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ランニング厚底シューズ使用5ヶ月レビューと薄底比較~シューズに走りに連れていかれる楽しさ

仕事が今週超忙しくて、在宅勤務のルーティン・ランニングを3日サボってしまった伊達です。それで、今日は10キロ脂肪燃焼スローランニングをした所。ウォームアップ2キロ含めてトータル平均キロ6分の60分ちょうど。しかも、ペースは自分がいいと思う好きな感覚で走る、自称「マインドフルネス・ランニング」で、結果的には最後の9-10キロ目がベストラップタイム。心拍数もそんなに上がっていない。VO2MAXもまぁまぁ、いい感じだ。

そして、私の愛シューズはNikeのカーボンプレート入り、ズームフライ3。これを話題性から買ったのと、GPS Watchを新調して、ランナーの能力を測定するVO2MAX機能がついたものにしてから、ランニングするのが楽しみで仕方ない。今回は、ラン歴7年目の私が、厚底シューズの5ヶ月体感レビューと、先月行った薄底と元祖厚底シューズとの比較を実測データと共に紹介する。なお、私はポリシーとして自腹購入・自分の感覚でのバイアスなしのレビューであることを宣誓しておきます。

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図はカーボンプレートの構造図(NIKE公式ページより)

購入動機:話題性

2020箱根駅伝ナイキ厚底シューズ使用率82.8%。区間賞10名中9名も。こんな寡占状態がかつてあっただろうか?
そして、ナイキ以外のシューズも厚底が多かったことや、オリンピックや大会での使用を世界陸連が禁止検討のニュースまで聞くと、その効果の間違いなさからさすがに話題性だけでもお試しに購入したい気になった。

ゴルフでは飛びすぎて公式試合での禁止になったドライバーがあるが、アマチュアは喜んで買ったものだ。シューズを変えて、もし同じ走りをして記録が縮むのであれば、それは価値がある!

上級者は薄底シューズという定説に乗ったものの...大会では後半失速

バリバリ理系エンジニアな私は、シューズ選択もベースとなる理論がないと変えようという気にならない。これまでは上級になるほど軽量化するために底を薄くし、驚くほどに全体を軽くするのが常識だった。その分薄くなってクッション性が減り地面からの衝撃は大きいが、それは「上級者」が日々のトレーニングによって鍛えた筋肉・脚力で補うトレードオフだから仕方がない、鍛えればよいという考え方だった。

そして、私もその定説通り、比較的中程度のクッションのシューズでサブ3.5(フルマラソン3時間半未満)を出した後は、自己ベストのためにシューズに軽量化を求めた。5年前、サブ3(フルマラソン3時間未満)を目座すならアシックスTartherzeal3で走るべし、とのことで購入。

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結果、13キロ付近で脚が痛み始めたものの、30キロまではこれまでのベストに近いペース、しかし後半徐々に失速して、ベストから10分近く遅い結果に。ただ、この時はそれほど脚の痛みや失速のことを気にしておらず、原因はスタートしてからのペースが速かったことだったり、前日の自転車での下見が疲労になったのではないかと考えていた。

靴を意識したのは次の3大会に出た感覚からだ。

大会前の小さなフルマラソンの大会で、始めて3時間半を越えてしまった。これまでにない短い距離、ハーフ程度で失速しはじめた。その次の大会でも、20キロ行かないうちに失速だ。暴風雨でコンディションが悪かったとはいえ、この距離で落ちることはおかしく、30キロ越えてからはさらに激しく失速。なんとかサブ4で治まったもの、練習不足なのか、これまでのメニューを見直さなければいけないのかと、大いに悩んだ。

考え方の転機となったのが、ウルトラマラソンだ。1度目に脚が持たずに相当歩いたのが悔しくて、100キロに再びチャレンジ。ウルトラ用としてもトレールラン用としても定評のあるHOKA ONE ONEブランド(フランス)の元祖厚底シューズでロードも走れるClifton2というモデルを買って出場した。そして、なんと、まったく歩かず、文字通りの完走で11時間半を切る。笑ってしまうが、前回より2時間半速くなった!しかも、次の日普通に会社に行って、階段降りるのは少々きつかったがその程度。3日後にはテニスをしていた。

