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「自己肯定」の対義語は「自己否定」ではない!?~イチローの言葉から学ぶ

イチローの言葉


先日、ネットニュースを読んでいたら、
気になる見出しがありました。

イチロー
自己肯定感は僕にとって気持ち悪い言葉

ほうほう、これはどういうことだろう?
読んでみました。


発言の出どころは、
インスタライブで
イチローが、悩める大人の相談に
一問一答で答えるという企画。

質問者は女優でモデルの堀田茜さん。
以下の質問をイチローにぶつけます。

自己肯定感という言葉を
目にすることが多いと思うのですが、
私も仕事がうまくいかなかったときに、
自分を否定してしまう瞬間がある。
自分を否定せず、
前向きに生きるにはどうしたらいいでしょうか?

生徒と接していても、
また日本人全般の特徴としても、
自己肯定感が低い、ということは
常日頃感じていたので、
堀田さんの質問に
イチローがどんな回答をするのか、
興味がわきました。

詳しくはネット記事をお読みいただきたいのですが、
イチローの回答を要約して箇条書きすると

・まず仕事なんか、うまくいかないもの
・自己肯定感は僕にとって気持ち悪い言葉
・自分を肯定することにものすごく抵抗がある
・自己肯定感が強い人ってストレスフリーで楽しそうに仕事しているって感じですか?それって、人としての厚みが生まれるんだろうか?
・僕の場合は、自分のやったこと、やろうとすることに常に疑問符をつけてます。

そんな内容を話していました。
詳しくはyoutubeにもupされていたので、そちらをご覧ください。

ニュースやyoutubeを見て、
僕なりの解釈で、わかったことは、

そうか、
イチローには、そもそも
「自己肯定」や「自己否定」という概念がないんだ、
ということです。

彼の中で

自己肯定の対義語は

自己否定

じゃなくて、

自分に対する疑問

なんですね。

否定じゃないんです。
だって、
今、ここに、この瞬間
「いる」んですから。
わたしは「存在している」のだから。

それって「肯定」そのもので、

わたしは、いるよね、存在しているね、
という意味での「肯定」はあるのかもしれませんが、
それが「いい」とか「悪い」というニュアンスで
イチローは捉えていません。

もちろん、
その日の調子で、
80点のときも、
40点のときもあるのでしょう。

でも、イチローの中では
100点はないんです。

その代わり0点もない。

完璧な肯定もない代わりに、
完璧な否定もなくて、
だから絶えず自分に対する
疑念・葛藤と闘いながら、
「自分がやりたいこと」の達成に
意識を集中させているのでしょう。

人が病むときとは?


僕はかつて強い劣等感に悩まされ、
うつ病寸前の症状に陥ったことがあります。
心療内科で1年間のカウンセリングもうけました。
その経験を通して学んだ最大の成果は、

自分に向き合いすぎると病む

ということで、
自分を見つめすぎると、
自己循環しだして
ぐるぐるぐるぐる際限なく
悩みが昇華されなくなっちゃうのです。
ネガティブが澱(おり)みたいにたまっちゃう、
といいますか・・。

イチローって
自分と向き合う印象が強いんですけど、
多分考えていることは、
どうすれば

「自分がやりたいこと」を達成できるのか?

という点についてであって、

自分がやりたいことを実現するために、
自分は何をすべきか?
何が足りないのか?

を考えているんですよね。

やりたいことは、
当然現時点では達成できていないわけだから、
どうすればいいのか?
たえず疑問を自分にぶつけつづける。
そこに
「自分がいい」とか
「自分はダメだ」という概念が
そもそもない。

自己肯定感の低さに悩む人も
当然、やりたいこと・目標設定をしているのでしょうが、
それがいつの間にか

自分はスゴイのか?
自分はダメなのか?

ばっかり考えだして
意識の方向がズレていっちゃうんです。

ズレる最も大きな要因は「他人との比較」。

つまり、
あの人はできているのに、
自分はできていない、

ゆえに自分はダメだ

という思考回路。

この思考回路が積もり積もると
人は病むんじゃないかと思うのです。


あの人はできているのに、
自分はできていない

まあ、人間が違うから当たり前だよね。

じゃあ、自分ができるためには?
あるいは、
自分が(ほかの人にできなくて)できることは何か?

この発想の転換ができると、
人は相当生きやすくなる気がしています。

進学校の教師をしていると、
いまだに偏差値教育の呪縛が根強いです。
他者との比較の上で、
自分を評価しようとする風潮がなくなりません。

たとえば受験勉強というジャンルで
戦って勝てないのなら、
思いっきり逃げて逃げて、
受験勉強以外の
勝てるフィールドを自分で作っちゃえばいいのです。
そういう知恵の回し方をこそ、
僕は子どもたちに伝えていきたいなあ、と思ってます。

その一つのきっかけをイチローからいただいた気がしました。

最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事を読んでくださったあなたの少しでもお役に立てればうれしいです。

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