えはら医院

東京都府中市にある「えはら医院」です。 最新の科学論文を中心としたエビデンスに基づく情…

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東京都府中市にある「えはら医院」です。 最新の科学論文を中心としたエビデンスに基づく情報を独自の角度から分析し、これから何が起こり、私たちはどうすべきなのか、についてのヒントと指針を提供し続けています。当院へのアクセスはeharaclinic.comからどうぞ。

最近の記事

WISHING 03/22/24 麻疹流行を本気で封じ込めたいのなら、関空、羽田、成田でのワクチン無料接種をお勧めします。

米国では2023年中に58人の麻疹感染者が出たが、米国疾病予防管理センター(CDC)は、3月中旬までにすでに58人の感染者が出たと報告した。そのうち54人、つまり93%は海外渡航(オーストリア、フィリピン、ルーマニア、イギリスなど)によるものであり、予防接種を受けていない人が海外に渡航し、発症して米国に帰国した場合に感染している (1222)。 CDCは、「渡航先にかかわらず、海外へ渡航する米国居住者は全員、MMR(麻疹、おたふくかぜ、風疹)の予防接種を受けるべきである。」

    • WISHING03/14/24 日本人の貧乏根性が麻疹(はしか)の流行を無駄に拡大させる可能性

      少し前に学んだように、感染症の流行拡大は、まるで火災が広がっていくのに似ています。小さな火の粉が周囲に広がって、指数関数的に拡大していくのを、幾度となく目の当たりにしてきました。 火災の広がりを防ぐには、初期消火に利用可能な全ての資材と労力を投入すべきことは明白です。2021年にコロナ・ワクチンがせっかく利用可能になったのに、誰が言い出したのか、火の手から一番遠いところにいる高齢者から順番に小出しに接種し、火の粉を拡散させている生産年齢世代の接種を後回しにしたために、当時の

      • WISHING 03/01/24 鳥インフルエンザワクチンの準備を着々と進める国々

        鳥インフルエンザは、昨年から南米大陸各地で海鳥や海洋哺乳類の大量死を引き起こし、すでにウイルスは南極大陸にも到達した。ウイルスは、鳥から哺乳類へという種の壁を乗り越える変異を持つに至るばかりでなく、哺乳類から哺乳類への感染力をも持つように進化している可能性が懸念されている (1213)(1214)。 2024年2月23日、欧州医薬品庁(EMA)のヒト医薬品委員会は、鳥インフルエンザワクチンに関する勧告を発表した。安全性と有効性の試験に基づく今回の承認によって、明日にもパンデ

        • WISHING 02/23/24 デング熱拡大中

          地球上でデング熱拡大の報告が増えている。 デング熱は、主にネッタイシマカ、および比較的低い割合だが、ヒトスジシマカによって媒介され、4 種のウイルス血清型すべてがデング熱または重症型デング出血熱を引き起こす可能性がある。2014年に東京代々木公園で発生したアウトブレイクでは、国内の普通の蚊であるヒトスジシマカによって媒介された。 個別の血清型羅患率は地理、地域、国や季節によって異なり、また時間の経過とともに変化していく。ある血清型のウイルスに感染した場合、その血清型に対す

        WISHING 03/22/24 麻疹流行を本気で封じ込めたいのなら、関空、羽田、成田でのワクチン無料接種をお勧めします。

          WISHING 02/16/24 カンボジアで今年初のヒトインフルエンザA(H5N1)(鳥インフルエンザ)ウイルス感染

          カンボジアでは、最近4件の高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)(鳥インフルエンザ)ウイルスによるヒトへの感染が報告された。これらは2024年にカンボジアで確認された最初のH5N1ウイルスによるヒト感染である。この4人の感染者は小児3人(うち1人は死亡)と成人1人で、いずれも1月下旬から2月上旬に確認された。 すべての患者は、発病前に最近、病気の家禽(家畜として飼育される鳥)または死んだ家禽に暴露された既往歴がある。 現時点で、カンボジアで発生したこれら4例のH5N1ウイル

