読書感想:男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!) Flag 1. じゃあ、30になっても独身だったらアタシにしときなよ? (電撃文庫) 著 七菜 なな
【この想いが枯れ果てる前に、友情を愛情に変えてしまおう】
男女の友情が恋愛へ発展する物語。
花言葉は、本当に様々あり、時にその人の心情を雄弁に語ってくれる。
花を愛する悠宇とアクセサリーが好きな日葵。
お互いが違う物が好きでありつつも、ちゃんと互いをリスペクトして。
居心地の良さを覚える一方で、ずっとこのまま友達の様な関係で良いのかと疑問を持つ。
そんな二人の元へと現れた悠宇の過去の恋人。
一つの夢を叶える為に運命共同体として、歩んできた。
二人を繋げてくれた想いが枯れ果てる前に。
これまで恋愛感情はなくあくまで親友の関係性だったのに、相手に恋しているのを自覚して変に意識してしまう。
おしどり夫婦のような仲だが永遠の友情を誓った親友同士。
そんな彼らの前に悠宇の初恋の少女が現れた事を切っ掛けに、二人の心地良かった関係の歯車は少しずつずれ始めて行く。
どうにかしようとすればするほどドツボのジレンマにハマっていく日葵がいて、物の見事にすれ違いをして、ドタバタ足掻いた挙げ句に想いを自覚した、不器用で両片想いな二人の未来の行く末は前途多難だ。
言葉とは、簡単なようで、物事をややこしくしてじって難しい。
その時は最良であろうが、将来的には時に、互いを縛る鎖になってしまう。
それでも、お互い自分の気持ちを自覚したのでやっとスタートラインに立てた。
友情と恋、花言葉に隠れた本当の想いと向き合い、自分にとっての光を探して行く。
悠宇は、中学校の文化祭で自作のアクセサリーを売り切れさせるという条件を叶いがない壁にぶち当たっていた。
それでも、日葵の協力もあり、無事にアクセサリーを完売させた後、打ち上げの場。
二人で夢を語り合い、二人だけ友情を育む。
その友情の名は運命共同体。
悠宇が作って日葵が宣伝し、二人で専門店を開業させるまでを目指す、途方もない夢。
しかし、二人の関係、主に日葵の友情の歯車を狂わす凛音が現れる事で友情に亀裂が走る。
仲良くなる悠宇と凛音に言いしれぬ不安を感じながらも。
思いとは裏腹に心は正直で。
彼女は気付いてしまったのだ。
悠宇の事が本当に好きだったという事を。
彼女が本当に求めていたのは友情ではなかったという事を。
そして再び、二人の誓いの約束が結ばれる。
今度は互いの両片想いを軸とした「友情」という名の鎖によって。
果たしてそれは幸福か、はたまた不幸か?
それでも、約束で繋がった絆は簡単には、枯れ果てはしない。