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読書記録「陳登波を探して 消された台湾画家の謎」

こんにちは。台湾に行く機会がある中で、台湾人作家の本をいくつか読んできましたが、最近読んだのがこの本です。陳登波という台湾人画家の足跡をその後の若者がたどるミステリータッチの内容になっています。

柯宗明著 栖来ひかり訳

陳登波は1895年、日本の統治時代の台湾に生まれます。1924年、すでに家族がいましたが単身で東京美術学校(今の東京芸術大学)に留学して美術の勉強に励みます。その後、第7回”帝国美術展覧会”に台湾人として初めて入選という快挙を成し遂げます。卒業後は上海に渡り活躍しますが、戦争の影響もあり故郷の台湾へ戻り台湾美術界の組織化などに尽力します。故郷の嘉義市で市会議員になりますが、1947年に52歳の若さで亡くなります。正確には裁判もなく、拘束され公衆の前で家族のそばで銃殺されるのです。

美術を愛し家族を愛した画家でしたが、銃殺後には世間でタブー視されることになります。本では1984年の若者がふとしたきっかけで陳登波の事を調べ始めるのですが、戒厳令が続いている時期でもあり、陳登波が銃殺されるきっかけとなった白色テロや2.28事件などの時代のタブーな空気が色濃く残る状況も背景として書かれています。この本を読んで台湾の近現代史を知ろうとも思いました。

本にはいくつかの絵が掲載されています、読了後にwebでも検索してみました。多数の作品があるので、展覧会などの企画があれば是非とも行ってみたいです。台湾の嘉義にはまだ行ったことがないので、いつか嘉義で陳登波の絵を見てみたいと思います。


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