読書記録:あした、裸足でこい。2 (電撃文庫) 著 岬 鷺宮
【目標や夢を探して、君から離れられる理由を見つけよう】
親友同士の関係に迫る物語。
他者に依存してしまうのは、ひとえに自分自身に自信が無いから。
独りになって心の奥底を見つめ直せば、本当は何かに熱くなりたい自分が居る。
二斗の失踪の原因の一端を担う親友の萌寧の依存。そこから脱する為に、新たな趣味を探す為に協力する巡。
今度こそ、間違えない。
関係を壊さないように不器用ながらも全力で過ごす日々で。
図らずも、新曲がヒットして二斗の関係性にも変化が生まれる。
今回は、巡と二斗が秘密を共有し関係を再構築する所からスタート。
二斗の失踪を止める為に、やり直している筈が、その二斗もまたやり直している事が分かってしまう。
二斗の親友である萌寧が彼女への依存をやめようと藻掻く姿が描かれる中。
その過程を通じて本当に自分にとっての大切な物に気づいていく。
昔はずっと一緒だって言い合えた筈だったのに、心の距離が少しづつ離れていく親友同士の2人。
時間の流れに身を任せただけで抗わない事を選んだ行末、誰も報われない未来が待ち受けていた。
何度もループ繰り返している筈の二斗が萌寧に対して配慮ができず、自分の身の回りに囚われてしまっている点、彼女のアンバランスさが良く現れている。
一度しか戻れないが、進捗を未来へ戻って確認できる巡に対し、何回でもできる二斗というタイプの違うタイムリープというのが、同じ様に時間を行き来しているのに、恋人として協力しあわない独特の作風となっている。
なりたい者や目指したい姿が明確に見えている人はいつだって眩しくて仕方ない。
そうやって、夢を夢中で追いかける人達に囲まれる
萌寧が、自分にとってのやりたい事を模索していく。
誰しもが大仰な物に手を伸ばさなくとも、その人の生き様が美しければ、それは一つ青春として正解であり。
熱くて美しいだけが青春なのか?
特別な事や夢を追うだけが青春なのか?
人それぞれの青春の在り方という物を身につまされた。
そして、変化の速度も皆それぞれが違うという事。
それぞれのやり方で未来を変えると決意したなら、
それは確実に前へと進めている証。
夢中になれる物を積み重ねていく事。
失敗を経て、自分の向き不向きを知っていく事。
それが、他者に依存しない自分だけの未来を創っていく事に繋がる。
ようやく見つけられた自分だけの世界。
他人を理由にしない自分だけの青春。
その一瞬、一瞬をどうでも良いで終わらせずに、一生懸命に足掻いて邁進する事。
そこに青春の等身大の尊さが詰まっていた。
その中で、一人で二斗の未来を変える事に限界があると悟った巡は、キーパーソンである過去の時代の真琴に声を掛ける。
関係性を紡ぎ直して、やり直す世界は巡の思い描くように変わるのか?
そして、何度やり直しても傷付けてしまう最悪な未来を変えられるのか?
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