中学受験 時事問題に強くなるための ポイント!
私立中学校の9割近くで出題される「時事問題」とは、その時代に起こった政治・外交・社会上の出来事について、入試などで問われる際に用いられる言葉です。
時事問題と聞くと何やら難しそうな響きに聞こえ、塾で開講される時事問題対策講座に通ったり、参考書籍や問題集を購入して自宅で取り組まれているご家庭も多いでしょう。 実際に出題された入試問題をじっくり眺めてみると、社会で話題になりニュースや新聞で取り上げられた出来事ばかり。 得点アップのために、丸暗記するというより、小学校高学年の子ども達が、社会の一員として自分の身の回りで起こっている出来事に関心をもって欲しいという中学校からのメッセージかもしれません。
今回は、中学受験の時事問題に強くなるポイントについてご紹介したいと思います。
1.過去の出題形式と2021年のニュースの振り返り
時事問題は、その年の10月頃までのできごとから出題され、以下のような出題形式があります。
①語句記入問題
②記号選択問題
③国や地域の地図上の場所を答える問題
④絵やイラストを見て答える問題
⑤制度の説明やメリット・デメリット、自分の意見を記述する問題
⑥テレビ番組の舞台地にちなんだ問題
実際に中学入試で出題された問題を確認しながら、2022年度入試で出題されそうな話題について、振り返ってみましょう。
①語句記入問題
人物名や制度名の正式名称を記入させる問題です。 漢字での解答が求められることも多く、キーワードとなる語句を正確に覚えることがポイントとなります。
2021年度は『岸田文雄』氏が首相に就任しました。1885年に初代首相 伊藤博文が任命されてから岸田首相は100代目にあたります。 歴史的に大きな出来事が起きた時の首相の名前が問われることも考えられますので確認しておきましょう。
②記号選択,正誤選択問題
複数選択肢から正しいものや間違っているものを選んだり、正しいものと間違っているものの組み合わせを答える問題です。 断片的な知識であっても、消去法で解答する際のヒントになることもあります。日々の生活で目にしたり耳にする出来事や新聞・テレビのニュースに関心を持つとよいでしょう。 2021年の大河ドラマ「青天を衝け」の主人公 『渋沢栄一』が将軍徳川慶喜の弟 徳川昭武(民部公子)と一緒に行った『パリ万国博覧会』は、日本が初めて参加した万博です。
③国や地域の地図上の場所を答える問題
問題文で問われている場所を地図上の選択肢から選ぶ問題です。普段からテキストや過去問題に出てくる地名は地図で場所を確認する習慣をつけておきましょう。 リビングの目に入りやすい場所に日本地図や世界地図を貼って、家族で確認するのもおすすめです。 2021年度、北海道と青森、岩手、秋田の3県に点在する「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録。「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は世界自然遺産となりました。 他の世界文化遺産や世界自然遺産、話題になった出来事の地図上の場所を確認しておきましょう。
④絵やイラストを見て答える問題
教科書の挿絵や日常生活のなかで目にしたことのある絵や写真、イラストについての問題です。 『SDGs(持続可能な開発目標)』。今年多くの私立中学校での文化祭のテーマとして採用され、小学校の授業でも取り上げられている社会的課題の一つ。 上記はSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」についての問題ですが、解答は『持続可能』の4文字。出題の切り口が変わっても答えられるように様々な類題にチャレンジしましょう。 東京オリンピックで使われたメダルは、使用済みの携帯電話などから集めた金属を原料に作られました。このプロジェクトがどのSDGsの目標に関する活動であったかを問う入試問題も過去にありました。
⑤制度の説明やメリット・デメリット、自分の意見を記述する問題
自分の考えを具体例をあげて記述する問題です。
2021年度、1年延期された東京オリンピック・パラリンピックが無観客で開催されました。過去に中止になった大会やその背景について復習しておきましょう。 また、開会式では人間『ピクトグラム』のパフォーマンスが話題となりました。『ユニバーサルデザイン』としての役割、身の回りでどのように利用されているかについて確認してみましょう。 上記の麻布中学校の問題は、オリンピック開催前の2019年度に出題されましたが、今年、多くの制限があるなかで開催されたオリンピックは、スポーツが人々にもたらす役割について再認識する機会となりました。 『人と人のつながり』や『多様性と調和』というキーワードで家族で話し合ってみるのもおすすめです。