もしかして、厚底の方が脚に優しくて、減速しないことない?、と思った。

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厚底でフルマラソンに出てみた

よし、では次のフルは思い切って厚底で出てみよう。2016年、たぶんまだNikeの厚底が話題になっていない頃。私のZONEではこんな厚底履いている人はほとんどいない。
結果は、サブ3.5はできなかったが、少なかった練習量を考えると上出来な結果だった。しかも、若干失速するも相当後半であり、次の日のダメージも小さかった。これはいいなと。翌年の大会でも使用して、やはり終わってからも次の日も歩くのに支障ない状況。スピードは分らないが、結局42キロ脚が持つことでトータルタイムが速くなる予感がしたウルトラからの3大会だった。

伊豆大島マラソンに向けてナイキのカーボンプレート入り厚底を購入

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自分の元祖厚底シューズもへたってきたし、ナイキを買うぞとリサーチ。ヴェイパフライはカーボンプレート入りで軽量、ZOOM Xというクッション・反発両立素材だが、3万円と、お高いし、耐久性がなく3レースぐらいしかもとないとか。
伊豆大島のアップダウン(登り900m!)ではベストタイムは絶対に出せないので、カーボンプレート入りの次の価格帯のモデル、ズームフライ3を選んだ。レビューでもすこぶる評価が高いのと、厚底特有の傾きを上位モデルより緩くしていて初めてでもすぐ対応できるとのこと。

モノがなかなか近場で見つからず、大会の週の水曜に入手。履き慣らしのランは2日しかできず。大丈夫かと思いつつ、違和感なさそうなのと、履き心地がとってもよい。幅狭で典型的甲高幅広日本人足型な私でも大丈夫。アッパー素材が柔らかく足型を選ばないのではないか?

フルマラソンで伊豆大島ちょうど一周完走した後、もうこのシューズに惚れ込んでしまった。

驚くべき事に、私のベストラップタイムは41キロ~42キロ目だった。こんなことはかつてない。しかも、ゴールしてから「あれ、坂道でセーブしすぎたか、まだまだ行けそう。」って感覚。普通に歩いて、次の日も階段も大丈夫。泊まった次の日なんて、マラソンコースの記念写真を取るためにクロスバイクをレンタルして、また大島1週したぐらい。あり得ないでしょ?

靴を履きたいので走りに行く

それからというもの、この靴でランニングしてみたくて、わざわざ走りに出ているぐらい。反発がよくて、脚に優しいのでどんどん走れてしまう。

今日のランも、別に飛ばそうと思わずに、気持ちよく力抜いて反発するような脚の動かし方をしてたら、自分の感覚よりもキロ20秒ぐらい速い。6:10ぐらいかと思ったら5:50だった、というように。(今日は脂肪燃焼のためこのぐらいで抑えてました)

「見せてもらおうか、厚底の性能とやらを!」とつぶやきながら、その性能を見せつけられている感じだ。

と言うことで、以前のシューズは眠ったままでしたが、在宅勤務の運動で毎日のように走るようになり、比較をしたのでレビュー書きます。なお、シューズは5,6年前のものと比較しており、走行距離も100Kmほどの差があることはご了承で、比較としては当然技術・素材など最新モデルの方が有利ではあります。

最新厚底 vs 元祖厚底 vs サブ3向け薄底 比較レビュー

 【比較方法】

次のように比較した。


①毎日シューズを変える(Nike厚底⇒Asics薄底⇒Hoka厚底⇒Nike厚底)
②ほぼ同じコースを自分の感覚で同じペース(ウォームアップキロ6:30、ジョギングキロ6分目標)で走る
③GPS Watchでデータを取り、比較する(ペース、ピッチ、ストライド)
(※著者註)なお、著者は陸上部等経験者ではなく、独学の1市民ランナーであるため、精度はプロに及ばないことはご了承を)


1)Nike ZOOM FLY  3

クッション性と反発のバランスがよい。踏み込むと反発があるが、地面に反発を期待して垂直に乗せるような基本に忠実な走り方で十分スピードが出る感じ。大会参加が当面ないため、トレーニングを積んでいない状態でスピードを出していないが、コーチのレビューによれば速く走るのに反発もクッションも応えてくれるとのことだ。
独特の靴下を引っぱり上げるようスタイルのアッパーは、履き心地が柔らかく痛いところはない。ただただ走りに行くのが楽しい。シューズが楽しくて走りに行きたくなるというのははじめての感覚。

