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英語プレスクールへの通園を検討する2歳から5歳の子供を持つ海外駐在員ご家庭への提言

こんにちは、KENです。
今日は、米国の別の会社に勤める日本人の友人とディナーでした。
そこで、彼はローカルのプレスクールに子供を通わせているのですが、あまりに多くの子供が日本人幼稚園に転園するというので、そのことを記事にしたいと思います。


1.せっかくの海外駐在なんだから、当然子供はローカル幼稚園でしょ


私の友人は、現在米国駐在3年目で2歳と5歳の子供をプレスクールに通わせているということでした。

そこは、比較的日本人が多く住む地域のプレスクールでありながら、わりと良心的な価格で、保育環境も悪くないということで、それなりの数の日本人の児童が通っているそうです。

日本から海外に駐在される家庭で、子供の教育をどうするかというのは大きな問題であると思います。

別の記事で子供の学校選びをどうするかという観点で記事を書いておりますので、よろしければご参照いただければと思いますが、多くのご家庭では、せっかく海外駐在をして、日本にはない環境なのだから、ローカルの学校に通わせたいというニーズは多いことでしょう。

かくいう我が家も、渡米する際には、長男の学校をローカルスクールにするか日本人学校にするかという問題について、あらゆる角度から検討しました。

もちろん、ご家庭の事情や教育方針によって、ひとつの絶対的な正解があるわけではありませんが、特に日本の幼稚園生くらいの年齢の場合には慎重にご検討いただきたいと思っています。

2.ネット上では、成功事例は山ほど見つかっても、失敗事例はあまり見つからない


海外駐在員にとって、ローカルスクールに通わせることは、ある意味憧れであり、一種のステータスのように感じている方が多いのでしょうか。
特に、幼児期の子供がかわいい英語を話しているのを見ると、ほっこりするのもまた事実です。

私の友人のようにそれでもそういったプレスクールを選ぶ方も多いですし、それで全く問題ない方もいます。
しかし、日本人学校へ転園するほどの問題があった家庭の事例は驚くほどネット上で語られることはないということは、押さえておくべきでしょう。

その理由は、成功事例は人に誇れて、それを公表することにいろいろなメリットがある一方で、失敗事例を公表することには何のメリットもないことが多いからだと推察されます。
事実、ブログなどで書かれている実体験は、すべてうまく子供が適応した事例ばかりです。

では、意気揚々とローカルプレスクールを選んだ家庭が、なぜ改めて日本語環境を求めて日本人幼稚園に転園してしまうのでしょうか?

3.駐在家庭の子女が2年足らずで日本人小学校に転園する理由


これも、人によってさまざまな理由があると思いますし、これだけということもないのでしょうが、今回の友人の話も含めて見聞きしている理由は以下の通りです。

理由①: 言語環境の変化に耐えられるほどの年齢に至っていない

低年齢のうちに外国語環境に置くことは、子供の外国語能力の観点から素晴らしいことであるという論調が世の中には溢れているのですが、果たしてそれは事実なのでしょうか?
英語教育で金を稼ぎたい人たちの、ある種のポジショントークである可能性も多分にありそうです。

2歳から5歳、自我が芽生えつつある年齢です。
その年齢で、それまでの日本語環境から外国語環境に突然移行する際には、子供はそれまで蓄えてきた日本語力が全く役に立たない環境に放り込まれることになります。

ようやく両親と日本語で言葉が交わせるようになったと思ったら、急にプレスクールに入って、それが日本語が通じない環境だったというのは、実はある程度自分の置かれた環境が認識できる小学生以上の年齢の子と比べて、非常にストレスフルな環境である可能性があります。
なぜなら、その子自身が自分の置かれた環境を理解できないからです。

そして、小さい子供であれは、そういう環境に適応できるかというと、必ずしもそうではない場合もあるということを認識する必要があります。

むしろ幼い子供だからこそ、何故適応しなければいけないかも理解できずに、ただただ苦しい思いをしてしまうケースがあるのだと思います。

子供の適応性は、それぞれです。
うまく適応できる子供もいれば、適応できない子供もいます。

子供の性格や適応性を見定めて、本当に言語環境の異なる学校に通わせる必要を検討するのは親の責務だと思います。

理由②: 日本語環境が快適であることをプレスクールの外で知ってしまう

子供は非常に敏感な生き物です。
英語環境と日本語環境の違いを敏感に感じ取ります。

私の友人が事例として言っていた中で最も印象的だったのは、子供自身が英語環境を拒否することがある、ということです。

たとえば、駐在期間中の長期休みなどの際に、例えば日本語も大事だからと言って日本語のサマースクールに入れてみたり、実家のある日本に一時帰国したりすることがあると思います。