⑥テレビ番組の舞台地にちなんだ問題
テレビ番組の舞台地となった地域の地理やゆかりのある人物、産業などについて問われる問題です。 テレビ番組を見ていなくても解答することはできますが、その地域の風土や人々の暮らしぶりなどは番組を見ていると想像しやすくなるでしょう。 今年は、東日本大震災から10年という節目の年でした。地震大国日本周辺のプレート名や地震や津波が起きる仕組みを確認しましょう。 また、2021年前期のNHKの朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」の舞台地は宮城県の気仙沼市でカキの養殖業のシーンも多くありました。 今なお復興途中の被災地が向き合っている課題についても親子で話し合ってみるとよいでしょう。
2.時事問題の勉強法
①テレビ番組などで時事問題についての映像を確認
小学生が時事問題に触れていくためには、まずは実際のできごとを映像で見ることがおすすめです。 実体験が少ない小学生がテキストの文字だけで想像したりイメージするには限界がありますが、テレビやYouTubeを活用して実際の映像を確認すると記憶に残りやすく忘れにくくなります。 年末にテレビで放送される「2021年のニュース振り返り」番組を録画しておき、勉強の合間に親子で視聴してはいかがでしょうか。 毎朝、登校前にテレビのニュース番組は必ずチェックしているご家庭やNHKの朝の連続テレビ小説と大河ドラマは家族みんなで見ているというご家庭もあります。
中学受験に活用できるテレビやYouTube番組については、中学図鑑編集部ブログで特集しましたので、ぜひ読んでみてください! 『中学受験に活用できる!テレビやYouTube番組』
親子で視聴する際には、『子どもへ声かけをすること』が時事問題への関心を高めるポイントです。 楽しみながら見ているバラエティ番組やストーリーに引き込まれるドラマからも学べる社会背景はたくさんあります。親のこれまでの社会経験や知識を活かし、クイズ感覚で子どもに問いかけをしてみましょう。
②新聞を読む習慣を身に付ける
ニュースのイメージが映像で把握できたら、ニュース記事を読んで理解することに慣れましょう。 まずは小学生向けに作成された「小学生新聞」を購読し、低学年のうちから新聞を読む習慣を身に付けることをお勧めします。時事問題に強くなるだけではなく、語彙力も増え、文章力アップの効果も期待できます。
小学生向けの新聞は現在、3社が発行しておりそれぞれに特徴があります。 無料お試し読みなどを活用してご家庭の目的や子どもの好みに合わせて購読されるとよいでしょう。 どの小学生新聞でも中学受験についての記事を取り上げることも多く、小学生新聞の記事が中学入試問題に使われたこともありますのでオススメです。
③実体験や対話を大切に
中学受験の時事問題対策というと、入試直前に勉強するような傾向となっていますが、ニュースや身の回りの出来事に関心の高い子ども達は特別な対策をしなくても解答することができます。 小学生の低学年の頃は時間にゆとりがあり、旅行や工作などさまざまな実体験を子どもと一緒におこなってきたご家庭も多いことでしょう。 塾に通い始めると毎日の宿題と週末の確認テストに追われる日々となり、親も宿題に取り組めているかどうか、テストの点数が悪くないかをチェックするだけになり、親子でゆっくりと会話を楽しむ時間も少なくなります。 本来であれば、塾で習ってくる知識は社会や自然とつながっていて、塾で得た知識を基に実体験をすれば知識が確実に定着し子どもの将来に役立つに違いありません。
受験勉強の息抜きに家族で魚屋さんや八百屋さんにお買い物に行ったり、夜空の星を眺めてみたり、公園を散歩してみてはいかがでしょうか。 旬の魚や野菜、産地、天体、植物、生物など身の回りの出来事から学べる知識もたくさんあるはずです。
3.ラコモの『オンライン家庭教師図鑑』で時事問題対策をリクエスト
ラコモの『オンライン家庭教師図鑑』には、大学で宇宙物理学を専攻されている先生やフリーターから医学部合格を果たした先生など豊かな実体験をされてきた家庭教師の先生がたくさんいらっしゃいます。 実際に授業の申込をする前に先生にメールで質問や相談ができますので、時事問題対策をリクエストしてみてはいかがでしょうか。