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日本未公開映画、先行配信映画についてご紹介します。映画館で観た映画についてはX: @eigadaysで。

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STOPMOTION / ストップモーション(2025年1月17日劇場公開)

ストップモーション映画が好きです。たぶん『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』が好きになるきっかけだったと思います。 今作はホラー映画で、ストップモーション映画を製作する大作家の娘が主人公です。この設定が後々効いてきます。 主人公エラを演じるのは、大注目のアシュリン・フランチオージ。笑顔が素敵な俳優さんです。でも登場人物の裏に潜む狂気を演じさせるとその笑顔が不気味に見えます。 アシュリン・フランチオージは2024年12月13日劇場公開予定の『スピーク・ノー・イーブル 異

    • FERRARI / フェラーリ(2024年7月5日劇場公開)

      身勝手な男により悲劇に突き落とされる女性を描かせたら天下一品のマイケル・マン監督にとってうってつけの題材です。完璧主義者として知られているフェラーリ社の創業者エンツォの半生を描く映画の柱として妻ラウラ(ペネロペ・クルス)の視点を存在させることで光と影がくっきり際立つ映画になりました。 ペネロペ・クルスの登場場面からフェラーリ夫妻、只事ではない状況に巻き込まれていることがわかります。ラウラは、トリノの裕福な資産家であるアレッサンドロ・ガレッロの娘でフェラーリ社の創業時に資金援

      • C'È ANCORA DOMANI / まだ明日がある(イタリア映画祭2024劇場公開未定)

        きっとこの映画の作り手は『パラサイト半地下の家族』を観て、悔しかったに違いない。今までネオリアリズモという手法で貧乏な国民を散々描いてきたイタリア映画がぽっと出の韓国映画に貧乏家族を描いた映画でアカデミー賞をさらわれたのだから。 パオラ・コルテッレージが監督・脚本(共同)・主演を務めた映画は1946年のローマが舞台。それも貧乏アパート暮らしの主婦デリアが主役。最初1.33:1のアスペクト比画面で映画が始まる。タイトルバックが出た後画面は広がるが、最後までモノクロのまま。

        • SLOTHERHOUSE / キラー・ナマケモノ(2024年4月26日劇場公開)

          だいたい、生き物の名前をつけるにおいてナマケモノとはいかがなものかと思うわけです。人間の価値観で生態が怠け者のように見えるからという理由だけで。 実は英語でもslothというスロー(遅い)からの派生語の名前を付けられているこの動物が女子寮で人を殺しまくる映画。やれやれ。 女子寮にやってきた(というか盗まれてきた)当初、当然その愛くるしさから人気者になります。でも実はキラー・ナマケモノでしたというありふれたプロットのホラーコメディ。 まあ、尺稼ぎのために人間ドラマが描かれ

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        STOPMOTION / ストップモーション(2025年1月17日劇場公開)

          KING OF COMEDY / キング・オブ・コメディ(1984年5月19日劇場公開)

          片付けをしていたら、昔ロンドンで買った「スコセッシDVD BOXセット」が出てきました。第96回アカデミー賞授賞式中継を見ていたらマーティン・スコセッシもロバート・デ・ニーロも元気な姿を見せてくれていました。と言うわけで。 公開から40年経っても色褪せない理由は、マーティン・スコセッシのスタイルが既に確立されているから。最新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームン』にもしっかり受け継がれています。例えば最新作で音楽を担当したロビー・ロバートソンは本作でも音楽を担当しています。

          KING OF COMEDY / キング・オブ・コメディ(1984年5月19日劇場公開)

          SHE CAME TO ME / ブルックリンでオペラを(2024年4月5日劇場公開)

          今の時代、ロマコメ作りも大変です。ダイバーシティの旗の下に映画製作には様々な制約が課せられています。逆に言うと今までの映画が社会をある一方向の視点からだけステレオタイプ化してきたことへの大いなる反省を促されている時代と言えるでしょう。加えてより多くの多様化している観客の意に沿うような映画にしなければヒットしないわけですから大変です。 本作のキーヴィジュアル(映画を宣伝するときに必ず使用しなければならない画像のこと)もはっきりと身長差を意識させる構図になっています。映画界は本

          SHE CAME TO ME / ブルックリンでオペラを(2024年4月5日劇場公開)

          屋根裏のラジャー / THE IMAGINARY(2023年12月15日劇場公開)

          この作品元々の予定では2022年夏の公開でした。 それが例のあの影響で2023年の年末に公開という不運。 つまりお正月映画として他の作品と興行争いを繰り広げる羽目に。 良く出来た作品だとは思います、ストーリーのテンポがゆっくり過ぎるのとマスコットキャラの役割が複数のキャラに分解されていて盛り上がりに欠けるという点を除けば、です。 猫のキャラとの有機的な絡みがもっとあればと思いました。

          屋根裏のラジャー / THE IMAGINARY(2023年12月15日劇場公開)

          2023 eiga ベスト10

          2023年に映画館で観た極私的ベスト10。 ①パスト ライブス/再会:セリーヌ・ソン監督のこのメロドラマにみんな映画館の椅子から立てなくなると思いますよ。 ②オッペンハイマー:クリストファー・ノーラン監督の圧倒的なドラマと映像と引の音響に感動必至。③PERFECT DAYS:ヴィム・ヴェンダース監督がこんなにわかりやすい映画を撮るなんて。④ポトフ美食家と料理人:トラン・アン・ユン監督の美意識を再発見しました。それと映画史上最高の料理映画。⑤キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

          2023 eiga ベスト10

          THE MARVELS / マーベルズ(2023年11月10日劇場公開)