          WISHING 02/16/24 カンボジアで今年初のヒトインフルエンザA(H5N1)(鳥インフルエンザ)ウイルス感染

          WISHING 12/15/23 風邪にかからなかったツケが今回ってきている風邪の大流行

          今年夏から目立ち始めたインフルエンザの流行がまだ収まりません。実は、2023年1月から始まったH3型の流行が完全に途切れることなく今も続いています。さらに、夏頃からH1pdm09が加わって、A型インフルエンザの2種類の亜種が同時流行し、数は少ないものの、ビクトリア系統と呼ばれるB型も散発流行しているため、稀に見る3種類の亜系統同時流行となっています。2週間前にA型にかかった人がまたすぐにA型にかかるというケースが稀ではありません。 それらに加えて、溶連菌、アデノウイルス、ノ

          WISHING 12/15/23 風邪にかからなかったツケが今回ってきている風邪の大流行

          WISHING 11/24/23 遺伝子編集治療競争の幕開け

          CRISPRとして知られる遺伝子編集技術は、DNA配列を切断し修正するために使用できる分子ハサミのような働きをするものである。 ジェニファー・ダウドナとエマニュエル・シャルパンティエが、バクテリアの免疫システムを遺伝子編集の道具として利用する方法を発表してノーベル化学賞を受賞してから3年という極めて短期間で、その技術は科学ジャーナルの一記事から医療現場へと急速に移行した。 遺伝子編集法CRISPRによる鎌状赤血球症とその関連疾患であるベータサラセミア(※)に対する治療薬C

          WISHING 11/24/23 遺伝子編集治療競争の幕開け

          WISHING 11/17/23 もう誰にも止められない〜国産コロナワクチン購入契約

          すごいニュースが飛び込んできた。 現在の国内コロナ感染者数は8月末から9月上旬の10分の1に、入院者数も14分の1になっており、さらに減少中である(1196)。死者数は、世界中でも国内でもほぼゼロ(100万人当たり7日間平均0.0人)(1197)。WHOでさえ高齢者のリスクをmoderate(中)に引き下げた (1203)。 米国における秋以降のワクチン接種者数は、成人全体の7%、小児の2%で、重症化リスクのある人々の接種率さえも低迷している。75歳以上の5人に一人、65

          WISHING 11/17/23 もう誰にも止められない〜国産コロナワクチン購入契約

          WISHING 10/27/23 不登校の増加に思う

          田舎に帰って法事に参列した。空いた時間に人が集まるいくつかの場所を訪問する必要があったのだが、今だに例外なく全ての場所で全員がマスクをつけていた。周囲からの監視のきつい田舎でそうであることは予想の範囲内であったが、実際にその場に入っていくと自分を異邦人として確信せざるをえなかった。法事の場では、自分の家族以外のほぼ全員が25年から40年以上ご無沙汰している人達だった。近くに座っていた認知症混じりの老人がひとりだけ途中でマスクを外していたが、弔問客全員がマスクをしていた。誰が誰

          WISHING 10/27/23 不登校の増加に思う

          WISHING 09/09/23 マスクが決してなくならない理由〜超監視社会とシゾイド人間 Why Masks Will Never Go Away 〜Super-Surveillance Society and Schizoid Man (read10分)

          コロナウイルスはその生存環境から受ける選択圧に適応するように進化を繰り返してきた。一方、選択圧をかけてきた宿主側の人もコロナという選択圧に適応するように、短期間にその心の有様を一気に進化させることになった。 1️⃣人は被害妄想的になってきているのか? 診察室内における患者と医者という治療関係は、病気そのものとそれに関わる心配や不安(時には生命に関わる不安)を挟んだ、非対称性の強い対人関係であるため、強い立場と弱い立場という関係性のイメージを生み出しやすい。 そこで生じる

          WISHING 09/09/23 マスクが決してなくならない理由〜超監視社会とシゾイド人間 Why Masks Will Never Go Away 〜Super-Surveillance Society and Schizoid Man (read10分)

          WISHING 09/01/23 H5N1鳥インフルエンザ ヒト感染夜明け前

          2003年以来、700人以上のヒトが鳥インフルエンザウイルスに感染し、その半数は死亡している。 現在進行中の鳥インフルエンザの世界的流行は、すでに野鳥や家禽類(ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ハト、ガチョウなど)に壊滅的な打撃を与えているが、哺乳類にも広がり続けており、ヒトへの感染の可能性に一歩近づいている。 フィンランドはヨーロッパ有数の毛皮生産国であるが、毛皮農場で飼育されているミンク、キツネ、タヌキの間で発生した制御不能のH5N1型鳥インフルエンザ集団感染と闘って

