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大企業や自治体に対してオープンイノベーションを浸透させていくー『エンタープライズ事業本部』の役割とは?

eiiconではたらく、さまざまなメンバーにインタビューする #eiiconなひとびと 。今回は、エンタープライズ事業本部の本部長を務める村田宗一郎が登場。大企業と自治体・官公庁を中心に、オープンイノベーションの支援を手がける同事業部が目指しているビジョンや仕事における醍醐味など、組織の展望や魅力について語ってもらいました。

エンタープライズ事業本部 本部長 村田宗一郎
eiicon参画後はエンタープライズ事業部の責任者として、法人企業・自治体へのオープンイノベーション支援に従事。eiiconのオープンイノベーションプログラム総責任者。各種プログラムでのセミナー・講師・メンターやイベントでの講演など実績多数。

オープンイノベーションを「当たり前」にしていく

――エンタープライズ事業本部の紹介に入る前に、まずeiicon全体で目指している世界観についてお聞かせください。

eiiconは「価値ある出会いが未来を創る」というビジョンを掲げ、企業が自立的にオープンイノベーションに取り組むという世界観を目指しています。

なぜ、このようなビジョンを掲げているのかというと、クローズドイノベーションでの新規事業創出をメインに進めてきた日本はイノベーション後進国であるためです。失われた30年で日本企業は新たなイノベーションを生み出すことができず、世界経済から取り残され、平均賃金も上昇せず、多くの国に抜かれている社会的問題も近年では浮き彫りになっています。

とはいえ、決してクローズドイノベーションをネガティブにとらえているわけではありません。日本企業が有する独自の技術力によっていくつかのイノベーションを起こすことに成功した事例もあります。

しかし、第4次産業革命といわれる今の時代、誰もが情報収集でき、顧客が何を求めているのかを直接知ることができる中で「マーケットイン」の発想が重要なのですが、自社の技術力に頼ってきた日本はこの領域が苦手な傾向があります。それを克服し、新たな価値を生み出していくためには、オープンイノベーションという手法を積極的に採り入れていくべきだと思います。

――そのための支援を担うのが、村田さんが率いるエンタープライズ事業本部ということですね。同部が手がける支援内容について教えていただけますか?

私たちエンタープライズ事業本部が支援しているのは、主に「大企業」と「自治体・官公庁」という2つの領域になります。

多くの大企業は新規事業の必要性を感じてはいるものの、オープンイノベーションという手法を活用している企業はまだまだ少ないといえるでしょう。認知はされていますが、実践まで至っていないのが現状です。そうした大企業に対して、オープンイノベーションを実践するための支援を行っています。

オープンイノベーションに必要なのは、ヒト・モノ・カネ、そして情報です。大企業にはそれらのアセットが備わっています。あと、何が欠けているのかというと、それは成功体験に他なりません。

オープンイノベーションを採り入れることによって新規事業が生み出される。このような成功体験を積むことによって、事業創出の手段としてオープンイノベーションが当たり前になる。そうした支援を手がけています。

――「自治体・官公庁」の領域では、どのような支援を行っていくのですか。

自治体や官公庁がプログラム形式などでオープンイノベーションに取り組む機会も増えており、企画・構想から運営、伴走支援や成果発表に至るまで支援を行っています。

さらに、自治体の場合は、地場の企業を巻き込みながらプログラムを活性化していくことも私たちの重要な役割の一つです。オープンイノベーションという言葉をそもそも知らない地場の企業も多く存在します。まずはオープンイノベーションという手法を認知してもらい、そこから支援をする中で成功体験を積んでいただくことで、地場企業にとってもオープンイノベーションが「当たり前」になるような支援に取り組んでいます。


戦略立案から運営業務に至るまで一貫してサポートする

――エンタープライズ事業本部では、実際にどのような支援を進めているのでしょうか。支援の流れについて教えてください。

大企業領域においては「OIC(Open innovation conduction)」というインサイドセールスのチームが、新規顧客にアプローチします。そこで興味を持っていただいたご担当者さまに対して、何を実現させていきたいのか、オープンイノベーションの戦略を立て必要となるものを明確にしていきます。

その後、「インキュベーションセールス」というフィールドセールスのチームに引き継ぎます。ここで課題に対する適切なソリューションを提案し、受注へとつなげるのです。受注して支援プロジェクトがスタートする際に、継続してインキュベーションセールスが支援するか、コンサルタントにパスをして進めていくかの二方向に分かれていきます。それに加えて、プロジェクトの運営に関しては、プロジェクトディレクターが進行管理を行いながら継続的にサポートしていきます。

――自治体・官公庁領域に関しては、一貫して1つのチームが支援を行うと聞いています。

そうですね。自治体・官公庁領域にはインサイドセールスチームは置かず、およそ1年をかけて同じチームメンバーで対応していきます。自治体や官公庁の次年度の取り組みに対して提案していくことがメインとなるため、必然的に足の長い業務になります。そのため、一人の担当メンバーが継続してアプローチしていく形をとっています。

――実際にどのような支援を手がけてきたのでしょうか?事例をお聞かせください。

ある大手インフラ企業の支援事例をご紹介します。同社では、社会情勢の変化によって新規事業への機運が高まり、外部との共創を目指してオープンイノベーションプログラムを立ち上げました。

