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2024年:今年の映画を振り返る

 今年は劇場での映画鑑賞が久しぶりに100本を超えたので、その中から面白かった作品をピックアップしてみようと思う。洋画と邦画で10本ずつ選ぶようなことはしない。全部合わせた中から印象に残ったものを、本数に関係なく選ぶ。

 1月9日に『エクスペンダブルズ ニューブラッド』からはじまり、12月30日に観た『私にふさわしいホテル』までの100本だが、特に順位など付けない。面白かったタイトルを、鑑賞した順に抜き出しただけだ。


哀れなるものたち

 シュールで、暴力的で、コミカルで、エロチック。寓意性に満ちたファンタジーだが、これは「面白かった」としか言えない。

ゴールデンカムイ

 人気マンガの実写版。山崎賢人はマンガ実写映画の専門俳優みたいになっているが、毎回きちんと役柄を変えてくるのは大したものだと思う。

PERFECT DAYS

 映画らしい映画。最近の「説明過多な映画」にウンザリしている人は、これを観ると心が洗われるような気持ちになると思う。

52ヘルツのクジラたち

 杉咲花という女優のパワフルさ。朝ドラなどの印象が強かった女優だが、彼女のエモーショナルな芝居に打ちのめされる。

ゴールド・ボーイ

 今年最大の収穫のひとつ。映画の終盤で、少女がゆっくりと振り向くシーンを思い出すだけで胸が締め付けられそうになる。少女映画の巨匠金子修介作品。

あまろっく

 大阪尼崎を舞台に、町工場を営む父の再婚相手と中年娘の衝突を描く人情疑似家族もの。どうってことない映画だが、観ていてホッとするのだ。

マッドマックス:フュリオサ

 映画とは人物の移動であり、成長であり、アクションである。そのすべてが水準以上であれば、映画は確実に面白くなる。

あんのこと

 今年は河合優実という若い俳優が注目されたことで、後年記憶される年になるのではないだろうか。これは彼女の代表作になるであろう作品。

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ

 生意気盛りの生徒と、堅物の中年教師が、互いに反発しながら絆を深めていくというヒューマンドラマ。じっくり芝居を見せる映画です。

ルックバック

 短編マンガを短編アニメーション映画として仕上げ、それを劇場公開してヒットさせるという、かなり難易度の高いことをやって成功した作品。

メイ・ディセンバー ゆれる真実

 『レオン』(1994)から30年。ナタリー・ポートマンもすっかり大人の役者になったのだなぁ……と感じさせるドラマ作品。

密輸 1970

 今年観た外国映画の中ではこれが最高だったかもしれない。悪党同士の駆け引きと鍔迫り合い。血みどろで凄惨なアクション。音楽も最高。

ソウルの春

 全斗煥の軍事クーデターをフィクションを交えながら映画化した、実録ポリティカルサスペンス。俳優たちの芝居に見応えがある。

侍タイムスリッパー

 今年の日本映画はこの映画中心に回っていたような気もする。こういう映画が年に2〜3本あると、日本映画もずっと面白くなるんだろうけど。

ぼくのお日さま

 雰囲気とか佇まいで観る人を魅了する作品。登場人物たちの心のひだに分け入っていくような、繊細な描写が良い。

シビル・ウォー アメリカ最後の日

 背景説明などなしに、状況だけをどんどん見せていく。そのことで、観客を内戦状況のアメリカにぶち込んでしまうのだ。

アイミタガイ

 映画には普遍性か必要であると同時に、その作品が作られた時代性が必要だと思う。この映画はそのあたりのバランスが良かったのではないだろうか。

雨の中の慾情

 映画的な「旨味のエキス」がぎっしり詰め込まれた作品。物語がどうこうとか、テーマがどうしたとか、そういうのはあまり関係ない。

アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師

 今年は岡田将生の年だった。『ゴールド・ボーイ』や朝ドラ「虎に翼」も良かったが、この映画が最高かも。そして、ご結婚おめでとうございます。

私にふさわしいホテル

 小品コメディとしての面白さ。テンポ良く時間が経過していくスピード感。万年筆のペン先が傷みそうで気になったが、それはそれ。


 100本観て20本ピックアップしたから、映画を観たうちの2割は面白かったことになる。かなり歩留まりがいいのか、単に自分の点が甘くなっているのか。たぶんその両方だろう。

 そもそも年間100本程度だと、映画を観に行く段階である程度あたりを付けて面白そうなものを選んでいるのだ。もっと「選ばずに観る」ことを徹底したいのだが、それだと年に200本ぐらいは観る必要があって結構大変かな……。

 いずれにせよ、来年もまた面白い映画に出会えることを期待しています。


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