2019年9月12日 文科省が、「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」結果を発表 そこから見えてきた教育の情報化実現に向けた課題とは?
文部科学省は2019年8月、「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」平成30年度調査結果について速報値を公表した。初等中等教育における教育の情報化は進んでいるのだろうか。
学校におけるICT環境の整備状況
学校におけるICT環境の整備状況を見ると、普通教室の無線LAN整備率(89.6%)・インターネット接続率(93.4%)は共に約9割の学校で導入が完了している。それに対し、教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数は、5.4人/台と経産省の「未来の教室」ビジョンで目標としている1人1台には程遠い現状だ。前回の調査結果と比較しても、5.6人/台から0.2ポイントと微増にとどまっている。学校種別毎に見ると、小学校が6.1人/台・中学校が5.2人/台・高等学校が4.4人/台と、特に小学校における整備の遅れが目立っている。教員の校務用コンピュータ整備率においては、120.6%と既に一定水準に達していると評価できるだろう。
出典:文部科学省ホームページ(http://www.mext.go.jp/)
教員のICT活用指導力
次に、教員のICT活用指導力の状況を見ると、教員のICT活用指導力は緩やかだが確実に上がってきていると言えるだろう。特に、教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力・情報モラルなどを指導する能力・校務にICTを活用する能力に関しては、8割を超える水準に達してきている。
それに対して、上昇傾向ではあるものの他に大きく遅れをとっているのが、児童・生徒のICT活用を指導する能力・授業中にICTを活用して指導する能力だ。
ここで、教員のICT活用指指導力には都道府県でばらつきが大きいことに注目しよう。都道府県毎の教員のICT活用指導力は、完全一致ではないものの学校におけるICT環境の整備状況と比例する傾向にある。ICT環境整備の状況が、そのまま教育現場でのICT活用に直結しているのだ。
調査結果を見ると、特に「生徒がICTを使って学習する」必要がある項目に関して低水準だと言えるだろう。
出典:文部科学省ホームページ(http://www.mext.go.jp/)
総合評価
調査結果を見ると、教室で扱えるICT機器の不足により、生徒がICT機器を満足に使用できていない・教員がICT機器を使用した指導ができていないことが容易に想像できる。とはいえ、ICT環境整備は着実に進んでいる。文科省からの新しい指針の他にも、経産省・総務省も来年度に向けて追加の予算措置をしようとしている。この段階に来れば、今後はより具体的な目標に基づいたICT環境整備が必須となるだろう。
今後の展開に期待したい。
参考:
学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果【速報値】について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/08/1420659.htm
平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/08/30/1420683_001_1_1.pdf
「未来の教室」ビジョン
https://www.meti.go.jp/press/2019/06/20190625002/20190625002_01.pdf
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