          本作の主役の一人であるミズ・マーベル(イマン・ヴェラーニ)のドラマシリーズは流石に見ておいたほうがいいだろうと全6話を完走して映画館へ。 もう一人の主役、キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)が活躍する過去作品は全て観ているので特に見直すことはしませんでした。 そして、本作を観終えてそれなりにまあ面白かったけど、肝心のストーリーが有機的に絡んでなくてあっさり終わったという物足りなさが残りました。 それもそのはずで、ディズニープラスで配信されている『シークレット・インベ

          THE MARVELS / マーベルズ(2023年11月10日劇場公開)

          OPPENHEIMER / オッペンハイマー(2024年3月29日劇場公開)

          この秋、欧州に行く機会があったので、パリとロンドンで『オッペンハイマー』を観てきました。日本で公開されていないからと言って先に観たことを自慢したいわけではなくいつものようにこの映画についてどう思ったかを綴りたいと思います。 パリでは「シネ シテ レ アル」というシネコンで観ました。土曜日の午後で上映開始10分前に席に着いた時は半分くらいの入りでしたが、開始間際には満席になりました。驚いたのがシネコンなのに自由席。しかも後から来た客が空いてる席の間に座っている人に詰めてくれな

          ¥100

          OPPENHEIMER / オッペンハイマー(2024年3月29日劇場公開)

          ¥100

          MS. MARVEL / ミズ・マーベル(2022年6月8日配信公開)

          配信公開されてから1年以上も経って観ました。『マーベルズ』の予習です。このドラマ意外と面白かったです。それは物語が現実の歴史と地続きだから。 主人公カマラ(イマン・ヴェラーニ)はキャプテン・マーベルに憧れる高校生、もちろん恋だってしますが、その辺の描写は実にライトです。 新しい次元(ディメンション)としてヌール次元が登場します。今までMCUを観てきたファンにはお馴染みのいわゆる別次元設定なので問題ないでしょう。 そして『マーベルズ』に続くとなるわけです。現実と地続きとい

          MS. MARVEL / ミズ・マーベル(2022年6月8日配信公開)

          ゴジラ-1.0 / GODZILLA MINUS ONE(2023年11月3日劇場公開)

          『ゴジラ』の第1作目が公開されたのが1954年11月3日。それから69年後にゴジラ七〇周年記念作品として公開。 本作のゴジラの造形、演出に関しては楽しめました。特に泳ぐゴジラはメガロドンを超える映画的恐怖に満ちていてそれらの場面には満足です。 ただ問題だと思うのが、感動創出の装置として用意された元特攻隊員、敷島浩一(神木隆之介)の物語です。 その物語には終戦直前に大戸島で出会った海軍航空隊の整備士の橘宗作(青木崇高)が関わってきます。指摘したいのは”特攻”の美化という批

          ゴジラ-1.0 / GODZILLA MINUS ONE(2023年11月3日劇場公開)

          TALK TO ME / トーク・トゥ・ミー(2023年12月22日劇場公開)

          石膏の手を握るヴィジュアルだけは見たことがあったのと、A24製作という情報のみで観てみました。まだ日本公開が決まる前のタイミングでした。 興味津々に手を差し出しているのが、主人公ミア(ソフィー・ワイルド)。彼女は日本劇場未公開のThe Portable Doorに出てた俳優さん、本作で大ブレイクしてますね。 とにかくストーリーテリングが情報を小出しにして終盤に向かうにつれ謎が明かされる展開なので、まず飽きないしスピード感のある編集で新しいホラー映画を観ているというワクワク

          TALK TO ME / トーク・トゥ・ミー(2023年12月22日劇場公開)

          DALILAND / ウェルカム トゥ ダリ(2023年9月1日劇場公開)

          サルバドール・ダリを演じたベン・キングスレーは『ガンジー』以来のハマり役だと思います。自分のことをダリと呼ぶくらい自意識過剰な主人公を演じるのに多くのレイヤーを足し算して役作りをしたプロ根性には感動を覚えました。ただ実はこの映画はダリの生涯を中心に描いたものではありません。 映画の主役はダリのアシスタントのジェームズ(クリストファー・ブライニー)。ストーリーは、ジェームズがダリとその妻ガラ(バルバラ・スコヴァ)に振り回される様子を描くことで第三者的視点で観客にダリを理解させ

          DALILAND / ウェルカム トゥ ダリ(2023年9月1日劇場公開)

          DE USKYLDIGE / イノセンツ(2023年7月28日劇場公開)

          今年の夏を代表するホラー映画。静かなアクションが刺さります。 舞台となる団地が絵に描いたような団地。ここを選んだことでこの映画の成功は半分約束されたようなもの。 子供達が時として、逆さまに世の中を見つめているのです。それがこの映画の子供達だけの世界構築に役立っています。 仲良く遊ぶのも、のちに敵対するのも子供です。大人が立ち入ることのできないイノセント・ワールドです。 その子供達の中でも一際イノセンスを強調されて描かれる主人公の姉の破壊力よ。 エスキル・フォクト監督

          DE USKYLDIGE / イノセンツ(2023年7月28日劇場公開)

          永遠に君を愛す / EIEN NI KIMI WO AISU(2009年10月18日劇場公開)

          日本映画劇場で放送された時に録画しておいた初期の濱口竜介監督作品。『偶然と想像』の原型がそこにありました。 永子役で出演しているのがお馴染みの河井青葉。あの話し方で本心を見抜くのにはなかなか難しそうな感じを出すのが天才的ですね。この頃から他の役者と比べて頭一つ抜け出ている印象です。 70分ほどの中編なので起転結のうち、結が描けていないからエンドロールの最後に"NOT THE END"と出したのでしょうね。ストーリーテリングの手際の良さとなんでもないようなショットの挿入の持

          永遠に君を愛す / EIEN NI KIMI WO AISU(2009年10月18日劇場公開)