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【イベントレポート】ひとり1人の幸せに繋がる「フィンランド式 生き方キャリアデザイン講座」

忙しく毎日を過ごしている方が多い現代社会ですが、忙しいという字は、心を亡くすと書きます。今を生きる多くの方々が仕事、家庭、学校、人間関係と様々な面に立ち止まることなく関わり、毎日を慌ただしく送っている中で、自分の心と向き合う時間を失っているのかもしれません。

「よし!自分を見つめてみよう」と思い立っても、なかなか行動に移せなかったり、良い方法が見つけられず、「また今度」にしてしまう人も少なく無いと思います。そして、いつの間にか「わたし」を置き去りしていませんか?

そんな「わたし」ともう一度向き合いたい方、人生の分岐点にいる方、北欧の雰囲気の中で自己分析したい方などに向けて、月に1回行われる「フィンランド式生き方キャリアデザイン講座」が、1月24日にオンライン(Zoom)で開催されました。

この講座は、エラマプロジェクト代表の石原侑実さんが講師を務めます。侑実さんは、フィンランドの生活、SDGs、教育について講演活動を行い、これまで200名以上の方々に生涯学習としてフィンランドから学ぶ「人生の道を描くワークショップ」を行ってきました。

講座の第1部でフィンランドの基礎知識、北欧の幸福度が高い理由を発見しました。さらに第2部では自分の人生を振り返って「人生の道」を描き、参加者どうしで対話するワークを実施しました。
今回は、その2部構成の講座の内容を少しご紹介します。このレポートを通して、読んでくださる皆さんの「わたし」と向き合う機会に繋がったら嬉しいです。

フィンランドの幸福度

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最近、日本では「マリメッコ」や「ムーミン」、ドラマ化もした「サ道(サウナの道)」などによって、フィンランドの文化が更に注目を集めています。フィンランドと聞くと、その文化以外にも福祉国家であることや教育大国というイメージもあり、政府の政策や教育に関心を寄せる人も多いようです。

講座の第1部では、そのフィンランドについて、地理、歴史、男女平等、SDGs、幸福度、教育、福祉、働き方とあらゆる角度から、国の在り方を知ることができます。
北欧、フィンランド、教育、ジェンダー、幸福度などのトピックスにほんの少し興味があるだけでも、持ち帰れるものはいっぱいです。
その中でも、今回は講座の1部分である「幸福度」のお話についてお届けします。

問:あなたにとって豊かで幸せな暮らし、生活、ウェルビーイングとは何ですか?

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【参加者の方が考えて共有された言葉】
・自分が自分らしくいられる、心地良くお仕事と暮らしのバランスが自分に合った形で取れている。
・幸せだと思える心のゆとりがある。
・自分のやりたい、をやれている状態。
・自分が大事にしたいものを分かっている状態。
・追われず立ち止まって考える時間が出来る生活。
・「まぁ、いっか~」と思えている状態。

参加者の方はさまざまなウェルビーイングについての意見を共有しました。
一人ひとりの方は異なった幸せを持ちますが、みなさんの回答に共通していたのは、その状態や生活が幸せかどうかは、自分と向き合った時に確認できるということです。

目に見えない「幸福」を国連が数値化した「世界幸福度ランキング」では、世界156カ国、186都市を対象に「1人あたりのGDP(国内総生産)、「社会福祉」、「自由度」、「健康・寿命」、「社会の寛容性」、「政治的腐敗度(汚職など)」の6つの項目から判断され、ランキング形式で発表されます。

このランキング上位5位を北欧が占め、フィンランドは2018年から3年連続で首位をキープしています。ちなみに、日本は年々幸福度が下がり、2020年は62位でした。
なぜ、フィンランドは国民の幸福度が高いのでしょうか?

その理由の1つとして、フィンランドにある自分と向き合う習慣・文化を、侑実さんは挙げました。

侑美さん:
「フィンランドに300万部屋もある「サウナ」も、日本のものとは違い、テレビは置いておらず、暑すぎず、我慢大会のように入る場所ではありません。
自己内省の空間として、自分と向き合う時間を作れる「サウナ」は、まさに幸せになれる場所です」

フィンランドでは、一人ひとりの幸せや豊かさを追求することが大事であるからこそ、自分と向き合う習慣・文化が発展したと考えられます。一人ひとりの幸せが社会全体の幸せに繋がったため、国民の幸福度が高いのかもしれません。

「わたし」の人生の道と対話

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第2部から、自分の人生を道と捉えて振り返る分析ワーク、続いてそれぞれの人生の道をペアで共有するワークなど、参加者同士の対話が中心に行われました。
第1部はウェビナーによる座学だったこともあり、初めてお互いの顔を確認し、自己紹介と講座への参加理由から共有が始まりました。

【参加理由】
・学生時代に北欧の本を読み、北欧に関心を持ったから。
エラマの哲学バーがきっかけで講座を知り、立ち止まって自分を見つめて学びたいと思ったから。
・仕事で忙しくて、自分の事でよく迷子になるから。
・2年前からずっと参加したかった。平日はとても忙しいが、これからどう過ごそうか、共感しているエラマの世界観にどっぷり浸かって考えたいから。
・自分の事があんまり、はっきりしないから。
・子供と関わる仕事をしていて、自分を見つめる様になったから。

