海の家のマーメイドプリンセス
人魚姫が恋をする。なにも、嵐の日に難破船から救った王子に恋をして、とか、王子のためにすべてを失って泡になるとか、そんな命がけの恋愛だけとはかぎらない。
かのお姫さまの場合は、近所の浅瀬がいつのまにやら人間たちの大衆海水浴場となっていた。
上半身は人間とそっくりに創造されている人魚姫である。ときおり、人間たちにまじって、人間のふりをして上半身だけを海から出して遊びにまじることがあった。ただの気晴らし、たんなる気まぐれだ。人間たちは、楽しそうに声をあげて海やら波やらで遊んでいる