【史上最高の映画】「カイジ」

藤原竜也ってご存じだろうか。そう、私が人類で一番崇めているでお馴染みの、日本が誇る天才俳優である。
かの天才俳優が2009年に出演した史上最高の映画が「カイジ〜人生逆転ゲーム〜」だ。

映画好きをアイデンティティにしようと頑張っていた時期があるので、洋画邦画問わず何百本と観た。途中何度か寝たくせに、難解な作品もわかったような顔で、名作と呼ばれるものは見尽くしてきた。
しかし、リアルに何度も何度も見ている映画は「カイジ」である。私が心底好きな映画は多分これだけなのだ。お前らもわかったような顔で「トレインスポッティング」とかを見ているが、本当に一番好きな映画は全然、そんなんじゃないよね?

「カイジ」の素晴らしさは、演出やテンポ感の完成度は言うまでもないが、藤原竜也はじめ天海祐希、香川照之等俳優陣の化け物じみた演技力と、あの心震えるセリフの奇跡的なマッチングにある。

全部のシーン、全部のセリフが好きなのは大前提として、好きなセリフランキングを発表するとする。

1位:ブレイブメンロードを渡る前に、地下労働者全員を奮い立たせる時のカイジのセリフ
「いるんだよなあこんな人間…同じように貧しく追い詰められた人間の細い金に飛びついて生き血を啜るさあ、ヒルみたいな人間がよお…!!
うるせぇバカ!!つくづくおれぁ負け組だよッ!!お前だってそうだろ!?
ここにいる全員そうだ。揃いも揃ってクズでございって顔してやがらぁ…!!負け組だよぉッ!!
・・・俺も行く!!(ここであのBGM)
…もし勝負に勝ったら自由になれるんだろ?…だったら俺も行くさ。
俺は弱い人間だ。でも、今度こそ人生変えてみせる。
…お前ら聞けぇっ!!いいか。誰にも騙されず、自分に甘えず、こんな底辺の隅っこの生活から抜け出すんだ…!!
俺はやってみる。お前たちに自由への道を示す!!」

<好きな理由>
自分を甘やかし続けてきたクズが、「誰にも騙されず自分に甘えず」という言葉を発することにどれほど責任感や信憑性があるかは定かではない。こういうことを何度も軽々しく言うからクズはクズのままみたいなところはある。でもこのみっともない仰々しいセリフが、なぜかとてつもなく萌えなのである。

2位:カイジがEカードで利根川を打ち負かす瞬間のセリフ
「利根川、俺がヘビに見えたか?そうか。なら、お前こそがヘビなんだ。
こんな風な物言わぬ心理戦は鏡をみるようなもの…相手の心を読もうと必死に考えるつもりが、気が付けば自分だったらどうする?と考えている。
…つまり、俺がヘビに見えたならお前こそがヘビなんだ。いや、そんなんじゃない、お礼さ。
ヘビでいてくれて…ありがとうッ!!
・・・簡単だよ。俺は信頼したんだ。
あんたは優秀だ。俺が出会った大人達の中じゃ文句無くナンバーワンの切れる男さ。そんな優秀な男がまず、この血に気付かないはずが無い。気付く、気付くさ。そして気付いたら、この血をそのまま単純に信じたりなんかしない、洞察する。血は仕掛け扉…こちらの作為を見抜く。
…当然だよ、優秀なんだから!!優秀だから気付いた後に疑う。そしてその洞察はきっと届く、限定ジャンケンの時に俺がすり替えをしたことに。
そして、今回もそのチャンスがあったことに。そしてほくそ笑む、この、バカめと!!…そうなればもう自分の勝ちを疑わない。そりゃあそうさ。
なんせ今自分が相手にしているのは、優秀な自分と比べたら話しにならねえクズ…!!ゴミなんだから!!
驕るよなあ!?驕るよなあ!!優秀だから!
ここまでクズを寄せ付けずに勝ち続けてきたんだからッ!!
その優秀ゆえの驕りを討ったんだよ!!このみっともねえ奴隷が!!!
勝った…勝ったぞぉ、利根川ァ!!ああ、5億だよ…
俺はお前に勝ったぞ!!!!!!」

<好きな理由>
このシーンを最後まで見て胸が熱くならない人間なんてこの世に存在しないだろう。額から血をダラダラ流し死にかけながら、冷静な語りから怒涛の逆転勝利を叩きつけ利根川を打ち負かす瞬間のとんでもないカタルシス。
「このみっともねえ奴隷が」って、人生のどこかで言ってみたいのに死ぬまで言う瞬間が来ない。最初から最後まで完璧なセリフを叫ぶ天才俳優を、天才のカメラワークで映し出す。映画の神様がいるなら、この瞬間を作り出すために力を使い果たして駄作を3000くらい世に送り出したに違いない。

3位:利根川が初登場のエスポワールの船内でカイジたちを黙らすセリフ
「…FUCK YOU!!!! ぶち殺すぞ貴様ら!!!!!
質問すれば返ってくるのが当たり前か? あぁん!?
お前達は皆、まるで幼児の様にこの世を自分中心に、求めれば周りが右往左往して世話を焼いてくれる、臆面も無くまだそんな風に考えてやがる!
甘えるなっ!! 世間はお前らのお母さんではないッ!
お前らはシャバで甘えに甘え、負けに負けてここにいる折り紙つきのクズだ。クズには元来権利など何も無い。 それはお前達が負け続けて来たからだ…他に理由は一切無い。
お前らが今なすべき事は、ただ勝つこと! 勝つことだ!!
勝ったらいいなじゃない、勝たなきゃ駄目なんだ!!
勝ちもせず生きようとする事がそもそも論!外!なのだ。
今宵はクズを集めた最終戦…ここでまた負ける様な奴、そんな奴の運命など俺はもう知らん。 本っ…当に知らん!そんな奴はもうどうでもいい!
勝つことが全てだ! !!勝たなきゃゴミだ!!!!!」

<好きな理由>
これを言われたいから。ここまで単純明快な叱咤激励をして欲しい。日々自分以外全員男の職場で働いていて、「うーんでも仕事よりプライベートを大事にしよかな….自分女子だしな。」と思うことが結構ある。ほんとは勝ちたいし勝たなきゃダメなんだけど、なんか知らんミラクル起きて私だけ不条理に勝ったらいいなみたいなふわふわした気持ちになることがある。だから私にも勝たなきゃゴミだと言って欲しい。崖っぷちにいることを自覚させてほしい。

以上。好きなセリフだけど単純に最も有名なセリフでもある。
そもそもカイジはすごく有名な映画だ。知る人ぞ知るとか、一番好きだと言ってカッコつくような映画ではない。でも好きなものは好きなのだ。

藤原竜也も大好きだ。この前はご尊顔を舞台に拝みに行った。もう40代なのに、とんでもない存在感と光を放つ美少年にしか見えなかった。隅から隅まで響くあの独特の声を浴びて、私が生きながらえてきたのはこの瞬間のためだったと心から思った。

もう二度とかっこつけなくていいから、私たちには時間がないから、リアルに好きなものだけ言っていこう。南海トラフ地震が来たら少なくとも、好きなものだけに押し潰されて死ぬべきだ。

おしまい


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