なりきり育児の効能
飽きるのか、味が気に入らないのか、ミルクイズベストなのか、
息子は離乳食に途中で飽きていた。グズっていた。
しかしここ数日でわかってきた。こちらがハイテンションになって盛り上げると、息子も笑顔を見せぱくぱくと最後まで食べるのだ。
コンビニでもらうアイス用のスプーンをほっそりさせた、離乳食スプーン。
それに少しずつおかゆやらカボチャペーストやら、しらすペーストをのせ、彼の口元に運んでいく。
おかあさんといっしょのお姉さんを降臨させ、いつもよりワントーン高い声で実況中継する。
「ほお〜〜らカボチャやでえ〜〜〜。お口開けてぇ、あーーんっ。はいっ。ぱくうーーーっ。うん、うん。うまうま!おーいしーいな〜〜あ!!」
「〇〇ちゃんはごはん上手やなあ〜〜〜。おーいしーいなあ〜〜〜」
我ながら半分演技かもしれないが、めっちゃ楽しそうに振る舞ってみる。すると、口をもごもご動かしてペーストを咀嚼しながら、黒目がちな目を三日月にしてこちらを見つめてくれる。かわいい。かわいい。そこに語彙は必要ないほどにかわいい。そしてスプーンを口元に持っていくたびに、飴玉サイズの口をひし形にしてスタンバイしてくれた。いつの間にか完食していた。
そういえば、離乳食をあまり食べてくれないときの私の振る舞いは若干シリアスだった。真剣な顔で、笑顔少なめでガシッと彼をホールドしながら業務遂行している感じだったのだ。息子は楽しくなかっただろうし、無言の圧力が不快だったのかもしれない。
シンプルな真実。楽しいのが一番。
そして、まずはこちらが楽しくなること、そのように振る舞うこと。それによって、相手にも楽しさが伝播するだろう。育児に限らず。
息子はいろんなことを教えてくれる。
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