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サーキュラーエコノミーとは?循環型経済の基礎知識と国内外の企業事例
地球温暖化や資源枯渇といった環境問題が深刻化する中、持続可能な社会の実現に向けた新たな経済モデル「サーキュラーエコノミー」(循環型経済)に注目が集まっています。
この記事では、個人投資家の皆さまに向けて、
サーキュラーエコノミーとは何か?
なぜ今、注目されているのか?
ESG投資・インパクト投資との関係は?
個人投資家はどのように関われるのか?
サーキュラーエコノミーの課題は何か?
といった疑問に焦点を当てて解説します。
サーキュラーエコノミーとは? – 「作って、使って、捨てる」からの脱却
従来の経済活動は、「作って、使って、捨てる」という一方通行のリニアエコノミー(直線型経済︰「リニア」(linear)は「直線的な」という意味)が主流でした。しかし、このモデルは資源の大量消費、廃棄物の増加、環境汚染を引き起こし、地球環境に大きな負荷をかけてきました。
一方、サーキュラーエコノミーは、資源を可能な限り循環させ、廃棄物を最小限に抑える経済モデルです。製品や材料を長く使い、再利用・再生することで、資源の有効活用と環境負荷の低減を両立させます。
経済産業省や環境省もサーキュラーエコノミーを推進しており、さまざまな政策や支援策を打ち出しています。例えば経済産業省は「サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ」を立ち上げ、企業、自治体、研究機関などが連携してサーキュラーエコノミーを推進する取り組みを支援しています。
サーキュラーエコノミーとシェアリングエコノミーの違い
シェアリングエコノミーは、個人や企業が所有する資産(製品、サービス、場所など)をインターネットなどを通じて共有・交換することで、利用効率を高める経済モデルです。カーシェアリングや民泊などが代表例です。
一方、サーキュラーエコノミーはシェアリングエコノミーを含む、より広範な概念です。シェアリングエコノミーは、製品の利用効率を高め、資源の消費量を削減する点でサーキュラーエコノミーに貢献しますが、サーキュラーエコノミーは製品の設計、製造、使用、廃棄、再利用といったライフサイクル全体での資源循環を最適化することを目指します。
つまり、シェアリングエコノミーはサーキュラーエコノミーを実現するための一つの手段といえます。
なぜ今、サーキュラーエコノミーが重要なのか?
サーキュラーエコノミーへの移行は、地球全体の持続可能性を確保するために重要と考えられています。人口増加と経済成長により、資源の需要は増え続けています。限りある天然資源を効率的に利用し、廃棄物を削減することは、将来世代に豊かな環境を残すために重要です。
さらに、サーキュラーエコノミーは経済的な側面からも注目されています。サーキュラーエコノミーの市場規模は2030年までに世界で4.5兆ドル、国内でも80兆円、2050年には世界で25兆ドル、国内でも120兆円に拡大していくと試算されています(経済産業省「資源循環経済政策の現状と課題について」)。
気候変動や海洋プラスチック問題、生物多様性の損失など、地球規模の課題の解決にはサーキュラーエコノミーへの転換が重要な役割を果たすと考えられています。
サーキュラーエコノミーは「3R」「5R」の先へ
サーキュラーエコノミーは、
リデュース(Reduce:ゴミを減らす)
リユース(Reuse:繰り返し使う)
リサイクル(Recycle:再資源化する)
を意味する「3R」に、
リフューズ(Refuse:不要なものを断る)
リペア(Repair:修理して使う)
を加えた「5R」の概念を拡張し、製品の設計段階から廃棄物の発生を抑制し、資源を循環させることを目指します。
その基本原則として、まず、製品設計、製造プロセス、消費行動の改善を通じて、廃棄物を最小限に抑える「廃棄物の発生抑制」が挙げられます。これは、長く使うことを前提とした製品設計などによって実現されます。
次に、高品質で耐久性のある製品を設計し、修理・メンテナンス・アップグレードを容易にすることで製品の寿命を延ばす「製品・材料の長寿命化」も重要です。
さらに、使用済みの製品や材料を回収し、再利用、再生、アップサイクルする「再利用・再生の促進」も不可欠です(リサイクルとの違いは、リユースやリデュースなど、より幅広い取り組みを含む点にあります)。
加えて製品を共同利用することで、資源の消費量を削減する「シェアリングエコノミー」の考え方も取り入れられています。将来的にはIoT、AI、ブロックチェーンなどの「デジタル技術の活用」によって資源の追跡・管理・最適化を行い、製品のライフサイクル全体での環境負荷を低減し、付加価値を高めることなどを目指します。
サーキュラーエコノミーに取り組む企業事例、新たなビジネスモデル
サーキュラーエコノミーは、従来のビジネスモデルにも変革をもたらし、世界中の企業の経営戦略の一つとして注目されています。
サーキュラーエコノミービジネスの例として「製品を販売する」のではなく、「サービスを提供する」(プロダクト・アズ・ア・サービス)、「製品の所有権を企業が保持し、利用者に貸し出す」(リース・レンタル)といったモデルも普及しつつあります。
海外スタートアップの事例
Lendosphere(フランス)
