同業者が語る!!大阪のビール屋さん10軒の実力とは?!
一日で10軒のクラフトビール屋を回り、
大手ビール会社のピルスナーを飲んだTさんと、
一緒に回ったビール屋オーナーのKさん。[前項からの続き]
大阪のビール屋さん(飲食店)を
同じ日・同じ条件で回ったわけですから、
それぞれのビール屋さんの客層や土地柄、
今の勢いなどが飲食業のKさんには一瞬で見えたんじゃないか?
そう思ったので、その感想を聞きたかったのです。
過日、そのKさんの営むお店にお邪魔してまいりました。
するとカウンター席にTさんの姿が…!
ふ、二人ともおるやんか!
本来なら、TさんはTさんの視点で、
KさんはKさんの視点で別々に、
その日の感想を聞きたかったのです。
Tさんからも10軒回った日のお話はうかがったのですが、
Tさんがお帰りになってから、店主のKさんに
どのお店が気になったかをたずねてみました。
10軒は以下の通り。[敬称略・50音順]
・クラフトビア酒場 umbrella RiB(アンブレラリブ)
・APE BREWING(エイプブリューイング)
・エデン特急
・CRAFT BEER DINING & STORE eni-bru(エニブリュ)
・Craft Beer Works kamikaze(カミカゼ)
・Sunny Day Dumpling(サニーデイダンプリング)
・BAR つちのこ(バールつちのこ)
・Craft Beer Spot Hathor(ハトホル)
・クラフトビールと日本酒 僕とイヌ
・POGOHAUS(ポゴハウス)
すると回答は「エデン特急ですね」と。
Kさんは腰の低い、“持ち上げ上手”な方ですので、
それも加味してお話をうかがいます。
なぜ「エデン特急」と言ってくださったのか?
そこから自分なりに自店の長所を伸ばそうという目線で、
続きに耳を傾けました。
当日は水曜だったのですが、
エデン特急はライブハウスくらい満員の状況でした。
あんまり営業しないお店なので、
たまに開いてる時を狙ってお客様が集うので、
今年に入ってからはこんな感じの営業が続いています。
そもそも“立ち飲み”で営業しているのはエデン特急だけですので、
その客入りと営業形態で印象に残ったのかと思ったのですが、
そうではなく、見たことのある顔(お客様)が
一人しか居なかったのが気になったのだとか。
住宅街の中で、しかも道路にも面していないお店ですので、
地元のお客様が多いというのがエデン特急の特長です。
また、よその酒場に行かないお客様が多いのも特長かもしれません。
更には、いつ営業しているのかも定かではないので、
クラフトビール屋を転々とするタイプのお客様には
敬遠されているかもしれません(涙)。
次に、大手ビール会社のピルスナー、
エデン特急が10軒の中で一番値段が高かったと!
さすが飲食人。すぐに価格や容量に目がいきます。
コロナ禍でクラフトビール屋さんは
ビールの種類(タップ数)を減らす傾向にあったのですが、
おそらく全国的に見てもタップ数を増やしたのはエデン特急だけでしょう。
しかも、増設ではなく、新たに世の中にないものを、
完全オーダーメイドでン十万円かけて造ったわけですから、
ヨソと同じ価格なわけないでしょうと思っています。
もちろん、そこには経験値も含まれています。
それが店主の言い分です(汗)。
オーセンティックバーに行くと
普通のビールで700円くらいするわけですから、
自分自身の値付けとしては充分に価値があると思っております。
Kさんに他の9店舗の良かったところなどは
聞けなかったのですが、改めて自店の特長を、
特に伸ばすべき長所と他者が捉えたところを知れる機会となりました。
さて、ここからオチに向かいます。
大手ビール会社のピルスナー、
そんなオーダーメイドの“シン・ビールサーバー”で注いだんなら、
評価は1位になったんじゃないのか??
答えは、いいえ。
やってしまいましたねー。
* * * * * * * * * *
ここからは蛇足で、
シン・ビールサーバーというじゃじゃ馬ならしについて。
おいしいビールをご提供しているのは大前提ですが、
その日の開店直後の試飲を100点とするなら、
TさんとKさんがいらした時にご用意できたビールは60点でした。
“シン・ビールサーバー”はビール個体(樽ごとに味わいが異なる)の
持っている良い部分を最大限に引き出しますが、
その反面、悪い部分も目立たせてしまう特長があります。
まだ、その悪い部分が、営業の後半で(ビール樽の中身が減ってきた状態で)
顕著に出てくると調整が効きにくくなることがあるのです。
この日は、ライブハウスのような満席状態で、
店内は熱気に満ちており、
ビールサーバーのスワンネックが
結露しているような状況でした。
(断熱材が入れてあるので本来ならありえない状況)
開店時には開栓したてのビール樽でコンディション抜群でした。
もう、こんなん、日本イチうまいやろ、そう思うくらいに。
ところが、あまりにもビールが出過ぎたことと
店内の蒸し暑い熱気で、急に泡の多い状況が注ぐビールに生まれてきます。
そして、素直に注ぐというよりも、後半はテクニックを使って
注いでいく(膨らむビールを抑える)ような状況が生まれてくるのでした。
TさんとKさんは「素直なビールを出しているお店が高評価で、
エデン特急や○○はテクニックを使いすぎていた」
と当日の採点を振り返っていらっしゃいました。
まだまだ奥が深い、それが「ビールを注ぐ」という行為です。
その上で、長所も短所も伸ばす、狂ったサーバーを造って
それですこぶる美味しいビールを注ごうというのは
誰よりきっとチャレンジングなんですよ!
でも、それが楽しいんです、もっと頑張ります。
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