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芸術の秋/箱根 ポーラ美術館Vol.1  アール・ヌーヴォーを愉しむ

 前回、横浜でコケてしまった、エミール・ガレ作品の鑑賞。
ポーラ美術館に事前問い合わせしたところ、ガレの作品自体の展示が7点のみだが撮影は全てOKとの事、しかもその他の創作家の作品も多数観られるとの確認が取れたので、時間を空けずに箱根に向かった。

前回まではこちら。




一気に加速して、箱根へ。

🔶ポーラ美術館

 ポーラ化粧品で知られるポーラ創業家2代目であった鈴木常司が数十年にわたって収集した美術品約9500点を展示するため、「箱根と自然と美術の共生」のコンセプトのもと、2002年9月に開館。
現在の収蔵作品数は約10,000点。印象派絵画のコレクションは国内最大級。
富士箱根伊豆国立公園に位置し、ブナやヒメシャラなどが見られる遊歩道がある。
コレクションは、西洋絵画、日本の洋画、日本画、版画、彫刻、東洋陶磁、日本の近現代陶芸、ガラス工芸、化粧道具など。
収蔵品の中核を成すのは、モネ、ルノワール、セザンヌ、ファン・ゴッホ、ピカソといった西洋絵画を中心に、黒田清輝、岸田劉生、杉山寧など日本の絵画、東洋陶磁やガラス工芸から現代アートまで、世界的な評価の高い作品が多数。

出典:Wikipediaより引用

まずは、企画20世紀の絵画とガラス工芸を観て行きたいと思います。

今回、鑑賞中心でコメント挿入少なめで仕上げましたので、美術館に行った気持ちでお付き合い頂ければと思います。

各々の作品の下に作品詳細解説も貼付してますので、アンダーバーをクリックくださいね。

尚、作品の画像は拙いスマホ画像です。実物をそのまま再現出来ておりませんのでご了承ください。

まずは、企画展の絵画のうち目に留まった4点をご覧ください。

🔷アンリ・ルソー

エデンの園のエヴァ



🔷モディリアーニ

婦人像(C.D.夫人)



ルニア・チェホフスカの肖像



ル  ネ



ここからがアールヌーヴォー工芸作家の登場です。


🔷ドーム兄弟

花形ランプ


マロニエ文花器



葡萄とカタツムリ文花器



葡萄文花器



藤文花器

枝や花が上から下に垂下させる構図は、浮世絵などの日本美術の影響によるといわれている。


ペポカボチャ文花器



タンポポ文花器
ピンボケだったので補正しました。
お許しを!




私にとっては、メインディッシュであるガレにいきましょう。

今回展示は7点のみですが、その前にちょこっとだけ学んでから進みたいと思います。

🔷エミール・ガレ

ジャポニズムの影響
ナンシー水利森林学校に留学中の農商務省官僚で美術に造詣の深い高島得三(雅号:高島北海)と交流を持ち、日本の文物や植物などの知識を得たとされる。
高島の墨絵の影響を受けてガレは水墨画的なぼかし表現を伴う黒褐色のガラス(のちに作者により「悲しみの花瓶」と命名)を生み出したとする仮説が唱えられていたが、これは現在では明確な反証をもとに否定されている。

出典:Wikipediaより引用

気になったので上記を抜粋してみました。

ここで、ジャポニズムとガレやドーム兄弟との関係性について、少しだけ考察してみたいと思います。

ガレやドーム兄弟らは、中心地パリではなく北部の地方都市ナンシーで切磋琢磨し技を磨いていた。
ここナンシーには、ゴンクール兄弟という日本美術の素晴らしさを美術家や文筆家、もちろん一般の人々にも論じた兄弟がいた。

彼等は、ロンドン万博(1851年)で多くの日本商品が出品され、中でも竹細工、漆器、歌麿や北斎の浮世絵などを見て、日本の美術に大きな感銘を受けることとなる。

その後、フランスで1867年にパリ万博が開催。
ここから本格的にフランスにも、日本の芸術が入って来る訳で、兄エドモン・ド・ゴンクールは1881年には「芸術家の家」と言う詳細な日本美術の紹介と詳しい解説を添えた本を出筆。

