ルックバック【感想】
Amazonプライムで藤本タツキ原作のルックバックを見た。
既に映画館でも見ていたが、映画館では見ただけで、何となく凄い良かったと思って終わってしまっていたので、今回見直して、何が良かったのか言語化したい。
①音楽が良い
序盤で藤野が絵を上手くなるための努力を始めるシーンで泣いてしまう。その他にも藤野と京本が漫画を描いていく日々が壮大な音楽とともに流れるシーンも涙が溢れてきた。特にストーリー上の感動的なシーンというわけでもないのだが、美しい音楽と美しい映像の組み合わせで私の涙腺は緩んでしまった。
②嬉しさの表現
京本が藤野に初めて会い、自分が藤野の漫画のファンであると打ち明けた後の藤野の帰り道のシーン。
自分のライバルに自分の漫画を認められた嬉しさ、ファンがいることの嬉しさ、それらが藤野の全身から溢れ出した結果、変な走り方をしてしまう。
あるある行動では無いかもしれないが、確かに嬉しさが爆発したときって、自分でも思ってもないような体の動きをしてしまうものなのかもしれない。藤野の気持ちがよく分かる上に、印象的な絵になっているとても良いシーンだと思った。
③ルックバックの意味
物語終盤で時空を超えて藤野のもとに届いた京本の最後の4コマ漫画が 「背中を見て」というタイトルであり、藤野は京本と過ごした過去を思い出す(ルックバックする)。そして自分たちが今まで過ごしてきた日々は決して間違った選択ではなかったと思い直す。
どんな悲劇に見舞われても、そこに至ってしまうまでの過去をすべて間違いと思わないで欲しい。素敵な思い出まで捨て去る必要はない。過去を肯定して生きて欲しいというメッセージがこの部分のルックバック(過去を振り返る)に込められていると感じた。
この作品は京アニ事件に対して、作者の思いが募り誕生した物だと何かの記事で読んだ。きっとこのメッセージは事件の遺族に向けられたものなのだろうと思う。
だが、人なら誰しもに当てはまる普遍のメッセージでもあると思った。
「後ろを見ろ、お前の生きてきた道筋は全然間違ってない。さあ、また前に進もう!」そう励まされた気がした。