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【後編】自立支援介護導入から3年。EIJUSOグループの取り組みをご紹介します

こんにちは、EIJUSOグループ代表の永嶋です。

前回の社内報noteでは、コーディネーターの新海さんに自立支援介護について紹介してもらいました。最初に話を持ち掛けたときは、導入に否定的な返答をした新海さん。その理由と、EIJUSOグループでの自立支援介護の取り組みについて、引き続きお話してもらいました。

最初は導入に消極的だった自立支援介護

こんにちは、新海です。前回は、最後に「実は自立支援の導入を過去に拒んだことがある」とお伝えしました。今回は、そこから続きをお話したいと思います。

正直なところ、私は当初、自立支援介護に対して良いイメージを持っていませんでした。その理由は、「水を飲むだけで認知症が治る」といった強調された表現を目にし、医学的根拠はあるのか、と懐疑的であったからです。特に、「内臓機能も低下している高齢者の方に水分をどんどん飲んでいただくことが本当に効果的なのか」と疑問に思っていました。

私の考えが変わったのは、介護保険制度の変化がきっかけでした。それは、「おせっかいご(お節介な介護)」ではなく、専門職として利用者の自立を促進することが介護職の役割と介護報酬改定で明文化されたからです。
通常、仕事で成果を上げると利益が増えますが、介護施設では逆の現象が起こります。利用者の状態がよくなると要介護度が下がり、施設の収入が減少するため、これが介護施設にとっての大きな課題でした。

この状況の中で、EIJUSOグループでも2020年から自立支援介護を導入することになりました。その際、「やるならば、きちんと理解して取り組もう」と決心しました。これが私の自立支援介護への取り組みのスタートラインでした。

EIJUSOグループの自立支援介護

EIJUSOグループの自立支援介護は、外部のアドバイザーの方にアドバイスをいただきながら進めてきました。前回のご紹介の通り、私たちは水分摂取、食事、排泄、歩行と、4つの要素を支援しています。すべてを一度に行うのではなく、利用者の状態に応じて、まず最初に水分摂取の支援を行い、次に歩行の支援、そして極力下剤を使用しない排泄と栄養管理(食事)へと順に進めています。

水分摂取量の管理は、自立支援介護に限らず重要視しています。水や麦茶だけでは一日の目標としている水分を取れない方もいらっしゃるので、飲み物の種類を増やす、またゼリーなど食べるものからも水分が取れるよう、工夫しています。朝イチなら飲めるなど、タイミングによって飲める時間帯がある方もいるので、その方に応じた声掛けも行っています。

次に、歩行の支援です。自立支援介護を始めるにあたり、歩行器をたくさん購入しました。まずは立った状態で何秒間保持できるかを試し、その後は体を預けられるU字型の歩行器を使って歩行訓練をします。

排泄に関しては、下剤ではなく不溶性食物繊維を豊富に含んだ特定保健用食品など自然に排泄を促すタイプのものを、医師や看護職へ相談しながら使用しています。下剤を使うとお腹の痛みが生じますし、体力の消耗にもつながります。垂れ流しになってしまうおそれもあり、自然に排泄できるようにすることは非常に大切なのです。

一気に始めず、取り組みやすいユニット、利用者から導入を進めました

EIJUSOグループでは、自立支援介護の導入を各施設、1つのユニット(グループ)から始め、段階的に拡大していきました。導入が比較的安易なユニットから始め、成果の出そうな利用者を対象にして、徐々に導入範囲を広げていきました。

1人の利用者に成果が出たら次の利用者を、1つ目のユニットが軌道に乗ったら別のユニットをといった具合に、順々に広げていった形です。

EIJUSOグループには、「まずやってみよう」を合言葉に新しい取り組みに対して「まずは行ってみる」という積極的な風土があります。しかし、それでもただでさえ日々忙しく現場で働いている介護職員たちに新しいことを始めてもらうのは、心理的な負担になるのではという心配がありました。

実際、同時期に同じアドバイザーの元で自立支援介護を導入した他法人の施設では、導入がうまく進まず、フェードアウトしてしまったという事例もあります。

自立支援介護を軌道に乗せるには、まず旗振り役となる管理職が前向きに学び、知識を身に付けること。その後、取り組みやすいユニット、利用者から少しずつ進めることで、まず現場に成功体験を味わってもらうこと。そして、そのうまくいったやり方を徐々に他の利用者、ユニットに広げていくことだと思っています。成果が出ることを介護職員が実感できれば、次につなげられるという見通しがたちます。始める際には、新しいことに抵抗のないチーム、利用者の変化を特に喜ぶチームからスタートするといった工夫もしています。

自立支援介護を浸透させていくため、事業所内でのミーティングも行いました。自立支援介護について話す機会を設けることで意識を向け、「5分でもいいから自立支援介護を始めてみましょう」と伝えました。各施設で立てる事業計画のなかにも自立支援介護の内容を入れてもらっています。

また、EIJUSOグループでは管理者が毎月研修に参加し、職員と同じレベルで自立支援介護の認識を深めていった点も特徴でした。同時期に同じアドバイザーの元で自立支援介護を導入した他法人の施設では施設長や主任が研修に参加しているところはなく、それが本気度の違いにもつながったのだと思います。

法人内で認定試験を作り、指導者を育てることが目標

自立支援介護を導入した1、2年目は、他法人との合同コンサルを受けていました。ただ、時が経つにつれて進み具合に違いが出てきたため、3年目からは単独コンサルに切り替えることになりました。

ただ、いつまでもコンサルの先生に頼っていてはいけないとも思っています。今年度は、法人内で指導できる人を育てることが目標です。自立支援介護の知識を深めるために自分たちでPowerPointの資料を作ってみたり、人前で講義してみたりすることで、指導できるレベルの知識、技術を身に付けていきます。

また、各施設から主任、看護、リハビリのメンバーを選出し、自立支援介護のトップクラスの育成も行います。たとえば、扇の森にご福あげおの職員が出向き、扇の森の職員にアドバイスをするといったように、施設間で取り組みを行うことで、法人内にアドバイザーを育てていきたいです。法人内で認定試験を設け、EIJUSOグループにおいて自立支援介護のトップクラスの人だとわかるような仕組みづくりも行う予定です。

利用者さんの「自分でできた」喜びが、自立支援介護の本質

自立支援の実践を通して、私たちが目の当たりにしたのは、利用者の顕著な変化です。自分の力で歩いていきたい場所へ行けるようになり、以前は自分で食べることができなかった方が、スプーンを使って自分の口に食事を運べるようになったのです。

そのときの利用者の表情には喜びを自信が溢れており、それを見る私たち職員もみんなで喜びました。以前は自立支援介護に対して消極的で、強調された表現に抵抗を感じていましたが、実際に学び、経験を積むことで、成果を理解しました。

最後に、自立支援介護が単に身体的な改善を目的として捉えられることがありますが、実は身体的な改善は目的ではなく、手段にすぎません。このアプローチの真の目的は、利用者が自らの力で食事をし、スッキリと排便をし、行きたい場所へ自由に行けるようになり、それらの過程で自信を取り戻すことです。身体的な改善を通じて、利用者の人生をより豊かにし、利用者が自立した生活を営むことを支援するのが、私たちが目指す自立支援の本質です。

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