コロナ禍で読書の喜びを再確認。いまだからこそ出会えたスペシャルな本、教えてください!
みなさんこんにちは!いけかよです。
昨年からの「禍」により、さまざまな変化を余儀なくされているわたしたち。いろんな揺さぶりを受けながらも、いけかよもなんとかサバイブしています。
そんな状況下において、もちろんネガティブなことばかりではありません。
出版不況と言われて久しいですが、昨年は電子を含む書籍の売上は上がっているそう。時間ができて、行くとこなくて、家にいてできること、そうだ本読もう!と、読書の喜びを思い出した方も多いのでは?
また、今までだったら読まなかったような本に出会った方もいるかも!?
ということで、今回はよむエラマ編集部にて緊急取材!
読書家は多いと思われるよむエラマライターズ。去年から今年にかけても、きっといろんな本を読んでいるはず。
だからこそ、「コロナ禍じゃなかったら出会えてなかったかもしれない本」教えてください!
いけかよの場合「腐女子のつづ井さん」 つづ井 著
まずはいけかよから。
いきなり漫画かいっ!とお思いでしょうか。いやしかし、これ実はけっこうすごいことなんですよね。
子どもの頃はあんなに読み漁っていた漫画もいつのまにか読まなくなって、社会人になってからは小説すらも読まず、実用書やビジネス書ばかり読むように……。
でも昨年はうつ状態になったわたし。自分自身を緩めるべく、本屋でいつもとは違う棚を見てみることにしました。そこで見つけたのがこのつづ井さん。まさに運命といえる出会いでした。大人になって、声出して笑える漫画に新たに出会うことってなかなかないと思うのですが、このつづ井さんは何十年ぶりかに笑わせてくれた奇跡の1冊。
登場人物は、作者のつづ井さんご本人とその仲間たち。みんな「腐女子」で凝り性です。そんな彼女たちが、日々を、人生を、「推し」を、本気で楽しもうとする姿が可笑しくて美しすぎて清々しい。一気にドハマリしてしまいました。
「そうか。“楽しい”は、努力なんや」と、ビジネス書思考でクソ真面目な気付き方をしてしまったのですが、なにはともあれぜひ読んでみてください。「人生の楽しみ方」なんていう手垢のついたタイトルのものよりも、よっぽどそれを体現している彼女たちの姿に目が覚めるような思いがするはずです!(Web版CREAで連載中)
さつきの場合「思わず考えちゃう」 ヨシタケシンスケ 著
こんにちは!大学生のさつきです。
私はいつも学校の図書館や地元の図書館で本を借りるため、部屋の机の上にあるのは参考書ぐらいであまり本は持っていません(笑)。そんな私ですが、コロナ禍で図書館も利用しづらくなり、最近では本を購入する機会も増えてきました。
こちらは絵本作家のヨシタケシンスケさんが、日常でふと思いついた事や気づいたことを柔らかいスケッチと共に紹介している作品です。絵本作家、父親、または一人の人間として、普段の生活で遭遇する出来事を面白く、やさしく、時には鋭い視点で表現されています。私は購入した日に帰りの電車で読みましたが、初めて人目を忘れて一人で笑ってしまいました。
「今は分からなくて苦しいだけの事も、時がたてばきっとこの意味も理解できるはず。」と学生の自分の姿を少し離れた所から見ることができた一冊です。最近いろいろと頑張り過ぎているなという方、一日のおわりにほっこりしたい方など、おすすめです。ぜひ読んでみてください!
どさんこ大学生RUNAの場合
「逃げろ 生きろ 生きのびろ!」 たかのてるこ 著,写真
どさんこ大学生RUNAが出会った本は、たかのてるこさんの「逃げろ 生きろ 生きのびろ!」です。
毎日テレビをつければ感染者数がニュースで流れるようになり、コロナ以前の当たり前な大学生活が送れなくなった頃…自分の将来を考えることが増え、人生に正解がないことが分かっていても、自分の生きる意味を見出すことに必死になっていました。
生きづらさを感じながら過ごす日々の中でも、なんとか生きる理由を、私でも生きていて良いのだと感じたかったのです。そんな頃、この本に出会えました。本の中に登場するたくさんの人の暖かい笑顔と今にも喋り出しそうな表情豊かな顔の写真が、1ページ1ページに書かれている力強くて優しいメッセージを彩っています。
全ての言葉が心の栄養!と思うほどですが、「自分の心が喜ぶことが分かるのは世界中で 私ひとり」という一言に心打たれました。
自分が楽しいことは自分しか分からない、自分を幸せに出来るのは他の誰でもない自分だけ。私は、みんなが思い描く理想の幸せな生き方じゃなくても、RUNAとして生きのびようと思います!
