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アドラー心理学から学ぶ、子どもの主体性を育む勇気づけの子育て(1/2)
1. ご挨拶
こんにちは!子育てに関心を持ち、より良い方法を模索している皆さんへ。
「どうすれば子どもが自信を持ち、主体的に行動できるようになるのか?」
「つい叱ってしまうけれど、本当にそれでいいの?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?子どもの成長を見守る親として、正しい接し方を知りたいと思うのは当然のことです。
今回の記事では、アドラー心理学の考え方をもとに、子どもの主体性を育むための「勇気づけの子育て」について詳しく解説します。アドラー心理学は、「すべての悩みは対人関係の悩みである」とし、子どもとの関係においても非常に有効な視点を提供してくれます。
まずはアドラー心理学がどのようなものか?という基本理念に基づいた子育てについて2回に分け書いていきたいと思います。
今回はその1回目となります。
この記事を読むことで、「怒る」「褒める」以外の効果的な関わり方を学び、子どもが自分の力で未来を切り開いていけるようになるサポートができるようになります。
一緒に、子どもの主体性を育む勇気づけの子育てを学んでいきましょう!
2. アドラー心理学から学ぶ、子どもの主体性を育む勇気づけの子育て
子どもが自分の意思で考え、行動し、失敗から学びながら成長していくためには、「主体性」が欠かせません。しかし、親として子どもを育てる中で、つい指示を出しすぎたり、厳しく叱ったり、逆に過度に褒めたりしてしまうことはありませんか?
アドラー心理学では、子どもが自ら成長できるようにするために「勇気づけ」のアプローチが重要だとされています。勇気づけの子育てとは、子どもの存在そのものを認め、失敗を恐れずチャレンジできる環境を作ることを意味します。この方法を取り入れることで、子どもは自信を持ち、自己肯定感を高めながら、主体的に行動できるようになります。
この記事では、アドラー心理学の基本理念をもとに、勇気づけの子育ての具体的な方法について解説していきます。これを学ぶことで、親子関係がより良くなり、子どもが「自分で考え、自分で決める力」を育む手助けができるでしょう。
3. 概要
この記事では、次のような内容について詳しく解説していきます。
アルフレッド・アドラーについて
アドラー心理学の基本理念:なぜ「勇気づけ」が大切なのか?
勇気づけの子育ての具体的なステップ:日常生活でどのように取り入れるのか?
具体例やケーススタディ:実際の場面での活用方法
実践するためのヒントやアドバイス:今すぐできる小さな工夫
この記事を読むことで、子どもとの関わり方を見直し、より良い親子関係を築くヒントを得ることができます。実生活で実践しやすい方法を紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください!
4.アルフレッド・アドラーとは?
アルフレッド・アドラー(1870-1937)は、オーストリアの心理学者で「個人心理学(アドラー心理学)」の創始者。劣等感を成長の原動力と捉え、「勇気づけ」や「共同体感覚」を重視した。世界初の児童相談所を設立し、教育改革を提唱。子どもを尊重し、協力的な環境で育てることの重要性を説いた人物です。
昨今、日本では「嫌われる勇気 著者:岸見一郎」などで注目されるようになりました。
アドラー心理学が子育てに有益な理由は以下の通りです。
1. 子どもの心理発達に関する理論を確立
アドラーは「個人心理学(アドラー心理学)」を提唱し、子どもを「未熟な存在」ではなく、「自分の意思を持ち、成長する力がある存在」として捉えました。特に、以下のような考え方を広めました。
劣等感と補償:子どもは成長過程で劣等感を感じるが、それを克服することで成長できる。
共同体感覚:子どもが健全に育つには、他者とのつながりや貢献感が必要。
2. 親や教育者向けに子育て・教育の方法を提案
アドラーは、親や教師が子どもをどのように育てるべきかについて、多くのアドバイスをしました。例えば、
勇気づけ(Encouragement):子どもを叱るのではなく、努力や成長を認めて勇気づけることが大切。
民主的な子育て:命令や罰ではなく、子どもを尊重しながらルールを決める。
過保護・過干渉の危険性:子どもを守りすぎると、自立心が育たない。
3. 世界初の「児童相談所」を設立
アドラーはオーストリア・ウィーンで「世界初の児童相談所(児童指導クリニック)」を設立し、問題を抱える子どもや親を支援しました。この施設では、心理学者や教育者が協力し、子どもたちの行動や感情の問題を理解し、解決策を見出しました。
4. 学校教育の改革を提唱
アドラーは、学校教育が「競争」ではなく「協力」を重視するべきだと考えました。そのため、以下のような教育改革を提案しました。
成績ではなく、成長を評価する
子ども同士が協力し合う環境を作る
教師は「指導者」ではなく「支援者」となるべき
5. 子どもの行動を理解するための「目的論」
アドラーは、「子どもの行動にはすべて目的がある」と考えました。たとえば、問題行動をする子どもは「注目を引きたい」「力を示したい」などの目的があり、単に悪い子ではないとしました。これにより、親や教師は子どもを罰するのではなく、行動の背景を理解し、適切なサポートをすることが重要だと説きました。
まとめ
アドラーは、子どもを一人の主体的な存在として尊重し、親や教師が勇気づけを通じて成長を助けることを提唱しました。また、児童相談所を設立したり、教育改革を訴えたりすることで、子どもが健全に育つための環境づくりに貢献しました。
アドラー心理学の子育てへの応用は、現代の教育や子育てにも深く影響を与えています。
5. アドラー心理学に関する基本情報や背景
アドラー心理学とは?