彼等は、元々作家で美術評論家だった。
兄エドモンが原稿を書き、弟ジュールが推敲するという形態を長年取ってきたが、弟が40歳で梅毒で亡くなった(1970年)あと、兄エドモンは一時期、筆が取れない時期もあったが以降持ち直し、小説、美術評論などを書き残した。
浮世絵研究の書として、「芸術家の家」以降に「歌麿」(1891年)、「北斎」(1896年)を著した。(両著ともアンダーバーをクリックすると日本語訳本の販売ページにリンクします。)
兄エドモンはジャポニズムの先駆者の1人とされるが、富山 高岡出身の画商 林忠正の協力も大きいとされている。

こうして、この兄弟の存在によりフランス・ナンシー在の芸術家は日本の美術に深い造詣を持つこととなった。
その代表格として、ドーム兄弟、エミール・ガレ、それに家具作家のマジョレルらがいる。

さらには、Wikipediaでは否定されたと記述のある高島北海の影響も受けたという仮説が唱えられていたが、明確な反証を元に否定されている。


ナラ文花器



アザミ文花器



草花文耳付花器


底に近い赤色層に散らされた足を引き上げた姿勢のカエルのモティーフ群は、葛飾北斎の『北斎漫画』から引用されている。


ケシ文花器



ユリ文花器



クロッカス文花器



イヌサフラン文花器


ところで、どうなんだろう?

🔶ガレとドームの違いについて

対象
ガレは対象をクローズアップして幻想的な作品を好んだのに対し、ドーム兄弟は風景や植物をやや遠景で写実的に表現する作品が多いです。

技法
ドーム兄弟は、溶解したガラスの上に色ガラスの粉を撒き、接着させることで表面にマーブル状の薄い混色層を作る「ヴィトリフィカシオン」という技法を開発しました。

制作手法
ガレは植物学や生物学、文学や哲学など多岐にわたる学問への深い造詣をガラスの造型や意匠にいかんなく発揮しています。
ドーム兄弟は、芸術集団を構成してひとつの作品を創り出す手法をとっています。

制作スタイル
ガレは芸術を目指す気迫にあふれるのに対し、ドームの作品は四季の美を写実的に捉え、人々の心を癒やすものが多いです。

AIによる解析

双方、同じように植物を題材にした作品を数多く残しているが、ガレは元々植物学者だったので、素養としての知識が豊富であり個人の趣向の違いも大きいとは思うが、幻想的な表現を好んだようだ。


🔷ルイス・C・ティファニー

あの宝飾店「ティファニー」の創業者の息子さんです。
アメリカにおけるアール・ヌーヴォーの第一人者。

花形花器



ヴェネチア風テーブル・ランプ



花形花器


今回の鑑賞はここまでです。
ざっと、観ていただきましたが、芸術の秋を少しは堪能いただけましたでしょうか?


🔶本日のランチ

まだまだ、展示品を鑑賞終えてないし、外に食べに行くにも大変。
ここは併設するレストランでランチするしかありません。

レストラン アレイ


きのこと秋野菜のブイヨンスープと
フロマージュブランのタルティーヌ


メインは魚をチョイス。

三重県熊野産 真鯛のポワレ
マッシュルームのソースに
ハーブのアクセント


渺々びょうびょう
作 : 板東 優 2014年


窓の外にも作品があって、敷地全体がアートで溢れている。

食後のデザートに栗のプリンとコーヒーをいただいて締めたいと思います。

栗のプリンとホットコーヒー


🔶編集後記

 ガレが北斎から受けた影響を具現化している作品がいくつもあるが、特に有名な「鯉文花器」は、北斎漫画の13編「魚藍観世音」に登場する鯉をそのまま用いて制作されている。
今回の展示作品の中では唯一、草花文耳付花器が北斎漫画から引用されています。
今後、諏訪 北澤美術館、六本木 サントリー美術館などを巡って更にジャポニズム、北斎との影響なども探って行きたいと思います。

ガレが北斎から受けたとされる影響に関する過去の記事を貼付しておきますのでご覧頂ければ幸いです。
1、アダチ版画研究所
2、マイナビニュース
3、青い日記帳

箱根ポーラ美術館Vol.1はここまでです。
Vol.2では、もうひとつの企画「印象派からリヒターまで」を中心にお見せしたいと思っております。



to be continued !





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