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森さん、お久し振りです、シノハラです

「森さん、お久し振りです、シノハラです」

長い休業が明けて二日目、
台風一過の秋晴れでの営業は
扉全開が気持ちいいなんて思っていると、
男性のお客様が。

マスク姿の彼、目の部分だけ見ても
絶対に知っている誰かなのです。

しかしながら記憶のその誰かにしては
ずいぶん老けた印象で、頭のなかでは
辻褄のあわないバグが起こります。

冒頭のように名乗る彼、
カラオケ屋でバイトしてた頃のスタッフ、
シノハラくんだったのです。

今年で42歳という彼が、
まだ21歳の大学生だった頃なので、
20年ぶりの再会。
 
カウンターに並ぶいつもの面々に
いやぁ、彼はね、
バイト先の一番かわいい女の子と
付き合っていてね、またその女の子が
ものすごい中身もいい子で、
でも絶対にイケメンとしか付き合わないんです。
だからシノハラくんが許せないんです。
と不必要な説明を加えます。

大学でサッカーをやっていた
イケメンのシノハラくんは
今でもこども達のサッカー指導者をしており、
精悍な印象はかわらぬまま。

「森さんも全然かわらないですね」

カウンターに並ぶいつもの面々は
いやいや、めちゃくちゃ増量してるやん、と。

そして、昔の森さんはどんな人だったんですか
と質問するとシノハラくんは
「ボクの周りにはまったく居ないタイプの人でした。
なんか物語を書いて、ボクはそれを読んでましたもん。」

もう、急に恥ずかしい過去が
でてきたもんだから取り乱す森さん。
確かにバイトのスタッフのメールに
サザエさんの登場人物で
まったく違うストーリーを書いて
送りつけるなんてことをしていたんです…
 
20年以上経って会いに来ようと
思ってくれるなんて、
ホントに嬉しいことです。
当時21歳の彼には、
スーツ姿の25歳のお兄さんは
とてもオトナに写っていたのに、
実際はそんなに年齢が変わらなかったんです。

けれど、当時の彼にとっての
また会いたいオトナ像であれたなら、
こんなに嬉しいことはありません。
 
写真、一緒に撮り忘れちゃった…
(シノハラくん写ってない、当時の写真)

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