オープンイノベーションは、パートナーとなる企業との出会いから始まると思われがちですが、実はその前後が非常に重要です。
自社の新規事業における戦略策定、その戦略を実行する体制構築、目指すべき世界に向けて、どのような課題があり、どのようなテーマを設定し、どんなパートナー企業と共創すれば、目指す世界に到達できるのか。そのパートナーと出会うために、自社が提供できるリソースやアセットは何か。出会った後にどのようにして、共創による新規事業を進めていくのか。など、とにかく出会うだけでは意味がありません。

このようなストーリーを描いてからでないと、オープンイノベーションによる新規事業創出は成功しません。ですので、パートナー企業を探す前段階の戦略立案から出会いの場の創出、その後のインキュベーションに至るまで継続的に支援を行っていきました。

――大手インフラ企業の支援事例においては、どのような成果が生まれましたか?

およそ1年にわたって支援し、事業化に向けた共創プロジェクトが3件採択され、そのうちの1件についてはスタートアップと業務提携契約を締結。私たちの支援が経営層からも一定の評価を受け、満足をいただいています。


「文化を創る」という醍醐味

――自治体・官公庁領域では、どのような支援をしていますか。

スポーツ庁が手がけている「地域版のオープンイノベーションプラットフォーム(地域版SOIP)を構築する」というプロジェクトの支援を手がけました。北海道・関西・中国・沖縄という各地域のプロスポーツチームとパートナー企業によるオープンイノベーションで新規事業を創出する試みです。

上述した4つのエリアで支援を行い、計11社・12件の共創プロジェクトが実証実験まで進むことができました。新型コロナウイルスによる逆風の中、今までにないマネタイズポイントを作り上げ、スポーツチームやその周辺の地域を盛り上げる取り組みとして、新たな気づきになるプロジェクトとなりましたね。

▲2022年3月に開催された成果発表会(DEMODAY)の様子(プレスリリースより)

――こうした実績は、今後の提案活動にもつながりそうですね。

そうですね。現在、政府が掲げている「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」においてもオープンイノベーションが推進されていますし、そうした動きに呼応して自治体のオープンイノベーション関連予算が増えていると実感しています。自治体への提案は実績が重要視されることもあるので、全国の自治体から声がかかることも増えていますね。

――なるほど。オープンイノベーションが都市圏だけではなく日本各地の自治体にも波及しているということですね。オープンイノベーションが「当たり前」になるという世界観に着実に近づいているという感触はありますか?

着実に前進はしていますが、社会に浸透していくにはまだまだ時間がかかるでしょう。実現のためには、私たちが企業や自治体に伴走し、ハンズオンで支援を手がけていくことが必要だと思います。そうした活動を通して、オープンイノベーションを「当たり前」の文化にしていくことが、エンタープライズ事業本部における仕事の醍醐味でしょう。

昔は新卒一括採用が当たり前だった日本企業において、中途採用が増え、転職エージェントやヘッドハンティング、リファラルなど、さまざまな採用手法を活用するようになりました。これは採用という文化が変化したことに他なりません。

しかし、新規事業創出に関しては、オープンイノベーションという手法に取り組んでいる企業が、まだまだ少ない状態です。企業にとっては未知の領域ですし、やるべきなのかとういう判断もできていません。新規事業を創出するための最適解がオープンイノベーションであるのなら、挑戦するべきだと思います。こうした考え方も、フロントに立つエンタープライズ事業本部が中心となって、これからもっと広げていかなくてはならないと感じています。

▲村田が率いるエンタープライズ事業本部のメンバー


ビジョンに共感し、自分ごと化できる人を求める

――エンタープライズ事業本部のカルチャーを教えてください。

人材・金融・広告・コンサルなど様々な業界の出身者が集まっていますが、共通しているのは「物事を自分ごと化しながら、手を動かす」という点ですね。eiiconが実現したい未来に共感し、みんながオープンイノベーションの可能性を信じて前進しています。

ただ、組織ができてから数年しか経っていません。制度面で整っていない部分もありますし、成功に導く方法論もまだ不十分といえるでしょう。ただ、そのような部分は業務を通して日々更新しています。未完成な部分は多々ありますが、メンバー一人ひとりが顧客に最適なソリューションを提供するために、全力で取り組んでいる組織であることは間違いありません。

――社員の提案をサービスに反映させたり、意見を取り入れる文化はありますか。

はい、社員の提案を形にする文化は根付いていますし、そうした提案を私たちのサービスやイベントなどに反映させています。ですので、「なぜやるのか」「どうしてやるのか」を考え続けられる場だといえるでしょう。

また、オープンイノベーションを推進させていく「型」はありますが、オープンイノベーションを文化にしていくには日々改善することが多くありますので、やはり自分で考える力が求められますね。

――それでは最後に、エンタープライズ事業本部においてどのような方と一緒に働いていきたいかお聞かせください。

「価値ある出会いが未来を創る」というeiiconが掲げるビジョンへの共感と、何事も自分ごと化していくという姿勢をお持ちの方と一緒に働きたいですね。

今までになかったオープンイノベーションという手法や考え方を、文化として日本社会に浸透させていくのは、簡単ではない取り組みだと思います。一方、うまくいかないことを、他人のせいにするのは簡単です。そうではなく、どうしたら実現できるのかを、一緒に汗を流しながら考え続けられるような方を求めています。

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