アドラー心理学は、オーストリアの心理学者アルフレッド・アドラー(Alfred Adler)によって提唱された心理学理論です。アドラーは、フロイトやユングと並ぶ三大心理学者の一人とされ、特に「個人心理学」として知られています。彼の理論の中心には、「人間の行動はすべて目的を持っている」 という考え方があります。
アドラー心理学では、過去の経験よりも【「これからどうするか」が重要であるとされ、個人が主体的に人生を切り開く力を持っていることを強調します。この考え方は、子育てにおいても非常に有効で、「子どもを勇気づけ、自分で考え行動できるように導く」】 ことが大切だとされています。
「勇気づけ」とは何か?
アドラー心理学において、「勇気づけ(Encouragement)」は非常に重要な概念です。勇気づけとは、単なる「励まし」ではなく、相手の存在や努力を認め、困難に立ち向かう力を与える関わり方を指します。
例えば、「すごいね!」「よくできたね!」という結果に対する褒め言葉ではなく、
「頑張ったね。努力したことが伝わるよ」
「自分で考えてやってみたんだね」
といった、子どものプロセスや意思決定を尊重する声かけが勇気づけのアプローチです。
子育てにおける「勇気づけ」の重要性
子どもは親の言葉や態度を通して、自分の価値を見出します。勇気づけの子育てを実践することで、子どもは次のような力を育むことができます。
自己肯定感の向上
自分の存在や努力を認められることで、「自分は価値がある」と思えるようになる。
主体性の発達
親の指示を待つのではなく、自分で考えて行動できるようになる。
挑戦する力の育成
失敗を恐れずに、新しいことにチャレンジできるようになる。
親子の信頼関係の強化
親が子どもの気持ちを尊重することで、安心してコミュニケーションを取ることができる。
このように、勇気づけの子育ては、単に「子どもを褒める」こととは異なり、子どもが自ら成長できる環境を整えるアプローチなのです。
次のセクションでは、勇気づけの子育てがなぜ現代において特に重要なのかを詳しく説明していきます。
6. 勇気づけの子育ての重要性や関連性
なぜ「勇気づけの子育て」が重要なのか?
現代の子育てにおいて、親は「正しく育てなければ」というプレッシャーを感じることが多く、知らず知らずのうちに子どもの行動を管理しすぎたり、結果ばかりを重視したりしてしまうことがあります。しかし、これでは子どもが「自分で考え、決断する力」を育む機会が失われてしまいます。
アドラー心理学では、子どもは親の所有物ではなく、独立した一人の人間であるという考え方が基本です。親が一方的に指示を出すのではなく、子どもが自分で考え、行動し、責任を持つ経験を積める環境を整えることが大切なのです。そのために必要なのが「勇気づけの子育て」です。
勇気づけの子育てがもたらす3つのメリット
1. 子どもの自己肯定感を高める
「勇気づけ」は、子どもの努力や過程を認めることで、自分に自信を持てるようになる手助けをします。例えば、テストで良い点を取ったときに「すごいね!」と褒めるのではなく、「頑張って勉強したね」と努力のプロセスを認める声かけをすると、結果に左右されない自己肯定感を育むことができます。
2. 主体性と問題解決能力が育つ
親の指示に従うだけではなく、自分で考え、判断する力が身につきます。例えば、子どもが「今日の服はどれを着るべき?」と聞いてきたときに、「これを着なさい」と指示するのではなく、「今日は寒いけど、あなたはどうしたい?」と問いかけることで、自分で選択し、決定する力を養うことができます。
3. 親子の信頼関係が深まる
勇気づけのアプローチを取ることで、親子の関係は「上下関係」ではなく、「協力関係」へと変わります。親が子どもの意見や気持ちを尊重することで、子どもは「自分は大切にされている」と実感し、親を信頼するようになるのです。これにより、思春期以降も親子の対話がスムーズになり、子どもが困ったときに素直に相談できる関係が築かれます。
日本では思春期に親に反発することを【反抗期】という言葉で括られてきました。
ところが、反抗期は100%起こるのでしょうか?いえ、違います。
反抗期の無かった親子も多くいます。
では、その違いは何でしょうか?
それは、子育ての違いなのです。
例えば、叱られ続けた子どもの場合、自分のやりたい事を我慢し続けた幼少期の不満が、思春期に爆発した結果です。
例えば、甘やかされ続けた子どもの場合、「もう中学生なんだから、自分でやりなさい」と急に手のひら返された不満の現れだったり、そのまま甘やかした結果、「俺(私)の言うことを、なぜ聞いてくれないの」という不満の現れだったりします。
これが上下関係の結果です。
だからこそ、協力関係のアプローチが大切ということになります。
現代の子育て環境と勇気づけの関連性
近年、日本では「過保護」や「過干渉」が問題視されています。親が先回りして指示を出しすぎることで、子どもが自分で考える機会を失い、受け身になってしまうことが増えています。また、SNSの普及によって他人と比較する機会が多くなり、自己肯定感が低くなりがちな傾向もあります。
このような時代だからこそ、アドラー心理学の「勇気づけの子育て」が重要です。子どもが「他人と比べて評価される」のではなく、「自分自身の価値を感じられる」ような環境を作ることが、今の親に求められています。
第2回では、具体的に「勇気づけの子育て」を実践するためのステップやケーススタディを紹介していきますので、楽しみにお待ちください☆