【映画感想文】真実を追う雪山の謎、心揺さぶるサスペンス『落下の解剖学』
ジュスティーヌ・トリエ監督が手がけたヒューマンサスペンス映画。視覚障がいを持つ11歳の少年が、雪山の山荘で血を流して倒れている父親を発見する。母親が救助を要請するも、父親は既に息絶えていた。当初は単なる転落死と思われたが、夫婦の間に隠された秘密や嘘が次々に明らかになるにつれ、妻のサンドラに夫殺しの疑いがかかっていく。息子に必死で無罪を訴えるサンドラだが、事件の真相は次第に意外な方向へと進んでいく。
本作で特に印象に残ったのは、視覚障がいの少年の視点です。 彼は、大人たちの言葉を頼りに世界を理解しようとするのですが、その言葉の裏には、多くの嘘や隠された感情が潜んでいることに気づかされます。
また、母親役の女優さんの演技も素晴らしかったですね。 夫の死をきっかけに、彼女の心の奥底に隠されていた感情が徐々に暴かれていく様子が、本当に切なかったです。彼女の表情一つひとつに、複雑な感情が凝縮されていて、思わず画面に釘付けになってしまいました。サンドラが無実を訴えるシーンでは、彼女の必死な姿に共感しつつも、彼女の秘密が次々に明らかになっていく度に驚かされました。
こういう映画はやっぱりいいですね。観る価値ありだし、誰かと話したくなるような内容でした。