北欧に関心を持っている人、自分と向き合いたい人、エラマプロジェクトのイベントに共感している人といった様々な理由から集まった参加者の皆さんでした。

そして、この講座のメインである人生の分析の始まりです。
自分の心と対話しながら、各自、自分の人生の出来事を思い出して紙に書いていきます。特に人生の「分岐点」を意識するよう侑美さんから助言が。
私は、自分の歩んできた人生を、階段を一歩一歩登るように分析しました。そして、分岐点では、心のなかでインタビュアーに登場してもらい、会話するようにどんな選択をしたのか、自分に対して質問してみました。
またその間、パソコンの画面がオンになっているため、参加者の方が人生の道を書いているペンの音や深く考え込む姿が表示され、個人ワークではありますが、一緒に自分自身と向き合っているような感覚になります。

その後、2人1組でZoomのブレイクアウトルームに入り、2人だけの空間でお互いの人生の道を共有しました。
ひとりずつ過去の経験を相手に話し、それについてフィードバックします。
ここでは私もペアになって対話しました。最初に私が自分の人生の道を話しましたが、これまで初めて会う人に自分の人生を話したことがありませんでした。ですが、話しているうちに自分自身で人生を分析している時よりも、整理されていくような感覚がありました。

聴き手の方が、これまでの「わたし」を知らないからこそ、何の偏見も持たずただ気になることを質問してくれるので、更に自分の人生と深く関わることができたのだと思います。

たとえば、私のお相手はこんな質問をしてくれました。

「言葉の選び方が心地良いけど、言葉選びを1つ1つ普段から考えているのですか?」

私は言葉で傷ついたことがたくさんあったので、自分から出る言葉は気を付けようと思っていましたが、初対面の方に言葉が心地良いと言ってもらえたことで、それがきちんと伝わっていることが分かりました。

また、お互いの人生の道に対してフィードバックをしあう際、「自分の身の回りに起こる出来事1つ1つに疑問を持つことができる人」と言ってもらい、新しい自分を見つけることができました。
「家族という大きいくくりではなくて、一人ひとりを人として、理解を深めるのを大事にしている」と相手がまとめてくれたことで、自分の新しい価値観を発見しました。
こうして、この共有ワークを通して、気づけなかった新しい「わたし」に出会うことができました。

ちなみに、私のペアの方とは生きる上での価値観が似ていたため、共感することが多々あり、主催者の侑美さんが参加者のことを理解した上でペア決めをしたのかと思っていましたが、このワークのペアは、いつもランダムで決めているそうです(!)。

侑美さん:
「この共有ワークでは、どのように相手にフィードバックしてもらったかとか、人生の道で何を自分が話したかとかではなくて、自分の人生の道を聞いてもらうこと、それ自体に価値があります。
人には相性が多少あるのかもしれませんが、私は無いと思っていて、どんな存在であれ、特に他人であればあるほど、その人の人生に触れると優しく接したくなるのが人間の本能なのかなと思います。
人によって持っている観点、スキルは違うので、フィードバック方法も人が変ればと変わります。なので、このペアワークを何度もやって、いろんな人からフィードバックをもらっている方もいます。何よりも、聞いてくれる存在がいるのが、幸せな道を歩む上で大事なことです」

エラマの沼にどっぷり浸かる体験

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最後にチェックアウトとして、今日感じたこと、気づいたことを参加者の方が共有されました。

・知っている人が聞くわけではなく、下手なりにも話せて、他人に聞いてもらうのが心地良かった。
・聴き手の人から教えてもらえて、自分がそういう人物だったのだと分かった。
・教育関係の仕事をしていると、ネガティブな進路選択をする学生が多いと感じていたから、このワークを通じてお互いの事を話せる機会が学生にもあったらと感じた。
・仕事で大変な事があり、思うことが沢山あって、思考が自分を支配している状態だったけど、このタイミングで、自分を見直す時間でもあり、清められる時間だった。
・100%バイアス(偏見)も無く人の話しを聞けて、エラマの世界にどっぷり浸かった感じだった。

第2部が始まった時は少し緊張気味だった空間も、最後の共有の時間には、年齢も職種も多様な参加者の方がお互いに優しい言葉をかけ合い、全員がエラマの空間に安らぎと暖かさを感じていました。

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最後に

色んな環境、立場で日々を生きている一人ひとりが幸せになるには、どうしたら良いのか?
この講座では、日本とは少し違う、自分と向き合う習慣・文化のあるフィンランドについて知り、実際に対話のワークを通して、それぞれ違ったたくさんの気づきを得ることができると思います。

エラマの提供する空間に入ると、共有タイムでは、皆さん止まらないほど話が弾んでいました。
終了した後も、完全にZoomが閉じられるまで全員が残って話し、「最高だった」「浄化された」と笑顔で喜びを楽しむ姿で講座が終わりました。

自分を見つめたいと思っている人が来るから、心地良い。
聞いてくれる存在がいるから、話せる。
この空間だから自分と向き合える。

次回の「フィンランド式生き方キャリアデザイン講座」は、2021年2月21日(日曜日)です。
少しでも興味があれば、その時の自分に心のゆとりが無くても、自分の人生を見返すことが難しいと感じていても、ぜひ来てみてください。
話せる範囲で大丈夫です。ここには、真摯に聞き合える存在がいます。いつもと違った角度から自分を見つめて、これからの幸せの道をお互いに歩めることを応援し合える、そんな暖かい講座でした。

Text by どさんこ大学生RUNA:)

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