きっと、この本は毎日を生きのびているみなさんの心を元気にすると思いますので、ぜひ読んでみてください!ちなみに最後に登場する「この本が生まれるまで」も心惹かれるお話なので、お見逃しなく!
石原侑美の場合「一冊でわかるロシア史」 関 眞興 著
私がコロナ禍でしたかったことは、「好きだけど、まだ手をつけていない領域」に触れることでした。
ということで、私が手にしたのは、ロシア史を簡単にわかるこの一冊。
フィンランド生涯教育研究家として、日本とフィンランドの間にあるロシアの歴史を学んでおこう!とか、なぜロシアは社会主義になったのかを知りたい!とか、そんな真面目な思考は一切ございません(笑)
ロシア史に手をつけたのは、私の「好き」が集まっている国だったからです。
私が愛してやまない「罪と罰」という作品を生み出したのは、ロシアの文豪・ドストエフスキー。
クラシックバレエを習っていた影響で好きになった音楽家・チャイコフスキーもロシア出身。
10代の頃、毎年夏に受講していた海外バレエワークショップの講師は、ロシアの名門・ワガノワバレエ学校の先生。
私の好きな紅茶の飲み方は、ストレートにジャムを入れるスタイル。これはロシアの飲み方だったと大人になってから知る。
そんな私の「好き」の探究は、もちろんこの1冊で完結は不可能だけど、少なくともなぜドストエフスキーが「罪と罰」という大作を生み出したのか、なぜチャイコフスキーが偉大な音楽家になったのか、歴史的観点から探ることができました。
また、この歴史本は「一方その頃日本では」という解説があるので、繋がりを感じながら歴史を見ることができます。繋がりを知った瞬間こそ、歴史を面白く感じるのは私だけではないはずです。経験や知識を積み重ねてきた自分の年齢分だけ歴史の醍醐味を味わえるのだと、コロナ禍の読書でじんわりと体感できました。
このシリーズは、イギリス史、アメリカ史など主要国の歴史も出版されているようです。
あなたの「好き」が集まった国の歴史から、自分を探究するのはいかがでしょう。
あいすかの場合「生き抜くチカラ」 為末 大 著
為末大さんはスプリント種目の世界大会で、日本人としてはじめてメダルを獲得した元陸上オリンピック選手です。シドニー、アテネ、北京のオリンピックにも連続出場されています。
そんな彼が、お父さん目線で優しく子どもたちに生き抜く50のヒントを語ってくれています。
親子で読めて、話し合ったり、一緒に考えられる、こどばの絵本、児童書です。
コロナ休校がきっかけとなって学校に行けなくなったり、生きづらさを感じている子どもたちがいることを知り、この本を手にしました。
“生き抜くためには、逃げてもいい。”
文中にある、このフレーズに、かあちゃんは胸がズキン、としました。
なにより重要なのは、死ぬまで生き抜くこと。そのためには逃げたっていい、逃げたほうがいいときだってある。というような内容ですが、
おとなたちが読んでもハッとするような言葉たちが、この本の中に存在しています。
「こうしなきゃいけない」なんてことは、世の中には実はそんなに多くないってこと、もう、みんな気づいているはずだから。
ちなみに、この本、小学生の娘さんも熟読していましたよ。
橘茉里の場合「威風堂々惡女」 白洲 梓 著
大人も楽しめるライト文芸ここにあり!
私は本職が国語教師なので、仕事柄、純文学や研究論文といった難解な文章を読む必要があります。その反動で、プライベートでは漫画やエンターテインメント小説を読むのが好き。
小説の場合、1冊で完結する方が手頃なので、普段はあまりシリーズ物には手を出さないのですが、コロナによって増えたおうち時間を利用して、シリーズ物を読む気になりました。
まず惹かれたのは「威風堂々惡女」というそのタイトル。
読んでみたら、期待以上の物語が待っていました。
主人公の雪媛は、したたかで謀略にも長けている。確かに悪女なのかもしれない。でも、私は彼女を好きになったし、応援したくなった。
煌びやかな世界に身を置き、悪女らしく振舞っていても、雪媛の生き方は泥臭く愚直です。そして彼女の「生」にはとても熱量を感じます。
物語構成も巧みで、「ああ、こうくるかぁ」と胸を熱くしながら読みました。
2021年5月現在、第6巻まで発売されていますが、第1巻だけでも十分楽しめます。
苦味の中にある切ない甘さが特徴ですので、これまで人生の悲喜こもごもを経験してきたであろう大人女子に読んでもらいたい、そんな1冊です。
おわりに
いかがでしたか?あなたの興味を喚起するものはあったでしょうか。
心動かす本は、それだけで日々を輝かせてくれるもの。みなさんがすてきな本とたくさん出会って、充実した日々を過ごせますよう!
Text by いけかよ(よむエラマ編集長/エラマプロジェクトCPO)
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