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尼崎を舞台にしたローカル色豊かなコメディ 『あまろっく』

4月12日(金)兵庫県先行公開
4月19日(金)公開 新宿ピカデリーほか全国ロードショー

■あらすじ

 近松優子は兵庫県尼崎出身。小さな鉄工所を経営する楽天家でぐうたらな父に反発し、一流大学卒業後は独立してバリバリ働いてきた。だが彼女は突然のリストラで、会社をくびになってしまう。

 尼崎の実家に戻ってダラダラとニートのような生活を続ける優子に、父は「お父ちゃんは、再婚することになりました」と告げる。「勝手にしたらええがな。私には関係ない!」と応じる優子。だが父が再婚相手として家に連れて来たのは、まだ二十歳だという若い美女・早希だった。

 家族3人の、ギクシャクした暮らしが始まる。だがギクシャクさせているのは優子だ。早希が家にやって来たことで、優子は自分の居場所がなくなったように感じているのだ。しかも早希は、優子に何を言われてもへこたれない図太い女。若いくせに世話焼きで、毎日食事の支度をしたり、優子に見合いを世話したりしてくる。

 だがそんなにぎやかな暮らしは、父の急死で突然終わってしまった……。

■感想・レビュー

 多くの映画やドラマで活躍している江口のりこの主演映画。父の竜太郎を演じるのは笑福亭鶴瓶。再婚相手の早希役にはモデル出身の中条あやみ。だいたいこの3人で物語が回っていくのだが、周囲にも芸達者な顔ぶれを揃えて物語世界に厚みを持たせている。

 この映画の一番いいところは、実際の尼崎のロケをふんだんに入れながら、尼崎をはじめとする関西出身の俳優たちによって、生々しい関西弁のお芝居を作っていることだ。鶴瓶の若い頃を尼崎出身の松尾諭に演じさせているが、このキャスティングはなかなかの慧眼だった。どちらもよく知られている顔で見間違えようがないのに、ちゃんと同一人物に見えるのは不思議だった。

 予告編だけ観て、主人公と父と年下義母のドタバタコメディだと予想していたのだが、鶴瓶扮する竜太郎があっと言う間に物語から退場してしまったのには驚いた。ここから物語は、一風変わった女同士の連帯ドラマになっていく。早希に反発していた優子は、鉄工所を守ろうとする早希の決意と、彼女の妊娠を知って少しずつ態度を変えていく。押し付けられた見合い話も、瓢箪から駒で奇妙な具合に転がってく。

 還暦過ぎの年寄りと二十歳の娘の再婚話は、物語としてかなり無理がある設定だと思う。おそらくこの話だけで続けても、どこかでストーリーが破綻するだろう。そこで潔くこの関係を解消してしまい、中年に差し掛かっている娘と二十歳の母の話に素早く切り替える思いきりのいい脚本。

 映画のテーマは「家族」だ。それまで他人同士だった人間が、さまざまな関わりの中で大きな家族になっていく不思議さと面白さ。商店街で優子と交際中(?)の広樹とばったり出会った早希が、「わたしたち家族になるかもしれません」と嬉しそうに語る場面が印象に残る。

 早希の出産はどうなるのか。優子と広樹の関係は進展するのか。ハラハラさせた末に、急転直下のハッピーエンド! この幕切れは快感だった。

丸の内TOEI(スクリーン1)にて 
配給:ハピネットファントム・スタジオ 
2024年|1時間59分|日本|カラー 
公式HP:https://happinet-phantom.com/amalock/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt31549049/

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