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もうは、まだなり。まだは、もうなり。
相場の格言である。
是川銀蔵著「相場師一代」を読んで初めてこの格言を知った。
是川銀蔵とはどんな人物か。
「相場師一代」を読んでみた。
株で大儲けした人物。
だが、単に株で儲けただけの人ではない。
経営者としての一面もあり、才覚、貪欲さがずば抜けている。
若いころは単身満州へ出向き、商売をしていた。
また、徴兵されることは日本の国益を損なうと考えて、あらゆる手を尽くして、徴兵を逃れたりもしていた。
目的に向かって突き進む姿勢が半端じゃない。
やっていることがぶっ飛びすぎて読み物として純粋に面白い。
株の投資スタイルは値上がりするであろう株を長期投資するスタイル。
ハゲタカファンドには否定的。
投資五か条
1 銘柄は人が奨めるものではなく、自分で勉強して選ぶ。
2 二年後の経済情勢を見据えて、自分で予測。大局観を持つ。
3 値上がり株の深追いは禁物。
4 株価は最終的に業績で決まる。腕力相場は敬遠する。
5 不測の事態などリスクはつきものと心得る。
1か条目の自分で勉強してってのは、納得。
でないと、損したときに責任を誰かに押し付けてしまう。
自らの反省材料にならず、次に活かせない。
著者自身は、図書館へ通い詰めして数年間勉強をした。
裏付けとなる膨大なる知識があったからこそ成功した。と懐古している。
ただ、勉強したからこそ成功したってのは自伝を書く本人からすれば書いて当たり前のこと。
「すべて運のおかげです。成功した要因はわかりません。」
などと言ってたら本として成り立たないのだから。
この投資五か条は現代の相場でも通用するのだろうか。
現在の株価が業績と連動しているようには思えない。
勉強をして相場を読むという行動も自らの納得感を得るには良いのだろうが、資産の増加に直結するのかはなんとも言い難い。
しかしながら、読み応えのある本だと思う。
投資をするしないに関わらず、だ。
大正・昭和時代の雰囲気を感じることのできる名著である。