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2代目繫盛のルールその31「値上げこそ社長がすべき立派な企業努力」【創業組が嫉妬する2代目マネジメント術㊷

「ルールその31 値上げこそ社長がすべき立派な企業努力」

先代からの看板商品があなたを苦しめる病「老舗病」?

二代目社長の皆さん。

あなたのビジネスを苦しめる「老舗病」の恐ろしさを知っているでしょうか?

これは看板商品である、あなた自慢の商品が実はあなたのビジネスを最も脅かす存在になってしまっているという恐ろしい病です。

以前、ルールその3でロングセラー商品を持つ事は街の文化につながる大切な事だと言いました。また、ロングセラー商品を時代に左右されない看板商品に成長させることはビジネス戦略上、最も重要なミッションでもあります。2代目まで続いたあなたのお店には、その看板商品がおありかと思います。

看板商品はあなたのビジネスの売り上げの1位を占める重要な商品であり、先代から愛され、あなたも大好きで、今もお客様から支持される素敵な商品ですよね。

ひょっとして、あなたはその商品をそしてその商品が大好きなお客様を大切に思うあまり「この商品は安くていいんだ。それがお客様のためだから。」なんて思ってませんか?

それこそが、あなたのビジネスを蝕む「老舗病」の正体です。

看板商品。

あなたのビジネスを支える大黒柱。売れてもらわなければたちまち困る商品。だから老舗では間違えてしまうことも多い商品です。
ロングセラー商品では、発売当時は近隣のどこよりも高かったのにいつの間にか時代の物価高に追い越されて、気が付けばどこよりも安い商品になってしまったというパターンが多く見かけられます。いつの間にかその値段の安さにも慣れてしまい「これはこんなもの」「安くていいものが売れて幸せだ」
「きっと、みんな喜んでくれている」なんて思ってしまっているかもしれません。

もしそうならば、あなた老舗病の重症患者です。

お店で最も売れて、最も生産している商品で利益を取れないという事は、働いても働いても誰も楽にならない。その結果、待遇は改善できず、スタッフもあなたも疲弊してしまうばかりか、お客様にも安いから買いに来てくださいと言う間違ったメッセージを発してしまいます。あなたの商品価値を理解しない間違ったメッセージをもとに集まったお客様は、あなたの話に耳を傾けてはくれません。何故なら安いと言う理由で来ているから。

値上げをしてこなかった看板商品は、あなたが望むお客様を遠ざけるばかりかあなたを価格競争へと縛り付ける鎖にもなってしまうのです。

つまり、看板商品でこそしっかり利益を出さなくては誰も幸せになれないのです。

あなたの顧客は本当に値下げを望んでいるのか?

お客様のためにと思ってプライスダウンした失敗例として、モスバーガーのてりやきバーガーの事例はとても有名です。

2002年、モスのてりやきバーガー発売30周年を記念し、当時価格で290円だったてりやきバーガーを200円に値下げして販売するキャンペーンを企画しました。

高いけど美味しい。それがモスのポジションでした。

「だったら安くて美味しなんて最強かよ!」

きっとお客様はそう喜んでくれるだろう。担当したマーケッターはこの企画の成功を確信していました。

しかし、ふたを開けてみれば

「お金をかけるならもっと美味しくなる事に使って欲しい」
「価格で買おうと思っていない」

何と、モスを大事に考えているお客様からクレームが多数寄せられ、ファンを落胆させる結果となってしまったのです。

お客様の購買動機は、役に立たない経済学が定めるように「人は同じ商品あれば必ず安い方を買う」と言う最適行動などではありません。このモスの失敗は、商品に対して価値があるのだから高くあって欲しい、それを認めている自分の価値観を肯定してほしいと言う願望をかなえてくれる相手を求めている一定層の顧客も実在すると言うことを証明しています。

あなた自身が、あなたの商品の価値を安いからだと考えているのならばそれでいいでしょう。しかし、私のnoteを読んでいらっしゃるという事はそうではないですよね?あなたご自身は商品に自信を持っていらっしゃるに違いありません。

では、もしあなたの顧客があなたの商品の値段が高ければ買わない人たちであふれているとすれば、それはひとえにあなたが間違ったメッセージを顧客に発信しているからにほかなりません。「私の商品はどこより安いですよ、どうぞ買いに来てください」と。

値上げこそ社長がすべき立派な企業努力

スーパーのチラシや企業のうたい文句を見ると、値下げが企業の最大の努力であるかのように謳われています。

考て見れば、値下げをしますと言って怒りだす顧客などいないと多くの企業は考えている訳ですから、値下げは売り上げを確保するための最も安直な手段ともいえます。値下げのための交渉の相手は仕入れ先、あるいは、給料据え置きの従業員。顧客からは見えないところでの駆け引きですからエグかろうが情けなかろうが関係ありません。

それに対して、値上げすると言うのは顧客との真っ向勝負です。逆により高く買ってもらえる事になる仕入れ先や給料のアップされる従業員の事は顧客から見えません。それだけに、いつ、誰のために、何故、どのような経緯で、いくら値上げするのかを顧客に理解し支持してもらえるようになるのかどうかはあなたの手腕次第。

しかし、成功すれば手に入れられるものは値下げよりも多いのも事実です。

・あなたの商品を信じる顧客
・あなたに感謝する従業員、納品業者
・あなたの自信
・安定した生活
・あなたの商品への信頼

何よりも値上げのためにするあなたの自慢の商品の価値を顧客に伝えるためのたゆまない努力は、あなたとあなたのビジネスを間違いなく成長させます。

ですから、値上げこそ経営者であるあなたのするべき立派な企業努力なのです。価格から逃げるだけの弱い社長ではなく、価格を味方に付けられる強い社長になりませんか?

創業組が嫉妬するような2代目マネジメント術で豊かで幸せな人生を送りましょう!

エルベラン2代目オーナーシェフ 柿田 衛二




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