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読書感想:この教室は、武力に守られている (ファンタジア文庫) 著 阪田咲話
【戦う理由は此処にある、守る為の狼煙を上げよ】
【あらすじ】
手段を選ばず犯罪者を討伐する武装組織・ストレイシープに、2人のエースがいた。妹を救うため道を踏み外した少年・景光、スラム孤児の陽キャ美少女・ミステリオーサ。年相応の表情をしながらマフィアにすら恐れられる、彼らの新任務は…
「JKになって、みっちゃんと学校通えるの!? 激エモじゃん!」
国を揺るがす女子高生を護衛するため、日本の高校に転入!?
授業・部活・放課後デート、血が染み付く体には慣れない「普通の日常」。戸惑いながらも、楽しみ始めた学校生活に、陰謀と銃弾が襲いくる……! 手に入れたのは仮初の「教室」。
その日々を守るため、景光は命を張って銃を撃つ!
悪を裁く組織に属する少年達が学園に潜入する物語。
世界には見えない悪が蔓延っている。
それを裁くにはそれらを超える圧倒的な悪が必要である。
綺麗事の正義の秩序では叶えられない。
あらゆる手段で犯罪者を討伐する組織に属する若きホープ。
景光とミステリオーサは出自も目的も違えど、互いにバディを組み、世界を揺るがす異能を持つ御子を陰謀から守る為、学園に潜入する。
暗転する状況と刺客を片付けながらも、紡がれていく日常の中で。
仮初の平穏を守る為に。
景光が相棒であるミステリオーサへの真摯な想いを最後までブレさずに貫き通す事で秩序は維持される。
心から望むのは、闇に満ちた組織としての生き方でなく、いつか夢見た『普通』の学園生活を送る事。
悪を裁くのは法ではなく銃と刃。
犯罪を以て犯罪を制す。
マフィアを裁くマフィア「ストレイシープ」。
十五の小隊からなるその組織の中、東南アジアを担当する第四小隊の頭脳として日々任務に励む少年、景光。
「怪力」の異能を持つ相棒、ミステリオーサの能天気さと暴走に時に悩みながらの日々の中、フランスで難しい任務に励む第七小隊の代わりに彼等に舞い込むのは日本での任務。
それはかつて三大名家と言われ今は没落した三国ヶ丘家の令嬢、御子を守れと言う物。
受けた恩を返す為、何より過去に対立していたマフィアが絡む為。
彼等は彼女と同じ学園に編入し、近くで守るという形をとる。
だが、しかし、やっぱり簡単にいく訳もなかった。
今まで裏社会に身を置いてきたからこそ、物騒な発想ばかりが思い浮かぶも誤魔化せる景光はともかく、心のままに生きるミステリオーサが異端児とならぬ訳もなく。
いきなりドタバタの騒ぎを巻き起こし、目立ってはいけないのに目立ってしまい。
それでも、有名な殺し屋姉妹であるカテドラル姉妹の襲撃を始めとし、日常で不意に巻き起こる幾多の襲撃を乗り越える。
天真爛漫で傍若無人なミステリオーサの手綱を握りながら、振り回されるように厄介極まる騒動に巻き込まれていく。
そんな中、景光が心に隠していた願いを叶える形で、ミステリオーサは高校生活をエンジョイしていく。
御子と共に軽音同好会で活動し、共に青春を楽しむ中で気付けた、ありきたりだけど尊い普通の一般学生としての輝かしい青春と日常。
裏世界に入らなければ、年相応の景光も当然、享受出来ていたであろう筈の貴重な時間。
憧れを夢想しながらも、浮かびあがった違和感は夢の舞台で結実して。
実はすぐ傍に居た、信頼していたのに、望まずして黒幕となった者が牙を剥こうとする。
しかし、そんな邪悪な思惑は既に見破られている。
そして、この尊い日々を守るならば容赦はしない。
浮かび上がるのはかつて景光が所属していた組織。その組織へ襲撃をかけるも、違和感はぬぐい切れず。
その違和感は臨海学校で芽吹く。
生きていた真の黒幕の思惑が彼等へと迫る。
圧倒的戦力差の中、ミステリオーサ達を残し一人で戦おうとする景光。
だが、その実力差に圧倒され膝を突こうとする中、ミステリオーサともう一人の仲間は駆けつけてくれる。
一人では到底勝てない相手でも、三人でなら勝てる。
三人寄れば文殊の知恵という言葉があるように。
彼と似た者同士、同じような境遇、考え方だとしても。
隣にいる数が違えば、纏う絆が違えば。
そこに負ける出目は存在しないのである。
もともとは妹の治療費を稼ぐ為に裏世界の門戸を開いた景光だったが。
今、こうして武力で学園を守り抜く中で、大切にすべき愛すべき物達が増えすぎた。
この日常を守る為なら、刃を以て刃を。
醜悪な巨悪には、勧善懲悪の制裁を。
その為にならば、悪にでも喜んでなろう。
喜んで命を懸けよう。
命を懸けて戦う理由が此処にはある。
そう決意に新たにした景光は命を懸けた引き金で蔓延る悪から学園を守り抜くのだ。