![](https://assets.st-note.com/img/1739512056-4tf0Dim2yZUwCIYsQuPjBeH6.png?width=1200)
環境問題に配慮するグリーン投資に特化した融資型クラウドファンディングプラットフォームを運営。再生可能エネルギーなど、サーキュラーエコノミー関連プロジェクトを厳選し、個人投資家は少額から融資を通じて持続可能な社会づくりに貢献している。
THE UPCYCL(デンマーク)
![](https://assets.st-note.com/img/1739512163-ytnCxFXrhmIGpZWaj1sHDO9U.png?width=1200)
産業廃棄物を資源として企業間で流通させるB2Bプラットフォームを提供するスタートアップ。廃棄物のリサイクル・アップサイクルを促進し、企業は廃棄コスト削減、資源調達、環境負荷低減が可能。独自の品質基準で循環型サプライチェーン構築を支援している。
Coffee Resurrect(エチオピア)
![](https://assets.st-note.com/img/1739512322-ITajs5ir1GwZSuzeOVmxY4cL.png?width=1200)
廃棄物だったコーヒー粕を独自のバイオテクノロジーでアップサイクル。パーソナルケア製品や栄養補助食品、機能性食品を製造・販売。持続可能な循環型経済の実現に貢献している。
国内スタートアップの事例
株式会社アリススタイル
![](https://assets.st-note.com/img/1739512386-uvrw0iy3dRpLDNTceOHoMQX4.png?width=1200)
「所有から体験へ」を掲げ、会員数200万人超のモノのシェアリングプラットフォームを展開。個人間レンタルに加え、企業向けOEM提供や大手との提携で成長。国内外で「シェアリング」をインフラ化する挑戦をしている。
fabula株式会社
![](https://assets.st-note.com/img/1739512437-WJAOmkQh4MDVB397HZNtr8LX.png?width=1200)
「ゴミから感動をつくる」を掲げ、規格外野菜や端材からコンクリートの約4倍の強度を持つ新素材を開発。廃棄食材由来で環境負荷が低く、建材などへの応用が期待される。素材のバイオ化に貢献する技術。
株式会社ガルデリア
![](https://assets.st-note.com/img/1739512494-wbUTJlNavSKH57OdFXEigCDy.png?width=1200)
「地球と全生物に最適なエコシステムを確立する」を掲げ、金属吸着性を持つ藻類「ガルディエリア」を活用し、使用済家電から貴金属を回収する。国内リサイクル率が低い現状の中、リサイクル・廃液処理業者との連携で、資源・経済循環の実現を目指す。
サーキュラーエコノミーの課題
サーキュラーエコノミーの実現にはいくつかの課題も存在します。まず、廃棄物の収集、分別、リサイクルのためのインフラ整備が不可欠です。現在のインフラはリニアエコノミーを前提に設計されている場合が多く、サーキュラーエコノミーに対応するためには設備投資やシステムの変更が必要となります。
また、消費者一人ひとりの意識改革と行動変容も重要な課題です。サーキュラーエコノミーの重要性を理解し、製品の修理、再利用、リサイクルに積極的に取り組む消費者を増やす必要があります。さらに、リサイクル技術の向上や新たな循環型材料の開発など、技術革新も継続的に求められます。
加えて、サーキュラーエコノミーへの移行には初期投資や運用コストがかかる場合があり、企業や自治体にとっての経済的な負担も考慮しなければなりません。そしてサーキュラーエコノミーを促進するための政策や法制度の整備も不可欠です。EUなどでは、サーキュラーエコノミーに関する法整備が進んでいますが、日本においてもより実効性のある法制度の構築が求められます。
サーキュラーエコノミーとESG投資・インパクト投資
サーキュラーエコノミーは、ESG投資やインパクト投資とも深く関わっています。
ESG投資:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を考慮した投資。サーキュラーエコノミーは、特に環境要素と強い関連があります。
インパクト投資:社会的・環境的な課題解決に貢献することを目的とした投資。サーキュラーエコノミーへの投資は、資源循環や廃棄物削減といった課題解決に直結します。
つまり、サーキュラーエコノミー関連の企業やプロジェクトへの投資は、ESG投資やインパクト投資の観点からも注目されています。
ただし、サーキュラーエコノミー関連の投資には市場リスク、企業リスク、情報開示の不足(非上場企業の場合)、流動性リスクなど、一般的な投資リスクが存在することを認識しておく必要があります。
まとめ
サーキュラーエコノミーは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一つであり、経済的な側面からも注目されています。サーキュラーエコノミーの構築に向けて活動している日本のスタートアップもあります。サーキュラーエコノミーは経済、社会、環境の3つの側面で価値を創出し、持続可能な発展に貢献することが期待されるシステムです。
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