想定していなかった要因が明らかになることもあると思います。
「ちょっといい話」第5回まとめ
今回紹介したような「アンケートパネル」としての活用方法は、コミュニティ運営のメリットのひとつ。
NPS®調査を行う場合は、表面的な点数の高低だけでなく、その理由まで聞くことが重要です。コミュニティ会員は、一歩踏み込んだヒアリングにも丁寧に応えてくれるので、企業にとって強い味方ですね💪
コミュニティを通して、そうした味方を増やしていくのも、運営の大切なポイントだと思います✨
次回もお楽しみに👋