台湾の小説
台湾へは10年以上前に初訪問した後には再訪することもなかったのですが、様々なことがあり、何故かこの一年の間に2度訪問することになりました。知り合いのマンションが台中にあり、その関係で台中や台南、高雄を中心に訪問してきました。今回は台湾のことをもう少し知りたいと思い、いくつかの本を読んだので、その本の話を書きたいと思います。
「台北プライベートアイ」(紀蔚然)は台湾に行く前、コロナの頃にたまたま買った本で確か”台湾初のハードボイルド小説”と帯に書いてあったと思います。好きなジャンルでもあり一気に読めて、先日出た二作目の「DV8」もお薦めの本です。
中公新書の「台湾の歴史と文化」(大東和重)は中世からの歴史的概観を知ることができ、先住民族の部分は全く知らない部分でした。鄭成功時代の話は歴好きな自分にとっても興味深く、台南へ行った時には安平のゼーランディア城跡も見てきました。日本との関係も主に現場の人々を中心に書かれていて、とても読みやすかったです。
「歩道橋の魔術師」「自転車泥棒」(呉明益)。訳者の天野健太郎さんは台湾文学を日本へ広めた人で有名なのですが2019年にお亡くなりになっています。どちらも好きな本になりました。呉明益さんの他の本も図書館で読んだのですが、私の中で村上春樹さんの本に通じる感覚があり、ぐいぐい本の世界にのめり込んでいきました。
「バナナの木殺し」。印象的な題名ですが、この小説を含む中編小説3編を収めた本です。この”台湾文学ブックカフェ”シリーズは他に女性作家や短編小説のシリーズがあります。最初は図書館で借りて読んだのですが、ここに収められている「戴美楽嬢の婚礼」(王定国)が特に気に入ったので、いつもの紀伊国屋梅田店で注文して改めて買いました。話がちょっとユーモラスな感じで進んでいきながらも静かな悲しみもあり、味わい深い小説と思います。王貞国さんの日本語訳の本を他に探したのですがまだ無さそうです。
以上、観光的な要素がなくて恐縮ですが台湾本のご紹介でした。最後までお読みいただきありがとうございます。
10月末にも台湾へ行く予定をしており、今から楽しみです。