【データ】
ウォーミングアップをキロ6分半のつもりで走って6:15平均。ピッチ167でストライド93cm。感覚としてはいつも通り。

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2)Asics TARTHERZEAL3

軽いことは軽いのでスピードへの期待はあったが、走ってみると薄い底がペタペタした感触で、反発がなく、速く走るどころか、スピードが出ない感覚だった。足に地面がダイレクトに当たるが、反発しないので前に出ない。足音も気になる。踏み込んで減速するのと、いつもと同じペースの積もりなのにタイムが20-30秒キロ当たり遅い。進まないので楽しくなく、ZOOM FLYを買ったときに、走るのが楽しくて走りに出ていった時の気持ちを思い出すと、これは逆にこのシューズで走るのは楽しくないし、進まないのでしんどく思った。もっとスピードを出したとしても、反発は変らないのではないか?

【データ】
アップとしてはぴったり6:30だが、ストライドが90cmと小さくなる一方、ピッチも上がっている。薄底で知らず知らずのうちにピッチが小さくなったのだろうか?走る前に自分の走りだどうだったか考えていたのだが、データ的にも予想通りで驚いたほど。

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3)Hoka one one CLIFTON 2

シューズは一昨日のZOOM FLY 3の前に使っていたものなので、自分としては「普通」な、いつもの感覚。ASICSの薄底が久しぶりだったので、違和感なく厚底の踏み込むレスポンスがある。しかし、ZOOM FLY 3よりも反発がないため、あまりスピードが出ていないようには思うが、薄底よりは走りやすい。
ZOOM FLYほど包まれる感じはこのシューズはないものの、厚底なイメージに比べて軽いため、走る感触としては良かった。反発は400キロ走って下がっているように思うので、新しければクッションも反発もいいかもしれないので、ZOOM FLY 3と比べて現時点では比較するのは酷かもしれない。

【データ】
今日も同じようなペースで走ったつもりだが、面白い結果が出た。ピッチ、ストライドが、薄底シューズとNIKE厚底との間の値が出た。2)の考察通りだと、厚底の反発でストライドが大きくなり、ピッチが減っている。しかし、NIKEほどではなくちょうど真ん中で、自分の感覚に合っている。

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4)Nike ZOOMFLY  3

厚底Hokaとの比較のため、もう一度Nikeで測定。参考情報。

【データ】
アップは2km、ペース6:27だったのでいつも通りではあるが、これまでのシューズとの感覚から言えば、もっとゆっくり6:45ぐらいで走ったつもりでこの速度だった。反発がよく、足音も小さく小気味よく弾んで走れる。
ストライドもピッチも1)のNIKEと同じ。HOKAを履いた感覚では6:45ペースぐらいの心持ちなのだが、実際はそれより速く走れている。

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アップの後、少しテンポアップして走るとストライドも大きくなり、ピッチは意識的に上げた結果5:30-5:40のペースで走れている。

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まとめ:厚底シューズ、ありがとう&継続進化を願う

伊豆大島マラソンの結果には驚いた。この登り下り900m以上のコース、サブ3.5ランナーなら通常+40分程度のタイムになると言う。4時間7分だったので、自分としては久々にいい結果とみなせる。しかも、脚が全然痛くなかった。この自転車で登ると、走る方がキロ当たりタイムが良かったりするほどの急坂のコースで、である。当然同じだけ下りがあり、脚には負担となるはずなのに。

データの分析では、厚底の方がジョギングレベルの速度ではストライドが大きくなっている。それは反発がいいから自然と大きくなっていて、それゆえイメージより速く走れている。と言うことは楽にスピードが出ているということで、結果レース終盤まで脚が持ち、失速しないのだろう。

厚底シューズは、速くなるのではなく、長距離でも遅くならないのが最大の利点と思う。それは、怪我も少なくなると言うことだ。

箱根駅伝の記録は厚底による失速がなくなり、本来選手の持つ力が区間中にずっと出せるからではなかろうか?

もう今後余程の革命的なクッション性の進化がない限り、薄底シューズを履くことはないだろう。厚底シューズがタイムを伸ばすための、脚に優しいクッションと反発性を提供してくれ、かつさらに軽量されれば、ランニングはもっと楽しいものになる。技術進化をどんどん進めて欲しい。市民ランナーとしては大歓迎だ。


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伊達 英紗(DATE, Eisa)
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