そうすると、子供ながらに、日本語の環境の快適性と安心感を感じてしまうものなのだそうです。

その結果何が起こるかというと、新学期になっていざ元々通っていたプレスクールに通わせようとすると、信じられないほどの拒否反応を示す、ということがあるようです。

そして人が変わったかのように、通園を拒否し、通園してからも泣くようになってしまうことがあるということでした。

しばらくすれば落ち着くだろうと思っていた両親も、それが一向に収まらないことを悟ると、英語プレスクール一択の考えを改め始めることになるのです。

理由③: 仲良しの日本人のお友達が退園する

これは、プレスクールに限らず、日本人学校でも、ローカルスクールでも同様なのですが、日本人の駐在員の回転率はものすごいのです。
私も最短3か月で突如帰国してしまった方が知り合いにいるのですが、会社の事情、家庭の事情、その他様々な理由で駐在員は突然の帰国を余儀なくされます。

そして、毎月のようにお別れ会が開催され、空いた枠に新しい日本人の子供が入ってくるというのを永遠と繰り返すのが、海外駐在あるあるなのです。

問題は、2-5歳ほどの子供であっても、やはり言葉が通じる日本人の友達と自然と仲良くなりますし、ともすると日本人の親同士が同じアパートや今度に住んでいて仲良しだったりして、学校の外で日本語で交流があったりします。

そういった友達が帰国で退園すると、突然プレスクールでその子は友達がいない状況になってしまい、②と同様に心地よい空間だったプレスクールが、急転直下、快適でない空間に変容してしまうことになります。

その結果、お友達の帰国をきっかけに、やはり通園を拒否するということにつながることがあるのです。

そして厄介なのは、お友達が帰国ではなく日本人幼稚園に転園することになる場合、右向け右の日本人は、「子供もプレスクールを嫌がっているし、日本人幼稚園にうちも転園するか。仲良しの子もそちらにいるし。」
となるわけですね。

こういった判断になる場合、子供をプレスクールに入れるということに対しての親の判断が、そもそも軽率であったと言わざるを得ません。
もっと言えば、子供の教育方針に関して判断の軸や根拠がないからブレブレになるのです。

そして、その被害を被るのは、その意思決定をした親ではなく、その子供であるという事実を我々は重く受け止めなければなりません。

4.駐在という特殊なステータスであることを考慮する必要がある


子供だからと言って英語環境に放り込んだだけで英語が話せるようにはなりません。

ネット上を見ていると、子供をプレスクールに通わせている駐在員の子供が英語を身に着けたり、非常に発音が綺麗だったりして、我が子にも是非そういった環境を与えたいという気持ちは、私も2児の父親としてよく理解できるところです。

しかしながら、私は日本企業の海外駐在員が子供の学校を選択するうえでは、以下の2点を考慮する必要があると強く感じています。

それは、

①子供の年齢
②駐在を終えて日本に帰国するまでの年数

の2点です。

私は海外在住2か国目、マレーシアに無事に移住できれば海外3か国目となりますので、それぞれの国に相応の数の友人・知人がおります。
また、私が子育て話が好きなこともあり、結構なサンプル数が揃っているのですが、是非知っていただきたいのは、私が見聞きする範囲においては、7歳を待たずに日本に本帰国した場合、基本的にはそれまでに身に着けた外国語は大人になるまで残らない、または残すことは極めて難しいという事実です。

米国生まれで6歳のタイミングで日本に帰国した帰国子女の私の同僚は、まったく英語が喋れません。
アメリカ人的なミドルネームもあるのに、アメリカ生まれであることを恥ずかしくて公言したくないということでした。
(当然の帰結として、彼は成人した際に日本国籍を選択しています。)

あなたの海外駐在の想定される年数は何年でしょうか?
5年ですか?それとも10年でしょうか?
3年程度でローカルプレスクールに入ることを選択する場合、何があってもブレない自信はありますか?

5. 最後に


私の個人的な意見ではありますが、子供が7歳になるまでに日本に帰国することが見込まれるのであれば、是非日本人学校で母語を育てるということをご検討いただきたいです。

そして、それでもなお、異なる言語のプレスクールに通わせることを親が希望する場合には、子供の適応性を見極め、7歳を十分過ぎるまで心を鬼にして英語環境にこだわってください。

子供がどちらの言語に囲まれているにしろ、親のその時のブレブレな判断で右に行ったり、左に行ったりフラフラすることが、最も子供を不幸にするということを強くご認識頂きたいのです。

もちろん、長期在住の予定で突然の帰国という事情は駐在員の駐在員の常ではありますが、そうでない場合には、頻繁に子供の言語環境を変えるということは可能な限り避けて頂きたいと強く感じています。

この記事が皆さまの参考になれば幸いです。

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