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読書感想:地下鉄で美少女を守った俺、名乗らず去ったら全国で英雄扱いされました。 (角川スニーカー文庫) 著 水戸前カルヤ
【何があろうと君を絶対に守れる、影ながらのヒーローになるよ】
【あらすじ】
でもそのヒーローって、俺のことなんだが!?
平穏さを優先した俺は、正体を隠し通すと決めました。
地下鉄で通り魔に襲われかけた後のインタビュー姿が可愛いとある女の子が『千年に一人の美少女』として一躍話題になった。
「彼のおかげで助かった」と彼女が探すヒーローって……俺のことじゃないか!?
その時俺は決めた。平穏な学校生活を送るため絶対に名乗り出ないと。
しかし入学先の高校で例の美少女・ひなみと再会することに!?
しかも俺の顔を覚えていないはずなのに「あなたの背中をどこかで見た気がする」と妙に懐いてきて……
「命の恩人にお礼できてないのに恋をしても良いのかな?」
熱っぽい目で見つめてくる俺がその恩人だとはまだ言えない。
だけど、俺はお前を絶対守るよ。影のヒーローとして。
通り魔に襲われた少女を救う事で始まる物語。
想定外の出来事にどう立ち回るかで、その人の器量が試される。
現実でも、所謂「無敵の人」が起こす、周りを顧みない残虐非道な事件の数々。
地下鉄で通り魔に襲われたひなみを、偶然に救う事が出来た涼。
それを恩に着せる訳でも無く、颯爽と立ち去った後。
インタビューで涼を探す彼女の存在に気付き、影ながらの英雄になると決意した涼。
しかし、何の因果か再び高校で運命的な再会を果たす彼らは暗い過去を乗り越えるべく。
互いの気持ちを確かめ合って、辛い過去を分かち合って。
難しい言葉や理由は要らない。
今まで苦労して生きてきた者が背負う影がある事が、共鳴出来る証となる。
平穏な学校生活を営む上で、余計なしがらみは必要ない。
ただ、自分の歩いてきた道程を知ってくれている人が、この世界で一人でも居てくれる事が何よりも心強い。
恩に着せる事はしない。
ひなみを咄嗟に助けたのも、利害の発生しない純木な想いから来る物だったから。
自分から名乗り出る事は絶対にない。
しかし、困っているひなみを見過ごす事も出来ない。
哀しい顔は見たくない。
それ故に助けてしまう涼の優しい性格と。
勘の鋭いひなみの友人、小春によって、二人の運命の糸は絡みだす。
しかも、気の合う女友達の友里とも運命的な繋がりがある事が判明する。
ひなみを通り魔から救う事が出来た涼。
何故、彼は武術を心得ていたのか?
その秘密が明かされた時、彼の深い葛藤が理解出来る。
そして、名も知らぬ英雄の恋煩いに揺れるひなみ。
とある後悔から自分の正体を隠しておきたい涼。
二人の思いが交差する中、学校行事である林間学校で、実は涼の過去に関係のある相手がすぐ側に居たという事実が判明して。
その相手との接近に、更にひなみの心は揺れ動く事となる。
助けてくれた相手に、お礼もまだ言えていないのに。
その気持ちを忘れてしまうかもしれないから、幸せになる事を怖がる。
ある意味、感受性の強さから来る問題を真摯に見つめ、だが言い出す事は選ばず。
それでも彼女を肯定し、その幸せを願う言葉を投げる涼。
今まで涙を流して苦労して来た分、誰よりも幸せになる権利があるのだと。
言わぬが花だからこそ、沈黙の元で、守り抜く。
ひなみの光の裏側にある彼女を守る影として。
その静かなる決意は、どのような波及を齎すのか?
全国区に知れ渡ってしまったひなみを、あらゆる魔の手から守り抜けるのか?