FC東京を何と呼ぶか?サポーターキャリアやFC東京サポーターかそれ以外のサポーターで顕著な違い。
FC東京はJリーグクラブでは数少ない「愛称」を命名していないクラブだ。それゆえに、様々な呼ばれ方をしている。FC東京の前身は東京ガスサッカー部。プロ化したときにFC東京と命名したが、その理由は「都民のためのJクラブ」。まだ東京にプロクラブが存在しておらず、東京というシンプルな命名となった。
FCバルセロナを意識していたとも思われる発言が、当時、多く発信された。
ご存知の通り、FCバルセロナを「FCバルセロナ」と呼ぶ人は少ない。「バルセロナ」か「バルサ」と呼ぶ人が多いだろう。同様にACミランを「ミラン」と呼ぶ人が多い。京都サンガF.C.を「サンガF.C.」と呼ぶ人がほとんどいないのと同じだ。
プロ化から21年目の2019年に優勝争いを演じたFC東京は、どのように呼ばれているのだろう。アンケート調査で解明する。
アンケート調査は2019年12月17日〜21日にインターネット調査で実施。
FC東京以外のサポーター580名、FC東京サポーター50名の合計630名が回答。
tasukeLサポーター 研究所
まず、FC東京以外のサポーターに絞って集計結果を見てみよう。
FC東京以外のサポーターは「ガス」または「F東」と呼ぶ人が多い。
「東京」と呼ぶ人は約12%でしかない。「FC東京」と呼ぶ人も約10%しかいない。
では、次にFC東京サポーターに絞って集計結果を見てみよう。結果は一変する。
FC東京サポーターの約70%が「東京」と呼んでいる。
「ガス」「F東」と呼ぶFC東京サポーターは、ほとんど存在しないことがわかる。
FC東京サポーターにとってFC東京は「俺の東京」なのだ。
プロ化当初「FC東京の愛称は『エフシー』ではありません。『東京』です。」という呼びかけが、FC東京サポーターから盛んに行われていたことを覚えているサポーターは、もう少数派だろう。しかし、FC東京サポーターの中には、その想いは確実に受け継がれていることがわかる。
実は年代によって大きく異なるFC東京以外のサポーターによるFC東京の呼び方
ところが、FC東京サポーター以外のサポーターにとってFC東京の存在に強い思い入れがあるわけではない。それゆえに、FC東京の呼び方は変化しているのだ。
サポーター歴10年未満のFC東京以外のサポーターは約50%が「F東」と呼ぶ。
サポーター歴10年以上のFC東京以外のサポーターは約40%が「ガス」と呼ぶ。
東京ガスサッカー部時代や東京ガスサッカー部からプロ化した経緯を記憶しているFC東京以外のサポーターの多くが、今もなお、親しみを込めて「ガス」と呼んでいるのだ。ここまで読んでいただいて解るように、クラブの呼び方は、必ずしもクラブの正式名称が由来だとは限らない。例えば、ACミランが「ロッソネロ」と呼ばれているのはチームカラーの赤と黒から。ウエストハムが「ハマーズ」と呼ばれているのは元々が鉄鋼・造船所の労働者を中心に結成されたチームがルーツで、労働者を象徴する「ハンマー」からだ。ただ、FC東京の呼び方が面白いのは、FC東京以外のサポーターによるFC東京の呼び方にFC東京のルーツが現れているという点だ。
東京ガスサッカー部からFC東京へ成長する過程で、FC東京が驚くべきインパクトをサッカー界に与えていたことを強く記憶している人が多い。巨大資本のJリーグ参加、首都初のプロサッカークラブ、アマチュアクラブ時代からJリーグクラブを多数撃破、個性的なサポーター軍団・・・。
「ガス」という呼び方にFC東京の歴史が現れ、Fをつけない「東京」という呼び方に、FC東京サポーターが守ってきたFC東京のブランド哲学が現れている。
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