          WISHING 09/01/23 H5N1鳥インフルエンザ ヒト感染夜明け前

          WISHING 08/25/23 中国四川省でH5N6鳥インフルエンザ患者

          香港保健当局は8月23日、中国本土における鳥インフルエンザA(H5N6)のヒト感染例を注意深く監視していると報告した。 症例は四川省大洲市在住の27歳女性。彼女は7月20日に症状を発症し、7月22日に治療のため入院した。 2014年から現在までに、中国大陸衛生当局から86例の鳥インフルエンザA(H5N6)のヒト感染例が報告されている。 鳥インフルエンザは、主にニワトリやアヒルなどの鳥類や家禽類に感染するインフルエンザウイルスによって引き起こされる。ヒトにおける鳥インフル

          WISHING 08/25/23 中国四川省でH5N6鳥インフルエンザ患者

          WISHING 08/19/23 人食いバクテリア ビブリオ・バルニフィカス

          このバクテリアによる感染症は、比較的まれだが、生存率が33%と低く、感染しやすい人にとっては致命的である。C.D.Cは、感染者の5人に1人が死亡すると推定している。感染者の多くは感染して腐った手足を切断される。 7月以降、ニューヨークとコネチカット州で、4人がこの細菌に感染し、うち3人が死亡した。感染者のうち2人は、ビーチの海水または汽水(淡水と海水が混じった状態。川が海に注ぐ河口部、深く入り込んだ湾、干潟の陸寄りの部分の水)に触れただけで、1人は生牡蠣を食べて感染した。

          WISHING 08/19/23 人食いバクテリア ビブリオ・バルニフィカス

          WISHING 07/29/23 若いマウスの血液は老齢マウスの寿命を延ばす〜不老不死の夢は永遠に

          若い血を吸って不老不死を手にいれるという吸血鬼伝説は、医学生物学研究の永遠のテーマであり続ける。 老年マウスの血管を若いマウスの血管につなぐことによって、老年マウスが6〜9%長生きすることが、最新の研究で明らかになった。 「パラバイオーシス(parabiosis)」とは2匹の生きた動物が手術的に結合され、血液、血管、心臓などの循環系を共有するようになった状態を指す。19世紀に確立された実験法である。主にアンチエイジング研究目的のために、老年マウスと若年マウスとの間でパラバ

          WISHING 07/29/23 若いマウスの血液は老齢マウスの寿命を延ばす〜不老不死の夢は永遠に

          WISHING 07/21/23 今の市中循環ウイルス状況

          Seattle Flu Study によれば、呼吸器ウイルスの直近の流行状況は、ライノウイルス33%、パラインフルエンザウイルス4%、エンテロウイルス4%、アデノウイルス25%、季節性コロナウイルス4%、SARS-CoV-2 2% となっており、新型コロナウイルスと呼ばれて2022年末には市中感染ウイルスの26%まで占めるに至ったSARS-CoV-2も、もはや市中流行ウイルスのうちわずかを占めるだけになっている (1179)。現況からすると、日本では、おそらくRSウイルスとエ

          WISHING 07/21/23 今の市中循環ウイルス状況

          WISHING 06/10/23 出す薬ありません。死んでください~医療崩壊最終段階へ

          アモキシシリンという抗生剤があります。抗生剤の一番手です。気管支炎、肺炎、溶連菌、これなしでの除菌はあり得ません。 医療機関で処方される薬の供給不足が始まって2年以上が経過し、いよいよそれは下落が加速する局面に入っているようです。 先週、一番多く処方している子供用のアモキシシリン製剤が薬局の棚から消えました。数か月前から、咳止めがなくなり、咳を止めてほしいという訴えに対して、あきらめてくださいとだけ伝えて、帰ってもらうようにもなっていました。 厚労省によれば、2021年

          WISHING 06/10/23 出す薬ありません。死んでください~医療崩壊最終段階へ