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効率よく働くこともいいけど小さな気持ちを大事にする

最近病院であったとある出来事。

患者さんがお亡くなりになり、エンゼルケア(死後処置)を行っていました。

亡くなった患者さんへの最後のケアです。

体に入ったいろんな管や点滴から解放し、丁寧に体を拭く。

顔も綺麗に拭いて、必要なら髭剃りも行います。

死後は体の筋肉が全て脱力するので、体の内部から体液や便が出ないように鼻と肛門から固形剤を注入し、新しい下着に着替え、最期の衣装を身につけます。

最後の衣装は実はなんでもいいんです。

50代ぐらいでなくなったお父さんは、いつも同じ格好がいいと家族が希望していつも身につけていた上下スウェットをチョイス。

とある韓国籍の方はチマチョゴリを着せて欲しいと。(着せ方がわからなくて結構苦戦しました)

とっておきの着物を着せて欲しい、という方もおられましたね。

それぞれの考え方ですが、こだわりのある方は死に装束を選んでいる方もいます。

でも、9割の方は病院においている白と紺の浴衣を着て帰る方がほとんどです。

家族の方もその方の死を目の当たりにすることは人生で1度しかありません。

どうしていいのかわからないので、病院の進められるがままに身につけてお家へ帰られているのかな、と思います。(実際に聞いたことないのでわからない)

なので生きている間から、死ぬことについて、何を着て見送られるのか、ということは話し合いしておくことが大事だと思います。

最後の衣装を身にまとったら、髪の毛を綺麗に整えて、最期のお化粧をします。

いわゆる死化粧。

漢字にするとなんか怖い雰囲気ですが、私はこの最後の化粧を大切に思っています。

血の巡りが止まった死後の体に顔。

あなたは見たことありますか?

全身に血が巡らなくなると肌は青白くなります。皮膚から赤がなくなります。

その顔で家族に会うのはどうでしょうか。

「いかにも死んでいる。」

そんな顔で会わせてしまうと家族の死の悲しみと、死に直面したショックで辛さ倍増だと、私は思っています。

なので、まるで安らかに眠っているように。

そう見えるように化粧を施します。

そして同僚は私に言います。

「どうせ綺麗にしたって、葬儀屋がこの後湯浴みして、化粧も全部直されるんだから適当でいいでしょ。」と。

あなたのいうことも間違っていない。

でも病院で最期の顔を見られるのは家族の方です。

最期の顔を見た、第一印象で受ける気持ちは違う。

昔のこと。

私が施した最期の化粧をした患者さんの顔を見て家族の方が

「なんだか、、、眠っているみたいですね。。ありがとうございます。」

と言ってくれた経験が私を突き動かすんです。

死に直面しながらも少しでも気持ちが和らぐなら。

家族は不安です。

苦しいのかな。

何もできなくてごめんね。

と。

死に対しては家族も医療従事者も無力です。

少しでも家族の気持ちが和らぐなら、と心を込めて最期のケア、エンゼルケアを行います。

小さな自己満足。

でももし誰かが喜んでもらえるなら、自分も嬉しい。

と、思ったとある日の出来事でした。

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