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心のnote|エッセイ・創作

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「きっと、誰にも、聞こえない。」 そんな心をふと、垣間見る。
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#気づき

温もりは永遠に続くと、そう、信じていた。

温もりは永遠に続くと、そう、信じていた。

湯船は全てを抱きしめてくれる。

頭の中を占領する確かな汚れを
排水溝の奥底へ葬り、
白い豊潤な香りに包まれて
刹那、解き放たれる。

夜風にさらされた心が
じんわりとほどけ、
束の間の休息が
音もなく訪れる。

それが、無防備な身体を
奈落の患いに突き落とす
所業と知っていながら。

「なんでかわからない」のが一番怖い。

「なんでかわからない」のが一番怖い。

「最初から勉強。じゃなくていいんです。 
話し相手になってくださったら。」

家庭教師として行ったご家庭からの言葉。
受け持つ彼は不登校。

僕はコミュニケーションが苦手だ。

翌日から、授業を始めた。

「なんでかわからないんです。」

どこかマイナスの気を帯びていた。
けれども人間不信という感じでもない。

きっと、彼はゆでガエル。

ゆっくりと、しかし、着実に
心を蝕ばまれていく。

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